バングラデシュ人民共和国
(People's Republic of Bangladesh)

出典:外務省 各国・地域情勢(2010年11月現在)

一般事情

1.面積

14万4千平方キロメートル(日本の約4割)

2.人口

1億4,660万人  年平均人口増加率:1.39%(2009年7月暫定値、バングラデシュ統計局)

3.首都

ダッカ

4.民族

ベンガル人が大部分を占める。ミャンマーとの国境沿いのチッタゴン丘陵地帯には、チャクマ族等を中心とした仏教徒系少数民族が居住。

5.言語

ベンガル語(国語)、成人(15歳以上)識字率:53.5%(Human Development Repor 2009年度)

6.宗教

イスラム教徒89.7%、ヒンズー教徒9.2%、仏教徒0.7%、キリスト教徒0.3%(2001年国勢調査)

7.略史

年月 略史
1947年8月14日 パキスタン(東パキスタン)として独立
1971年12月16日 バングラデシュとして独立

政治体制・内政

1.政体

共和制

2.元首

ジルル・ラーマン大統領

3.議会

一院制(総議席345)

4.政府

(1)首相:シェイク・ハシナ

(2)外相:ディプー・モニ

5.内政

(1)1947年の印パ分離独立時は、宗教(イスラム)に基づき、一旦はパキスタンへの帰属(東パキスタン)を選択したが、ベンガル人としてのアイデンティティーに訴えた独立戦争(第三次印パ戦争)を経て、1971年12月にパキスタンから独立。

(2)独立後、長年に亘り軍事政権(1975-1990)が続いたが、1990年12月、エルシャド大統領(退役陸軍中将)が、2大政党(BNP、アワミ連盟)及び国民の退陣要求に応じた結果、平和裡に民主化に移行。1991年の憲法改正で議院内閣制へと体制を変更した。以降、5年ごとに総選挙を実施。総選挙の度に政権が交代。(1991年、1996年、2001年)。

(3)2006年10月ジアBNP政権は任期満了で退陣し、憲法の規定に従い、アーメド選挙管理内閣が発足した。2007年1月末、総選挙が行われる予定であったが選挙改革を巡る政党内対立による国内情勢悪化のため、同年1月11日非常事態宣言が発表され、総選挙も延期となった。その後、選挙管理内閣の下、自由、公正かつ信頼に足る総選挙の実施に向けた準備が進められた。2008年12月29日、自由、公正かつ平和的な状況下総選挙が実施され、前野党のアワミ連盟が大勝し、2009年1月6日、ハシナ新内閣が発足。マニフェスト・ビジョン2021に沿って、2021年までに中所得国になることを目標に、各種社会・経済開発に取り組んでいる。

外交・国防

1.外交基本方針

 近隣諸国・イスラム諸国との友好関係維持、日本を含む主要援助国との協力関係強化。SAARC(南アジア地域協力連合)、非同盟グループ、イスラム諸国会議機構、英連邦のメンバー。2000年3月に南アジア諸国で初めてCTBTを批准。LDC(最貧国)のスポークスマンを自任。現政権は「東方政策」を提唱し、東南アジア及び東アジア諸国との経済関係強化を推進。国連平和維持活動に積極的に参加し、要員派遣数は常に上位3位以内。

2.軍事力

(1)予算 894.8億タカ(対経常予算比9.6%)(2009/2010年度)

(2)兵役 志願制

(3)兵力 陸軍126,153人、海軍16,900人、空軍14,000人(The Military Balance 2010)

経済(単位 米ドル)

1.主要産業

縫製品産業

2.実質GDP

893.8億ドル(2009年1月〜2009年12月、世銀)

3.一人当たりGDP

684ドル(2010年度(2009年7月〜2010年6月)暫定値、バングラデシュ中央銀行)

注※バングラデシュの会計年度は7月〜翌年6月末。以下、同様。

4.経済成長率(GDP)

5.74%(2009年度、バングラデシュ財務省)

5.消費者物価指数上昇率

6.7%(2009年度暫定値、バングラデシュ中央銀行)

6.労働人口市場(2010年度、バングラデシュ財務省)

5,370万人 農業(48.1%)、サービス業(37.4%)、鉱工業(14.6%)

7.GDP内訳(2009年度暫定値、バングラデシュ中央銀行)

サービス業(49.7%)、工業・建設業(29.7%)、農林水産業(20.6%)

8.総貿易額(2009年度暫定値、バングラデシュ財務省)

(1)輸出 15,565百万ドル FOB

(2)輸入 22,507百万ドル FOB

9.主要貿易品目(2009年度、バングラデシュ中央銀行)

(1)輸出:衣料品(38.0%)、ニットウェア(41.3%)、魚介類(2.9%)、ジュート製品(1.7%)、革製品(1.1%)

(2)輸入(暫定値):繊維(10.3%)、石油製品(9.8%)、鉄鋼製品(7.4%)、機械機器(7.0%)、綿花(6.4%)、化学薬品(4.7%)、肥料(4.7%)、穀物類(4.3%)、食用油(4.3%)

10.主要貿易相手国(2008年度、バングラデシュ財務省)

(1)輸出 米国、ドイツ、英国、フランス、オランダ、カナダ、イタリア、スペイン、トルコ、ベルギー、日本(11位)

(2)輸入 中国、インド、シンガポール、日本、韓国、香港、マレーシア、台湾、米国(日本4位)

11.通貨

タカ

12.為替レート

1米ドル=68.80タカ(2008-2009年平均、バングラデシュ中央銀行)

13.経済概況

(1)2009年度(2008年7月-2009年6月)のバングラデシュ経済は、2008年秋以降の世界金融危機による影響をそれほど大きく受けず、5.7%の経済成長率を達成した。背景として縫製品輸出や海外労働者送金の安定的伸長といった要因があげられる。他方、縫製品輸出や海外労働者の海外送金に依存するところが大きく構造的に脆弱であるため、産業の多角化と電力・道路等の基礎インフラの整備が課題である。

(2)バングラデシュの財政は慢性的な赤字となっており(2007年度の財政赤字の対GDP比は3.7%、2008年度6.2%、2009年度4.5%と推移している。)、これを外国援助と国内銀行借入等で補填する構造となっている。これは、主に政府の徴税能力及び歳入基盤の脆弱性、また非効率な国有企業に対する財政による赤字補填に起因している。

(3)予算は主に一般予算(Revenue Budget)と開発予算(Annual Development Budget)により構成され、2011年度(2010年7月-2011年6月)予算案ではそれぞれ8,728億タカ、3,850億タカとなり、全体として1兆3,217億タカの対前年補正比19.6%増の拡張型予算となっている。2011年度予算案では全体の33.3%が社会開発、30.4%がインフラ構築事業に当てられ、社会開発分野においては、主に人間開発(23.9%)に、また、インフラ構築分野においては、農業・農村開発(16.9%)、運輸(7.0%)、電力・エネルギー(4.6%)に優先的に配分。

経済協力(単位 億円)

日本の援助実績(2009年度)

(1)有償資金協力 387.92 (累計総額 7,193.04(E/Nベース))

(2)無償資金協力 27.65 (累計総額 4,672.56(E/Nベース)

(3)技術協力 25.03 (累計総額(561.34(JICA経費ベース))2008年度。2009年度は集計中。)

二国間関係

1.政治関係

経済協力関係を中心に友好関係が発展。極めて親日的な国民性。

1972年2月10日 日本側、バングラデシュを承認
1972年3月3日 バングラデシュ、東京に大使館開設
1972年7月1日 日本側、ダッカに大使館開設

2.経済関係

(1)対日貿易(JETRO資料)(単位:百万ドル)

(イ)貿易額
  2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度
輸出 118 122 138 147 173 203
輸入 551 559 651 690 832 1,015
(ロ)主要品目
輸出 既製服、ニット製品、皮革・同製品、冷凍エビ、ジュート及び同製品等
輸入 自動車及び部品類、船舶及び同関連品、鉄鋼・同製品等

(2)日本からの直接投資(JETRO資料、投資庁登録ベース)(単位:百万ドル)

  2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度
投資額 61.85 3.8 2.94 1.64 7.60 6.7 4.1

3.文化関係

 国費留学生の受入、文化無償協力の実施、南西アジア青年招聘、南西アジア高校生招聘など

4.在留邦人数

499人(2010年10月1日現在)

5.在日当該国人数

約1万人(2008年現在、在京バングラデシュ大使館への登録者数)

6.要人往来

(1)往

要人名
1972年 早川特使
1975年 皇太子同妃両殿下御立ち寄り
1977年 鳩山外相、早川特使
1980年 早川特使、愛知政務次官
1983年 石川政務次官、秋田特使 
1987年 倉成外相
1989年 福田元総理
1990年 海部総理 
1994年 三塚日・バ議連会長
1995年 柳沢政務次官
1996年 桜井日・バ議員連盟副会長
1998年 桜井日・バ議員連盟副会長
2000年 森総理、桜井日・バ議員連盟副会長
2001年 桜井日・バ議員連盟副会長
2002年 桜井日・バ議員連盟副会長
2003年 桜井日・バ議員連盟会長代行
2004年 桜井日・バ議員連盟会長
2005年 常田農水副大臣、谷川外務副大臣、逢沢外務副大臣
2006年 桜井日・バ議員連盟会長、町村前外務大臣、麻生外務大臣
2008年 坂本日・バ議員連盟幹事長、西村同事務局長
2009年 橋本外務副大臣

(2)来

要人名
1973年 ムジブル・ラーマン首相(公賓)
1978年 ジアウル・ラーマン大統領(国賓)
1980年 ジアウル・ラーマン大統領
1985年 エルシャド大統領(国賓)
1987年 チョードリー外相(第41回国連総会議長)
1989年 チョードリー外相(大喪の礼)
1990年 マームド外相(即位の礼)、マームド外相(LDCミッション)
1991年 ラーマン外相(LDC東京フォーラム)
1992年 アリ国会議長
1993年 ラーマン蔵相(外賓)
1994年 ジア首相(公賓)
1995年 ラーマン外相(LDCミッション)
1997年 キブリア蔵相、ハシナ首相
1998年 アザド外相(外賓)
2000年 アザド外相(小渕前総理葬儀、G8外相会談)、チョードリー国会議長
2001年 カーン情報大臣
2002年 カーン外相(アフガン復興支援閣僚会合)
2003年 カーン外相(外賓)、アーメド法相
2005年 ジア首相(公実賓)
2007年 イスラム財務担当顧問(ADB総会)、チョードリー外務担当顧問(外賓)
2009年 マームド首相特使(外務担当国務大臣)、ハミッド国会議長

7.二国間条約・取極

青年海外協力隊派遣取極
航空協定
文化協定
租税条約
投資保護協定
技術協力協定