バーレーン王国
(Kingdom of Bahrain)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年7月現在)

一般事情

1.面積

757.5平方キロメートル(2008年中央情報局。東京23区と川崎市を併せた面積とほぼ同じ大きさ)

2.人口

123.5万人(2010年、中央情報局)、うちバーレーン人は、56.8万人(46.0%)

3.首都

マナーマ市

4.民族

アラブ人

5.言語

アラビア語

6.宗教

イスラム教(スンニー派約3割、シーア派約7割)

7.略史

 古代バビロニア、アッシリア時代にはディルムーンという名の有力な貿易中継地であり、またBC3世紀から15世紀にかけては真珠の産地として栄えた。18世紀にアラビア半島から移住したハリーファ家がバーレーンの基礎を作り、1932年には石油の生産を開始、その後近代化を進め、1971年8月英国から独立した。

政治体制・内政

1.政体

立憲君主制

2.元首

ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ国王

3.議会

1973年 国民議会招集(1975年解散、廃止)

1992年 諮問評議会を設置(立法権なし、2002年解散)

2002年 二院制の国民議会(諮問院・下院)を設置(立法権あり)
     ・諮問院:定員40名、勅撰
     ・下 院:定員40名、男女平等普通選挙
     第1回下院選挙実施(10月)、諮問院議員の任命(11月)

2006年 第2回下院選挙(11月・12月)、諮問院議員の任命(12月)

2010年 第3回下院選挙(10月)、諮問院議員の任命(11月)

4.政府

(1)首相 ハリーファ・ビン・サルマン・アール・ハリーファ

(2)外相 ハーリド・ビン・アハマド・ビン・ムハンマド・アール・ハリーファ

5.内政

(1)ハマド国王(1999年即位)の下、ハリーファ首相及びサルマン皇太子を中心とした国家運営が行われている。

(2)2002年2月に憲法を改正し、体制をそれまでの首長制から王制に変更、国名を「バーレーン王国」と定めるとともに、二院制の国民議会設置や男女の権利平等を定めた。

(3)王族がスンニー派である一方、国民の大多数はシーア派であることから、シーア派国民を中心に政治的、経済的、社会的差別を感じる者もおり、シーア派の動向は内政安定上の重要な要因。ハマド国王以下、当国政府は国民融和を訴えているが、石油・ガス生産量が少ないこともあり、バーレーン人の雇用機会創出が重要な課題となっている。

(4)2011年2月、改革を求めるシーア派を中心とした反政府派デモが発生、警察治安部隊との衝突が多発した。同年3月にはGCC(Gulf Cooperation Council:湾岸協力理事会)合同軍がバーレーンに入国、国家安全事態(非常事態)宣言が発出され、シーア派地区を中心に強制捜査や検問が行われるとともに、デモ参加者の大量逮捕、勾留や解雇が行われた。国家安全事態は同年6月1日に解除されている。

外交・国防

1.外交基本方針

(1)GCCの一員として、サウジアラビアをはじめとした他のGCC諸国との善隣友好協力関係の維持強化を軸としつつ、アラブ諸国、非同盟諸国との協力を基本方針とする。米国に加えて、歴史的背景から英国との関係も深い。

(2)イラクのクウェート侵攻に当たっては、サウジと協調しつつ、米・英軍を受け入れ。湾岸戦争後、米国との関係は一層緊密さを増し、1991年には米国と防衛協定を、1992年には英国と防衛協力合意を締結。米海軍第五艦隊司令部が存在する。

(3)2006年米国と自由貿易協定(FTA)を締結。

2.軍事力

(1)国防費 7.42億ドル(2010年)

(2)兵役 志願制

(3)兵力 正規軍8,200人 準軍事組織11,260人

経済

 石油精製・アルミ精錬を始めとした工業化推進による産業多角化をすすめ、中東の金融センターとしての地位を確立。近年は観光政策にも力を入れ、産業投資誘致促進及び自国民労働能力向上による雇用機会の創出を目指している。

 サルマン皇太子が議長、主要閣僚が委員を務める経済開発委員会(Economic Development Board:EDB)が政府と協調しつつ、当国の経済政策・運営に主導的役割を果たしている。2008年10月、同委員会の主導により、21世紀のバーレーンの開発指針を示した「経済ビジョン2030(Economic Vision 2030)」が公表された。持続可能性、競争力、公平性に基づき、民間主導の経済を目指すものとし、産業多角化促進(おもに輸出指向型産業)、世界基準の社会インフラ整備、石油収入依存脱却、自国民の労働能力改善、2030年までの国民所得倍増を掲げている。

1.主要産業

石油精製、アルミニウム精錬、サービス業(金融、観光等)

2.GDP

約227億ドル(2010年推計/IMF)

3.一人当たりGDP

20,475ドル(2010年推計/IMF)

4.経済成長率

4.1%(2010年/IMF)

5.財政

(1)歳入 38.79億ドル(2010年)

(2)歳出 58.11億ドル(2010年)

6.失業率

約3.7%(2010年)(労働省)

7.総貿易額(政府発表による値)

(1)輸出 191.7億ドル(2008年推計)

(2)輸入 156.4億ドル(2008年推計)

8.主要貿易品目(2008年)

(1)輸出 石油、アルミニウム製品、石油化学製品、衣料品

(2)輸入 原油(精製用)、車、電気製品、機械・輸送機器、アルミナ

9.主要貿易相手国(2007年)(非石油部門のみ、中央銀行)

(1)輸出 アラブ諸国(49.6%)、アジア(19.6%)(うち日本0.9%)、米国(13%)

(2)輸入 アジア(32.8%)(うち日本10.7%)、ヨーロッパ(25.5%)、アラブ諸国(19.2%)、米国(6.8%)、オセアニア(13%)

10.通貨

バーレーン・ディナール(BD)

11.為替レート

1$=0.3750BD(対ドル固定)

二国間関係

1.政治関係

(1)1971年、バーレーンの独立を承認。1988年大使館開設(1988年3月本任大使着任)。バーレーンは2005年、在京大使館を開設。

(2)両国関係は経済分野を中心に良好。サルマン皇太子が議長を務める経済開発委員会は、国外に3か所しか設けていない海外事務所の1つを日本(東京)に置いている(他の2か所はインドと香港)。

(3)2011年3月の東日本大震災に際しては、ハマド国王やハリーファ首相をはじめとする要人が、天皇陛下や菅総理大臣にお見舞いの書簡、電報を送った。また、在バーレーン日本大使館では多数の要人等からの弔意表明を受けた。

2.経済関係

(1)対日貿易(出典:財務省貿易統計)

ア 貿易額(2010年)
対日輸出 約573億円
対日輸入 約516億円
イ 主要品目
対日輸出 石油製品、アルミ製品
対日輸入 自動車、機械製品

(2)2006年よりバーレーンを含むGCCとの間でFTA締結交渉中。

(3)日本の援助実績(2008年ODA卒業)

ア 有償資金協力(2006年度まで、ENベース)  なし
イ 無償資金協力(2006年度まで、ENベース)  0.61億円
ウ 技術協力実績(2006年度まで、JICAベース) 13.64億円

3.文化関係

和太鼓デモンストレーション(2001年)、流鏑馬公演(2002年)、琉球舞踊公演、アラブ音楽公演(2003年)、生け花デモンストレーション(2004年)、和太鼓・津軽三味線公演(2007年)、日本人ピアニストによるコンサート、書道・茶道展(2008年)、香道デモンストレーション(2010年)、居合術デモンストレーション(2011年)等の各種行事を実施。

4.在留邦人数

227名(2011年6月現在)
日本人学校あり(1984年開校)。(18名在籍:2011年6月現在)

5.要人往来

(1)往(1985年以降)

要人名
1985年 左藤郵政大臣
1986年 衆議院調査団(石川要三議員団長)、GCC派遣青年団(牧野隆守議員団長)
1987年 藤井大蔵政務次官
1989年 国広外務審議官
1991年 鈴木外務政務次官、自民党国防三部会議員団(山崎拓議員団長)
1994年 皇太子同妃両殿下
1997年 平林外政審議室長(総理特使)、佐藤前通産大臣(政府代表)
1999年 町村外務政務次官(イーサ首長逝去に際しての政府特派大使)
2001年 衛藤外務副大臣、丸谷外務大臣政務官
2002年 松浪外務大臣政務官
2005年 河井外務大臣政務官、金田外務副大臣(「未来のためのフォーラム」第2回会合)
2006年 久間自民党総務会長(ザハラーニ下院議長招待)、岩屋外務副大臣、小池総理補佐官(IISSマナーマ対話)
2007年 田中財務副大臣、小野寺外務副大臣、寺田防衛大臣政務官、小池衆議院議員(IISSマナーマ対話)
2008年 日本・バーレーン友好議員連盟議員団(武部衆議院議員団長)、奥田総理特使、衆議院中東事情調査団(田野瀬議員団長)、林芳正前防衛大臣(IISSマナーマ対話) 、武田防衛大臣政務官
2009年 与党海賊対策PT(中谷衆議院議員団長)、西村外務大臣政務官、福田総理特使、榛葉防衛副大臣(IISSマナーマ対話)
2010年 広田防衛大臣政務官(IISSマナーマ対話)

(2)来(1985年以降)

要人名
1985年 ジッシィ電気・水相、モアイヤド情報相(非公式)、イーサ青年スポーツ評議会議長
1986年 シラーウィ開発工業相(非公式)
1989年 シラーウィ開発工業相(外賓)、アリ殿下(内務省次官補)(大喪の礼参列)
1990年 ハッサ妃殿下(イーサ首長夫人)(非公式)、アリ殿下(内務省次官補)(即位の礼参列)
1991年 イーサ首長(非公式)
1992年 モアイヤド情報相(非公式)
1994年 アリ運輸相(ITU京都会議)
1995年 サルマン・バーレーン研究センター所長(現皇太子)(非公式)
1996年 イーサ石油・工業相(非公式)、ハーリド住宅・自治体・環境相(非公式)
2001年 ムハマンド外相(外賓)
2002年 サルマン首相補佐官(国際エネルギーフォーラム)
2004年 アブドル・アジーズ外務次官補(高級実務者招聘)
2005年 ファワーズ青年スポーツ庁長官(非公式)
2005年 マアラージ金融庁(BMA)総裁(東京工業品取引所との覚書締結)
2006年 マアラージ金融庁(BMA)総裁(イスラム金融フォーラム)
2007年 メイ情報省次官補(文化人招聘)、ファワーズ青年スポーツ庁長官(アジア地域スポーツ担当大臣級会合)、アル・ザヤニ警察本部長(21世紀パートナーシップ促進招聘)
2008年 ハーリド外相(外務省賓客)、ジャーシム・フセイン下院議員(高級実務者招聘)、ザハラーニ下院議長(衆議院招聘)、サルマン皇太子
2009年 マアラージ中央銀行総裁(日経新聞シンポジウム出席)、バーレーン日本友好協会代表団(団長:アライヤド副会長)
2010年 シェイク・ダイジ財務省次官兼港湾局議長(21世紀パートナーシップ招聘)
2011年 ラーシド内相(オピニオンリーダー招聘)

6.二国間条約・取極

航空協定(1998年締結)

7.外交使節

(1)佐藤英夫特命全権大使

(2)ハリール・イブラヒーム・ハッサン特命全権大使