アルジェリア民主人民共和国
(People's Democratic Republic of
Algeria)
出典:外務省 各国・地域情勢(2010年8月現在)
一般事情
1.面積
238万平方キロメートル(内、砂漠地帯約200万平方キロメートル)(アフリカ第2位)
2.人口
3,437万人(2008年、世界銀行)(国土の7%内に集中)
3.首都
アルジェ
4.民族・人種
アラブ人(80%)、ベルベル人(19%)、その他(1%)
5.言語
アラビア語(国語、公用語)、ベルベル語(国語)、フランス語(国民の間で広く用いられている)
6.宗教
イスラム教(スンニー派)
7.略史
年月 | 略史 |
---|---|
1962年7月 | フランスより独立(当時、人口は1千万人) |
1965年6月 | 軍事クーデター、ブーメディエンヌ政権の成立 |
1979年2月 | シャドリ大佐、大統領に就任 |
1989年2月 | 憲法改正 |
1992年1月 | シャドリ大統領辞任。国家最高委員会設立 |
1994年1月 | 移行期間の大統領としてゼルーアル大統領就任 |
1995年12月 | 複数政党制下初の大統領選挙、ゼルーアル大統領が選出 |
1996年11月 | 憲法改正国民投票の実施、多数の支持により憲法改正案が承認 |
1997年6月 | 国民議会(下院)選挙が実施され下院が設立 同国史上初めて複数政党で構成される国民議会が開会 |
1997年12月 | 国民評議会(上院)選挙が実施され、上院が設立 |
1999年4月 | 大統領選挙、ブーテフリカ大統領が選出 |
2002年5月 | 国民議会(下院)選挙を実施 |
2002年10月 | 統一地方選挙を実施 |
2003年5月 | ブメルデス県を震源地とする大規模地震が発生 |
2004年4月 | 大統領選挙、ブーテフリカ大統領が再選 |
2007年5月 | 国民議会(下院)選挙を実施 |
2007年11月 | 統一地方選挙を実施 |
2008年11月 | 憲法改正 |
2009年4月 | 大統領選挙、ブーテフリカ大統領が三選 |
2009年12月 | 国民評議会(上院)選挙を実施 |
政治体制・内政
1.政体
共和制
2.元首
ブーテフリカ大統領(1999年4月〜)
3.議会
従来、一院制であったが、1996年11月の憲法改正により二院制に移行
4.政府
(1)首相 アフメド・ウーヤヒア(2008年6月〜)
(2)外相 ムラド・メデルチ(2007年6月〜)
5.内政・治安
(1)1992年よりイスラム原理主義過激派によるテロが活発化し、国内情勢は悪化(「危機の10年」)。
(2)1995年、初の複数候補による大統領選挙で選出されたゼルーアル大統領は、テロ対策の強化を含めた内政・治安情勢の正常化に尽力。
(3)一連の民主化プロセスが進められる中、1999年4月に行われた大統領選挙でブーテフリカ大統領が選出。ブーテフリカ大統領は、国内テロにより悪くなったアルジェリアのイメージを改善するために、とりわけG8等先進諸国との外交を積極的に推進し、2001年9月11日のテロ以降、アルジェリアに対する先進国のイメージも改善されてきている。
(4)また、2004年に再選されたブーテフリカ大統領は、2006年に実施された「平和と国民和解のための憲章」に代表される国民和解政策、テロリストの掃討作戦等、内政・治安情勢の安定化や、市場経済の導入による経済改革にも積極的に取り組んでいる。
(5)2008年、国会等の承認を経て、憲法の大統領三選禁止条項が撤廃され、2009年4月の大統領選挙でブーテフリカ大統領は三選された。
外交・国防
1.外交基本方針
非同盟中立、アラブ連帯等の基本政策を継承しつつも、1979年のシャドリ政権成立以来現実主義・全方位外交を基調。特に1999年のブーテフリカ大統領の誕生以降は、ほぼ全てのG8諸国を訪問するなど活発な外交活動を展開し、国際舞台への復帰を達成。1990年代の国内テロのイメージを改善することに尽力し、アルジェリアの新しいイメージ定着を目指す。アフリカにおいては「アフリカ開発のための新パートナーシップ(The New Partnership for Africa's Development:NEPAD)」推進の中心的な国として活躍。2005年にはアラブ連盟議長国を、2004-2005年には国連安保理非常任理事国を務めた。また、2000年以降、ほぼ全てのG8サミットにアフリカの代表として招かれており、2008年7月にはブーテフリカ現大統領が北海道洞爺湖サミット出席のため来日した。
2.軍事力(ミリタリーバランス2010)
(1)予算 5.30億ドル(2009年)
(2)兵役 徴兵制度あり(18ヶ月)
(3)兵力 14.7万人(予備役15万人)
経済(単位 米ドル)
1.主要産業
石油・天然ガス関連産業、第二次産業
2.GNI(名目)
1,464億ドル(2008年、世界銀行)
3.一人当たりGNI
4,260ドル(2008年、世界銀行)
4.経済成長率
3.4%(2008年、世界銀行)
5.消費者物価上昇率
4.8%(2009年、IMF)
6.失業率
11.8%(2008年、アルジェリア国家情報統計センター)
7.総貿易額
(1)輸出 437億ドル(2009年、アルジェリア国家情報統計センター)
(2)輸入 391億ドル(2009年、アルジェリア国家情報統計センター)
8.貿易品目
(1)輸出 石油・天然ガス関連製品
(2)輸入 資本財(工場設備等)、食料品、消費財
9.貿易相手国
(1)輸出 米、伊、西、仏、蘭(2009年、アルジェリア国家統計局)
(2)輸入 仏、中、伊、西、独(2009年、アルジェリア国家統計局)
10.対外債務残高
46億ドル(2009年、アルジェリア中央銀行)
11.通貨
アルジェリアン・ディナール(D. A.)
12.為替レート
100円=87ディナール(2010年8月現在)
13.経済概況
(1)IMFとは1994年にスタンド・バイ取極を結び、1995年には拡大信用供与が決定された。1998年にはIMF構造調整プログラムを予定通り終了し、インフレの大幅な沈静化、3年連続のプラス成長を達成した。今後は産業のリストラ・民営化、外資誘致、市場経済化など同国経済をグローバル・スタンダードへ統合していくことが目標。
(2)2002年4月に、EUとの連合協定を締結(2005年9月発効)し、2017年までに自由貿易圏の構築を目指している。現在、WTO加盟交渉中。
(3)経済の中心は、原油・天然ガスをはじめとする炭化水素部門で、同部門の資源収入は、輸出総額の98.29%、財政収入の80.0%、GDPの45.5%を占めている(2008年アルジェリア中央銀行)。
(4)経済の多角化が国家的課題であり、大規模な経済成長支援計画を推進し、インフラ整備及び外国投資の受け入れに力を入れている。
経済協力(単位 億円)
1.日本の援助
(1)有償資金協力 148.50億円(2008年度までの累計、交換公文ベース)
(2)無償資金協力 12.96億円(2008年度までの累計、交換公文ベース)
(3)技術協力実績 63.78億円(2008年度までの累計、JICA経費実績ベース)
2.国際協力銀行(JBIC)国際金融等業務による融資累計額
約9,860億円(2006年3月末)
(主として炭化水素関連事業への対ソナトラック((独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構)融資。)
3.震災復興
(1)2003年5月に発生した地震発生直後に際し、日本は国際緊急援助隊救助チーム61名、同医療チーム22名、同専門家チーム7名を派遣。同救助チームは、首都アルジェに隣接するブメルデス県ゼンムリにおいて生存者1名を救出。また、緊急無償援助10万ドルを供与した。
(2)2004年9月、教育施設の再建等の支援を行うため28.5億円を限度とする円借款を供与。
4.有償
3.(2)のとおり、円借款として2004年教育セクター震災復興計画(28.5億円)を実施。
5.技術協力
(1)アルジェリアはODA対象国であるものの、治安情勢の悪化により2002年まで人の派遣を伴う協力は中断していた。その後の治安回復を受けて、2004年には10年ぶりの長期専門家(援助調整)を派遣し、アルジェリア政府関係者等と日本側の協力関係強化支援を行っている。
(2)2003年2月には環境分野におけるプロジェクト形成調査団が派遣され、5年間にわたり毎年10名を対象に本邦研修を行うアルジェリア国別特設研修が開始された。現在まで、廃棄物管理、産業環境対策、クリーナープロダクション及び水質汚濁分野の研修を実習している。
また、同分野では環境汚染分野短期専門家が2004年1月に派遣され、エルハラシュ川に水銀等の重金属汚染を確認した。これにより、環境モニタリングの重要性が改めて認識されることとなり、アルジェリア政府からの正式要請を受けて、エルハラシュ川流域工業地帯をその周辺地域を対象としたプロジェクト計画案が策定され、国土整備・環境省持続的開発・環境観測所(ONEDD)アルジェ中央研究所の環境モニタリング(水、土壌分野)に関するキャパシティ強化のための技術協力プロジェクトを、2005年12月より2008年11月まで実施した。
(3)本邦における集団研修は毎年約30名の受入れを行っており、保健医療、水資源、防災、ガバナンス、運輸交通、農業開発・農村開発などの分野で災害(地震)対策など様々なコースが提供されている。
(4)2004年12月、ブーテフリカ大統領訪日の機会に、町村外務大臣(当時)とベルハデム外務大臣(当時)との間で技術協力協定への署名が行われた。2006年3月発効。
(5)2009年には、JICAの業務拠点が設置された。
6.水産無償
2006年水産無償資金協力として、アルジェリアのニーズに合った訓練環境及び訓練内容が実現することを目的とし、漁業訓練船、操船シミュレーター等漁業訓練にかかる機材を供与した(供与限度額合計5.94億円)。
7.草の根無償
草の根・人間の安全保障無償資金協力として、平成14年度にテロ被害で夫を失った夫人のための職業訓練センターを拡充することを目的に、校舎を建設するための資金を供与した(供与限度額54,322ユーロ)ほか、平成19年度には孤児院の改修と設備の整備のための支援を実施した(供与限度額66,015ユーロ)。
8.文化無償
文化無償協力として、平成15年度にアルジェリア柔道連盟に対し柔道器材を供与(供与額3,470万円)。平成16年度には国立交響楽団に対する楽器を供与(供与額4,090万円)。平成18年度にはアルジェリア国立図書館移動図書館車整備計画を実施(限度額7,700万円)。
9.国際機関を通じた協力
日本がユネスコに寄託した人的資源開発信託基金により、アルジェリア教育制度改革支援の為に2003年、約70.3万ドルが、さらに2007年、22.3万ドルが供与された。
二国間関係
1.政治関係
日本は1962年7月4日にアルジェリアの独立を承認し、1964年2月14日在アルジェリア大使館を開設。アルジェリアは1958年9月FLN(民族解放戦線、現与党)極東代表部を東京に開設。1964年6月には在京アルジェリア大使館を開設。
2.経済関係
(1)日本との貿易関係(貿易統計)
- (イ)品目
- 日本からの輸出 自動車、建設機械等
日本への輸入 液化ガス、原油、石油製品等 - (ロ)貿易額
- 日本からの輸出 672億円(2009年)
日本への輸入 160億円(2009年)
(2)アルジェリアは、我が国企業にとっての大きなプラント市場になっており、経済関係はプラント建設等、エネルギー分野が中心。
(3)2008年11月、第6回日本アルジェリア合同経済委員会をアルジェで開催。
3.文化関係
(1)2004年には柔道実演、生け花実演を実施。
(2)2005年には和太鼓公演を実施。
(3)2006年には日本芸術に関する講演会や舞踊集団「菊の会」アルジェ公演が開催された他、生け花実演・日本料理紹介・日本映画上映会を中心とした日本文化週間を実施。
(4)2007年には第2回アルジェ日本文化週間を実施し、山田洋次映画監督等もアルジェリアを訪問。
(5)2008年にはアルジェリア国際マンガ・フェスティバルでアニメ映画を上映。
(6)2009年、宮崎駿監督のアニメ映画上映会、国際交流基金巡回展、クラシックコンサート(国際交流基金共催)、「桜と平成の源氏物語絵巻」展示会を開催。
4.在留邦人数
954名(2009年10月)
5.在日当該国人数
149人(2006年12月)
6.要人往来
(1)往(1993年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1993年10月 | 米倉経団連副会長(経団連ミッション) |
1996年4月 | 黒河内特使(国連安保理非常任理事国選挙) |
1998年2月 | 柿澤元外務大臣(ゼルアール大統領宛橋本総理親書) |
2000年2月 | 高村元外相 |
2000年9月 | 荒木総括政務次官 |
2000年11月 | 室伏伊藤忠会長(経済ミッション) |
2001年1月 | 町村文部科学大臣 |
2002年5月 | 松浪大臣政務官 |
2004年5月 | 森元内閣総理大臣 |
2005年4月 | 河井外務大臣政務官 |
2006年7月 | 櫻田内閣府副大臣(金融・経済財政政策担当) |
2007年11月 | 小野寺外務副大臣 |
2009年6月 | 橋本外務副大臣 |
2010年7月 | 松下経済産業副大臣 |
(2)来(1993年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1994年3月 | ベンアシュヌー経済相 |
1994年5月 | ケラマン中銀総裁 |
1994年9月 | アラン郵政相(国際電気通信連合総会) |
1994年11月 | ベンサレム観光相(世界観光会議) |
1995年7月 | ケラマン中銀総裁 |
1995年9月 | マクルーフィー工業・エネルギー大臣(福田元総理葬儀) |
1997年12月 | ティバウイ国営企業評議会事務局長(投資促進セミナー) |
1998年5月 | ユースフィ・エネルギー・鉱物資源大臣(投資促進セミナー) |
1999年9月 | ベナビレス国民評議会議員 |
1999年12月 | アッタール・ソナトラック総裁 |
2000年5月 | ユースフィ外務大臣 |
2000年7月 | ブーテフリカ大統領(九州・沖縄サミットアウトリーチ会合、OAU代表) |
2001年7月 | スリマン・シェイク国民評議会議員(元文相) |
2001年11月 | メサヘル・アフリカ担当大臣(TICAD閣僚レベル会合) |
2002年1月 | トゥンシ国家警備庁長官 |
2002年9月 | ヘリル・エネルギー鉱業大臣 |
2003年9月 | メサヘル・アフリカ担当大臣(TICAD III) |
2004年3月 | ラフマニ国土整備・環境大臣(日・アラブ環境大臣級環境セミナー) |
2004年9月 | メジアン・ソナトラック総裁(第5回日・ア合同経済委員会) |
2004年12月 | ブーテフリカ大統領 |
2005年9月 | セマリ・アルジェリア日本友好議員連盟会長 |
2005年12月 | ハイシュール郵便・情報技術大臣 |
2007年6月 | メジアン・ソナトラック総裁 |
2007年8月 | バベス経済社会評議会議長(国連大学・ユネスコ共催セミナー) |
2007年9月 | ベジャウィ前外相(無形文化遺産条約第2回政府間委員会) |
2007年11月 | ベジャウィ前外相(第5回国際文化フォーラム) |
2007年12月 | グール公共事業大臣 |
2008年5月 | ウーヤヒア大統領個人代表(TICAD IV) |
2008年7月 | ブーテフリカ大統領(北海道洞爺湖サミットアウトリーチ会合) |
7.二国間条約・取極
2004年 技術協力協定