アゼルバイジャン共和国
(Republic of Azerbaijan)
出典:外務省 各国・地域情勢(2011年3月現在)
一般事情
1.面積
8万6,600平方キロメートル(日本の約4分の1、北海道よりやや大きい程度)
2.人口
890万人(2010年:国連人口基金)
3.首都
バクー
4.民族
アゼルバイジャン系(90.6%)、レズギ系(2.2%)、ロシア系(1.8%)、アルメニア系(1.5%)
(アゼルバイジャン共和国国家統計局)
5.言語
公用語はアゼルバイジャン語(テュルク諸語に属し、トルコ(共和国)語やトルクメン語に近い)
6.宗教
主としてイスラム教シーア派
7.略史
年月 | 略史 |
---|---|
紀元前6〜4世紀 | カフカース・アルバニア王国 |
3〜7世紀 | サーサーン朝ペルシアの支配 |
7〜10世紀 | アラブの支配 |
11世紀〜 | トルコ系諸民族の大量流入 |
11〜13世紀 | セルジューク朝諸政権の支配 |
13世紀 | モンゴル帝国に編入、イル・ハーン朝の支配 |
13〜15世紀 | テュルク化の進行 |
16世紀 | サファヴィー朝の支配下に入り、シーア派を受容 |
16〜19世紀 | イランのサファヴィー朝、ガージャール朝による支配 |
1813〜1828年 | ロシア・イラン戦争の結果、ゴレスターン条約とトルコマンチャーイ条約により北アゼルバイジャンがロシアに併合 |
1918年5月 | アゼルバイジャン人民共和国独立宣言 |
1920年4月 | バクーにソヴィエト政権樹立、アゼルバイジャン・ソヴィエト社会主義共和国成立 |
1922年 | グルジア・アルメニアと共にザカフカース社会主義連邦ソヴィエト共和国を形成、ソ連邦結成に参加 |
1936年 | アゼルバイジャン・ソヴィエト社会主義共和国として連邦に加盟 |
1988年2月 | 同共和国内のナゴルノ・カラバフ自治州においてアルメニアへの帰属替えを求めるアルメニア人の運動が高揚。スムガイト事件が発生。 |
1989年10月5日 | 共和国主権宣言 |
1990年1月 | バクー事件(ソ連邦中央によりバクーを軍事制圧) |
1991年2月5日 | 「アゼルバイジャン共和国」に国名変更 |
1991年8月30日 | 共和国独立宣言 |
1993年10月 | ヘイダル・アリエフ大統領就任 |
1994年5月 | アルメニアとナゴルノ・カラバフ紛争に関し、停戦協定締結 |
1998年10月 | ヘイダル・アリエフ大統領再任 |
2003年10月 | イルハム・アリエフ大統領就任 |
2008年10月 | イルハム・アリエフ大統領再任 |
政治体制・内政
1.政体
共和制
2.元首
イルハム・アリエフ大統領(任期5年、2008年10月二選)
3.議会
一院制(任期5年、定数125、前回選挙は2010年11月)
4.政府
(1)首相 アルトゥール・ラシザデ
(2)外相 エルマル・メメディヤロフ
5.内政
- 独立後、テロ、クーデター騒ぎ等が頻繁に発生しうる不安定な時期が続いたが、1993年に成立したヘイダル・アリエフ前大統領の政権下で情勢は不安定化。
- 前大統領が2003年4月に病に倒れた(12月死去)のを受けて、2003年10月に行われた大統領選挙で前大統領の長男イルハム・アリエフ首相が圧勝(2008年10月再選)。良好な経済状況を背景に、アリエフ大統領は安定した政権運営を行っている。
- 2009年3月の国民投票により大統領の三選を禁じた憲法の規定が削除され、政権長期化の道が開かれた。
- 2010年11月の議会選挙では、アリエフ大統領率いる与党「新アゼルバイジャン党」が過半数を制する等、与党系候補が圧勝している。
外交・国防
1.外交基本方針
- 米露とのバランスを考慮しつつ、伝統的友好国のトルコ、アゼルバイジャン人が多く住むイランとも等距離善隣外交を継続。
- 外交上の最大の課題は、アルメニアとの間のナゴルノ・カラバフ紛争。1994年に停戦合意し、米・仏・露の仲介により和平交渉が断絶的に行われているが、解決の見通しは不透明。
2.軍事力
総兵力66,940人(陸軍56,840人、海軍2,200人、空軍7,900人)、準兵力15,000人
ブルガリア軍(OSCE)、ハンガリー軍(OSCE)、カザフスタン軍(OSCE)、ポーランド軍(OSCE)、英国軍(OSCE)が駐留
(ミリタリー・バランス2011年)
経済
1.主要産業
石油・天然ガス、石油製品、鉄鉱等
2.GDP
544億ドル(2010年:IMF)
3.一人当たりGDP
4,798.2ドル(2009年:IMF)
4.経済(実質GDP)成長率
5.0%(2010年:IMF)
5.物価上昇率
5.7%(2010年:IMF)
6.失業率
4.3%(2008年概算:EBRD)
7.貿易額
(1)輸出 156.9億ドル
(2)輸入 77.3億ドル
(2009年見込み:EBRD)
8.主要貿易品
(1)輸出 原油、ディーゼル、燃料、灯油
(2)輸入 電気製品、鉄等金属製品、加工食品
(2010年:アゼルバイジャン共和国国家統計局)
9.主要貿易相手国
(1)輸出 イタリア、フランス、イスラエル、米国、ウクライナ
(2)輸入 ロシア、トルコ、ドイツ、中国、ウクライナ
(アゼルバイジャン共和国国家統計委員会)
10.通貨
マナト(Manat:1994年1月1日導入)(CIS統計委員会)
11.為替レート
1ドル=0.78マナト(2011年6月現在:アゼルバイジャン中央銀行)
12.経済概況
- 独立前後のアルメニアとの戦争や度重なる政変によって、同国経済は激しく疲弊した。カスピ海への投資ブームを背景に1990年代半ばから好転し、10%前後の高成長が継続した。2006年の経済成長率は30%以上。しかしその後は、世界的な景気後退の影響などにより伸び率を鈍化させている。
- 同国経済の牽引役であるカスピ海のACG(アゼル・チラグ・グナシリ)油田(日本企業の権益:15.3%)から採掘される原油はBTC(バクー・トビリシ・ジェイハン)パイプライン(日本企業の権益:5.9%)を通じて地中海に送油され、石油タンカー等により欧州各国に輸出されている。
- 2006年末から生産が開始されたカスピ海シャフ=デニズ鉱区の天然ガスは、現在SCP(南コーカサス)パイプラインからの輸送を中心に、トルコ、グルジア、イラン、ロシアの4カ国に輸出されている。
経済協力
1.日本の援助実績
(1)有償資金協力 1,011.62億円 (2009年度までの累計)
(2)無償資金協力 78.16億円 (2009年度までの累計/文化・草の根無償等を含む)
(3)技術協力実績 28.05億円 (2009年度までの累計)
((1)〜(2)は、何れも交換公文ベース)
2.主要援助国
米国、独、日本、仏、スイス
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
2005 | 米 42.8 | 独 19.1 | 日本 8.3 | ノルウェー 6.4 | スイス 5.6 | 109.7 |
2006 | 米 56.5 | 独 12.0 | 仏 10.7 | ノルウェー 5.6 | 日本 4.1 | 95.2 |
2007 | 米 49.0 | 独 24.3 | 日本 11.4 | 仏 9.5 | スイス 6.2 | 109.8 |
2008 | 米 41.95 | 仏 28.17 | 独 26.43 | スイス 10.5 | オーストリア 2.16 | 116.2 |
2009 | 米 40.4 | 独 42.7 | 仏 27.9 | スイス 5.5 | ノルウェー 4.0 | 124.0 |
(出典:DAC/International Development Statistics )
二国間関係
1.政治関係
(1)国家承認日 1991年12月28日
(2)外交関係開設日 1992年9月7日
(3)日本大使館開館 2000年1月21日
(4)在日アゼルバイジャン大使館開設 2005年10月12日
2.経済関係
日本の対アゼルバイジャン貿易(2010年:財務省貿易統計)
- 輸出 75.7億円(機械類及び輸送用機器、鉄鋼)
輸入 31.7億円(石油及び同製品)
3.文化関係
文化無償5件
1998年度 青年スポーツ省に対するスポーツ機材供与(49百万円)
2000年度 アゼルバイジャン国立交響楽団に対する楽器供与(47百万円)
2002年度 バクー国立大学に対するLL機材供与(37百万円)
2003年度 国立オペラ・バレエ劇場に対する照明機材(0.43億円)
2004年度 国立図書館に対するマイクロフィルム及び視聴覚機材(0.50億円)
4.在留邦人数
32人(2011年4月現在)
5.在日当該国人数
52人(2010年7月現在:法務省)
6.要人往来
(1)往(1993年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1999年5月 | 高村外務大臣 |
1999年10月 | コーカサス友好親善ミッション(中山太郎衆議院議員団長) |
2002年7月 | 杉浦外務副大臣 |
2003年2月 | 矢野外務副大臣 |
2003年9月 | 本岡参議院副議長 |
2004年8月 | 甘利衆議院議員(日本・アゼルバイジャン友好議員連盟会長) |
2005年1月 | 逢沢外務副大臣 |
2005年7月 | 原田義昭衆議院議員 |
2005年12月 | 山際衆議院議員 |
2006年7月 | 山中Y子外務大臣政務官 |
2007年8月 | 松島みどり外務大臣政務官 |
2008年6月 | 山中Y子衆議院議員 |
2009年4月 | 西村康稔外務大臣政務官 |
2011 年5月 | 徳永久志外務大臣政務官 |
(2)来(1992年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1992年10月 | ガスイモフ外相(旧ソ連邦支援東京会議) |
1996年5月 | アリエフ・アゼルバイジャン共和国国営石油会社総裁、アリエフ同第一副総裁(大統領の子息、国会議員) |
1998年1月 | ラシザデ首相(世界銀行主催支援国会合) |
1998年2月 | ヘイダル・アリエフ大統領(公式実務訪問賓客) |
1999年3月 | シャリホフ副首相 |
1999年10月 | シャリホフ副首相(日・アゼルバイジャン経済合同会議) |
2001年6月 | グリエフ外相(コーカサス三カ国展) |
2001年11月 | シャリホフ副首相(日・アゼルバイジャン経済合同会議) |
2005年5月 | シャリホフ副首相(博覧会賓客) |
2006年3月 | イルハム・アリエフ大統領(実務訪問賓客) |
2008年2月 | シャリホフ副首相(日・アゼルバイジャン経済合同会議) |
2009年5月 | マルダノフ教育相 |
2009年6月 | メメディヤロフ外相(外賓) |
2010年5月 | シャリホフ副首相(日・アゼルバイジャン経済合同会議) |
7.二国間条約・取極
2005年5月 旧ソ連邦との間で結んだ条約の承継を確認
2006年3月 日・アゼルバイジャン技術協力協定署名