知らずに他人を傷つける人たち
香山リカ著/KKベストセラーズ/2007年2月15日/680円(税別)
モラル・ハラスメントという「大人のいじめ」 「それってモラハラ」悪気がないではすみません。
<本の帯より>
新種のハラスメントがやってきた! 職場や家庭でのいじめや嫌がらせを表すことばとして新たに登場したのが、モラル・ハラスメント(モラハラ)だ。加害者は、言葉や態度によって巧妙に相手を着続けることによって、相手を支配し、隷属させようとする。被害者は気づかないうちに相手の術中に陥り、「悪いのは自分のほう」という意識までなるという。職場においてモラハラがはびこると、社員のメンタル・ヘルスに悪影響を及ぼし、企業の生産性が低下することはいうまでもない。モラハラは病気なのか、モラハラをなくすにはどうしたらいいか。また、モラハラをしないようにするには何に気をつけるべきか。
<目次より>
プロローグ
第1章 モラハラの時代――新たなハラスメントがやってきた!
急増する職場のいじめ
人格の尊厳を傷つける「精神的暴力」
トラウマ理解が遅れた日本
モラハラと権力
人がふたり集まればモラハラは起こる
第2章 職場モラハラ――モラハラ上司は困った上司
おかしな上司・同僚がいるだけで(まわりもおかしくなる、鬱になる)
継続的心理的ないやがらせ
上司によるモラハラ
パワハラとの違い
「ゆがんだ自己愛」
加害者のタイプ分類
第3章 怠業型モラハラを招く「30代うつ」――部下だってモラハラ
新タイプのモラハラ――怠業型
新型うつ病「30代うつ」
「30代うつ」の二次被害(その1)――二次うつの発生
「30代うつ」の二次被害(その1)――職場全体のモチベーションの低下
自己愛が肥大すると「うつ」になる
(昨今の日本では、子供を非常に大事にする。そのこと自体は悪いことではないが、自制心が利かない子供たちが多いのも事実だろう。自制心が利かない人の自己愛が満たされないと、このモラハラが生じる可能性が強そうだ。今まで漠然と思っていたことが、整理されたような気がする。)
第4章 家庭内モラハラ――モラハラ夫は怖ーいぞ!
知的なおしゃれな雰囲気の夫
夫婦間のモラハラ
モラハラ夫の特徴
「悪いのは私のほう」――自分を責める被害者
「ふつう」の人なら誰でも被害者になりうる
モラハラとマインドコントロール(こんなに簡単にマインドコントロールされるのか?)
(成果主義の職場、しかし満足できない処遇、しかし、転職はそう簡単ではない。家庭内のモラハラは、今後とも増え続けるのではないか。)
第5章 モラハラと自己愛――加害者は「病気」なのか?
加害者の「変質性」
自己愛性人格障害
「陰性の自己愛」――日本型モラハラ
モラハラの加害者は病気なのか
モラハラの発生と社会の文化・風習
反社会性人格障害との違い
「ゆがんだ自己愛」に基づかないモラハラ
被害者の「目減りした自己愛」
(モラハラの加害者は、どこにでもいるのではないか。私が会社員のときは、そのような人に運よく巡り会わなかった幸福を感じている。)
第6章 いろいろなモラハラ――まだまだあるぞ、こんなモラハラ
学校の「いじめ」はモラハラか
公園“ママ友”のモラハラ
「姑の嫁いびり」と児童虐待
モラハラ妻(女性パートナー)はいるか
慈善団体はモラハラの温床(→フムフム、と納得)
第7章 モラハラにあったら――被害者の対策
モラハラ・チェックリスト(皆さんもチェックしてみて下さい!)
“モラハラの源流”
精神疾患よりやっかいなマインドコントロール
その後の対策
逃げるしか方法はないのか
職場のモラハラ防止策
(残念ながら、これといった対策はなさそうである。)
第8章 モラハラを起こさないためにー加害者にならないための予防策
モラハラは予防できるか
求められる丁寧なコミュニケーション
モラハラ人間にならないために
エピローグーモラハラと日本人
(自分のコミュニケーション力の向上に努めることで、モラハラの原因となるものが少なくなるような気がしている。)
あとがき
停滞した社会では、高度成長社会では見過ごされていたことも、取り上げられるようになる。
自分の今までの経験を思い出すと、「それってモラハラ」ということにであったり、自分でも加害者だったことがあるのではないかと反省している。
モラハラの悪いことの一つに、加害者には全然その認識がないことである。
自分がモラハラの加害者にならないために、又は、モラハラの被害者だったらそれから脱却するために、本書は参考になるのではないか。
(2007年5月30日)