稼ぐ人・安い人・余る人
キャメル・ヤマモト著/幻冬舎/2001年9月5日/1400円(税別)
<目次より>
プロローグ
人材は選別されるもの
脱落者、安住者、登山者
「稼ぐ人」倍増計画
仕事の主人公になる
第1章 稼ぐ人、安い人、余る人
自分でもなれたらいいな「稼ぐ人」
気づいたらもう遅いかな「余る人」
甘んじて受けるとするか「安い人」
「モノ」ではなく「情報・知恵」へ
まず「稼ぐ人」のイメージをはっきりもつ
(1)タレントは、暗い時代にチャンスを見つける
(2)タレントは、卓越して稼ぎ出す
(3)タレントは、革新的で輝いている
(4)タレントは、仕事を通じ遊ぶ人
(5)タレントは、タレント同士引き付けあう
第2章 あなたも「稼ぐ人」になれる 七つの「才」の秘密
七つも必要なのか? たった七つで大丈夫か?
第一の才:志が高く明確である
どういう意味か
みずみずしい成果イメージをもつ
良質の志は世の中を先取りする
あっぱれ、日本の若者の志
なぜ必要か
バックミラーの中の自由
やりたくなったときやる
どうやって身につけるか
起業家の話を聞く
夢タイムを確保する
有名人の伝記を読む
買い物で練習する
毎日、仕事の志を立てる
あなたがプロ野球の監督になってみる
目標を身近なことろまで分解する
第二の才:現実を直視する力
どういう意味か
GE・ウエルチの4つの現実
そこにある危機を描き出す
21世紀初頭、3つの危機
なぜ必要か
失敗から学ぶ
「強みの限界」を直視する
どうやって身につけるか
直視タイムは自分の手で
10の最大脅威リスト
強み・弱み・機会・脅威分析
手帳とポストイット活用法
5感を使う「徹底確認力」
正直に他人にみせる
攻めの現実直視
第三の才:成果へのインスピレーションがわく
どういう意味か
反射的に仮説を立てる
シズルを考え抜く
なぜ必要か
情報洪水でおぼれない
どうやってみにつけるか
遠慮せずに仮説を立てる
仮説の練習は勝負ごとで
第一と第二の才ではさみうち
自分一人でやらない
ブレストよりもブレストの後
思いつきを記録つきにする
第四の才:失敗しながらやりぬくタフネス
どういう意味か
なぜ必要か
失敗に強いともっと努力できる
自分の限界を学習する
どうやって見につけるか
オープンな可能性に焦点設定
人の目より自分のビジョン
仮説検証としての失敗
勝手に失敗と決め付けない
とにかく自分で完成
でも歯は食いしばらない
あっさり認めて、対策を
失敗にまかせる
自信ゾーンの発見と保護
第五の才:リードしリードさせる
どういう意味か
なぜ必要か
長嶋・野村両監督の違いは何か
リーダーは変革をリードし、変化を利用する
カジュアルで普段着のリーダー
どうやって見につけるか
GROW
CHARMS
第六の才:学習が早い
どういう意味か
なぜ必要か
どうやって見につけるか
問題解決のプロセス
声に出して考える
体感知
考え抜く習慣
第七の才:仕事で遊んでいる
どういう意味か
コモディティにチャンスはない
遊びは命がけで
なぜ必要か
どうやって身につけるのか
7つの才のコーラス 組み合わせで効果倍増
第3章 タレント開花の「場」をつくる
場とは何か
21世紀の経営のキーワード
良い場、悪い場
なぜ、場が重要か
生まれつきか、環境か
ポテンシャルを開花させる
ポテンシャルを刺激する仲間
どうやって場をみつけ、つくるか
ヒント1 やりたいことがやれるか
ヒント2 同僚からの健全な圧力・刺激が働いているか
ヒント3 金と心の報酬があるか
ヒント4 出会いのチャンスに恵まれているか
ヒント5 石の上で三年たったら転職チェック
ヒント6 海外にいくチャンスは迷わず活かす
ヒント7 ちょっとした感性を大切にする
第4章 時間の女神を口説く
「安い」時間、「余る」時間、「希少な」時間
時間単価を知ることが、時間を有効に使う第一歩
「時間」病の症状別対処法
症状1 走り回るが成果はでない「ダチョウ病」
症状2 時間無視の細部完璧主義者
症状3 腰が重い人々・・・優柔不断者、懐疑の人、理論家、ドリーマー
症状4 慣性の法則
症状5 あとでやろう病
稼ぐ人の時間術
稼ぐ人の時間術1 問題解決逆算モード
稼ぐ人の時間術2 人を動かす
稼ぐ人の時間術3 知的先行投資時間をひねり出す
稼ぐ人の時間術4 タイム・オフ
稼ぐ人の時間術5 遊び的に没頭する
第5章 五つの自戒と「タレント殺し上司」からの自己防衛法
絶対にやってはいけないこと
戒律1 隠さない
戒律2 ウソをいわない
戒律3 約束を破らない
戒律4 あたまから否定しない
戒律5 自己限定しない
自分のタレントは自分で守る
強敵1 すぐ怒る人
強敵2 仏さま
強敵3 偉い人
強敵4 前例の奴隷
強敵5 成果横領者
強敵6 仕事独占者
強敵7 意思「無」決定者
強敵8 専門家
強敵9 馬鹿にする人
第6章 タレント開発はベンチャー投資
人を教えることは最高の学習法
「無知の知」だから「はじめまして」
部下の状況をどう把握するか
生き生きと話ができる部下
部下はハイリターンの投資
人をみる目の重要性
目を皿のようにしてみる
スポーツのようにコーチする
部下にサービスを提供する
部下を先生にする
第7章 外国語の習得五箇条
第一条 動機づけエンジン
第二条 緊急集中治療室の英語
第三条 英語中毒にかかる
教材の「選択と集中」
単純作業化の効果
美女の辞書 Long Hair Dictionary
第四条 英語でなくてコミュニケーション
第五条 和魂和魂
あとがき
<印象に残ったところ>
仕事の主人公になる
要するに、ここで述べる「稼ぐ人」は、稼ぐことのみを目的とした金の亡者ではありません。「稼ぐ人」は、自分のアタマで考え、自分の心で感じ、自分の体で動いて、自分の五感で結果を検証して、自分を高めていくような人です。「自律の人」です。それさえできれば、結果的に「稼ぐ人」になれる、というわかです。「稼ぐ」以上に、自分で仕事の主人公になって生きているという幸せがあります。(P9)
・・・こういう情報化が進む中で、それへの対応ぶりによって、企業の勝ち負けがほぼ決まっています。・・・(略)・・・経営モデルの違いです。二つの勝パターンがあると考えています。一つは、セブンイレブンとか、マクドナルドなどに代表されるモデルで、これを「仕組み創造型組織」と名づけています。もう一つは、シリコンバレーのベンチャー企業や、コンサルティングファームや、ベンチャーキャピタルに代表されるモデルで、「アメーバ増殖組織モデル」と読んでいます。
まず、仕組み想像組織では、仕組みが、価値をつくりだし、勝利する競争力の源泉です。徹底的な仕組みをつくりこみます。この儲かる仕組みは、市場価値が三しかない人に、七のバリューを出させるような「仕組み」とか「システム」です。ここでは、その仕組みをどんどん磨きこんでいく場面で「稼ぐ人」(タレント)が活躍します。そして、実際の仕事は、「安い人」にやってもらっています。
他方、アメーバでは、自由と自己責任の自律経営を行います。ここでは、なるべく仕組みはつくらず、人材のクリエイティビティや高度の専門性が価値の源泉となります。最も重要なことは、そういうプロフェッショナルな人材を引き付けて動機づけ、彼ら自身がさらに成長することとなります。ですから、ほとんどのメンバーが「稼ぐ人」になります。(P36)
・・・タレントの機能は、要するに、顧客(市場)がつくりだす変化とか不確実性を活用して攻めることです。価値と勝ちを創造するのです。
タレントがいないと、顧客が生み出す変化に翻弄されるか、変化とかかかわりなく従来どおりのやり方を繰り返してジリ貧になっていきます。(P37)
じきに私は、何かやるときに、仮説をもっているかいなかが、自分で運命をコントロールするのか、運命にコントロールされるのかの境目なのだ、と思うようになりました。(P91)
「新しいサービスをネットにのせろ。もしそれがうまく動けばそれは晴れて製品である。もし動かなければ市場調査である」と。(P92)
「情報を扱うプロは、第一報が入ってきた時に、即座にその後の展開を見通せねば失格である。重要な情勢の展開にかかわる情報であれば、第一報に続いて世界中の大使館から膨大な量の情報が送られてくるが、プロとしては、情報が集まってから情勢判断できる、とうのでは遅い。第一報以降は、第一報を得た時の見通しを検証していくプロセスにすぎない。従って、第一報に接して、その後の展開を洞察できるかがプロとなるための必須条件である。(P97)
・・・ただ、初めの段階で仮説をもたないと、その後の情報洪水の中で、溺れてしまいます。情報洪水の中で、意味のある情報を見分けるには、コンパスが必要なのです。それがいわば仮説です。(P98)
(2002年1月2日)