ベルギー王国
(Kingdom of Belgium)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年6月現在)

一般事情

1.面積

30,528平方キロメートル(日本の約12分の1)

2.人口

1,075万人(2009年)

3.首都

ブリュッセル

4.言語

オランダ語、フランス語、ドイツ語

5.宗教

キリスト教(カトリック)が大勢

6.略史

年月 略史
1814年〜 ウィーン会議によりオランダの支配下
1830年 独立宣言(フランスの7月革命の影響)
1839年 オランダによるベルギー独立承認
第一次、第二次世界大戦の対独戦により占領を受ける
1944年9月 独の占領より解放

政治体制・内政

1.政体

立憲君主制

2.元首

アルベール2世国王(1993年8月9日即位)

3.議会

二院制(下院:150名、上院:71名)

  政党名 議席数
下院 上院
蘭語系 ※蘭語系キリスト教政党(CD&V) 17 7
※蘭語系自由党(Open VLD) 13 6
 フラームス・ベラング(VB) 12 5
 蘭語系社会党 -フランドル進歩党(SP.A-Vlaams Progressieven) 13 7
 新フランドル同盟(N-VA) 27 14
 リスト・デデッケル(LDD) 1 0
 蘭語系環境政党(Groen!) 5 2
蘭語系計 88 41
仏語系 ※仏語系自由党(MR) 18 8
※仏語系社会党(PS) 26 13
※仏語系キリスト教政党(CDH) 9 4
 仏語系環境政党(Ecolo) 8 5
 人民党(PP) 1 0
仏語系計 62 30
合計 150 71

(※は現内閣の連立与党)
(2010年12月現在)

4.政府

(1)首相 イヴ・レテルメ(蘭語系キリスト教政党)

(2)外相 ステフェン・ファンアッケレ(蘭語系キリスト教政党)(副首相も兼務)

5.内政

(1)2007年6月の連邦議会(上院及び国民議会)選挙結果を受けて、2008年3月、レテルメ党首(蘭語系キリスト教政党)が首相に就任、蘭語系・仏語系双方のキリスト教政党及び自由党、仏語系社会党の5党連立によるレテルメ内閣(第一次レテルメ内閣)が発足(地域政府への権限委譲などの「国家制度改革」を巡ってオランダ語系とフランス語系の間で連立協議がまとまらず、2007年12月から2008年3月までヴェルホフスタット元首相による暫定内閣)。

(2)金融危機により経営破綻に陥ったフォルティス銀行の一時国有化・仏BNPパリバ銀行への売却を巡る訴訟への政府の対応が問題となり、2008年12月末、レテルメ内閣が総辞職し、ファン=ロンパイ前連邦議会国民議会議長が首相に就任した。レテルメ前首相は、2009年6月の内閣改造により、外相に就任した。

(3)2009年11月にファン=ロンパイ首相が欧州理事会常任議長に転出したことをうけて、レテルメ外相が首相に復帰し、第二次レテルメ内閣が発足するも、2010年4月、蘭語圏と仏語圏の対立を巡る内政問題で連立与党内での相違が表面化。レテルメ首相は辞意を表明。

(4)2010年6月に総選挙が行われ、フランドル主義を掲げる新フランドル同盟(N-VA)が蘭語圏第一党となり、全国で見ても最多議席数を獲得。仏語圏第一党で全国レベル第二党となった社会党(PS)含め、現在、蘭・仏語圏の主要政党間で組閣に向けた交渉、各種調整が行われている。その間、レテルメ内閣は事務処理内閣として存続。

(5)内政上の最大の課題は仏語系と蘭語系の利害調整。経済的に優位にあるフランドル地域(蘭語)は地域政府への抜本的な権限委譲を求めており、ワロン地域(仏語)と意見が相違。

外交・国防

1.外交基本方針

(1)欧州統合推進と北大西洋条約機構(NATO)を通じた安全保障の確保に重点。近年アジア新興国も重視。

(2)国連PKOに積極的に参加している他、アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)やリビア制裁等にも兵力を派遣。

(3)旧植民地であるコンゴ(民)、ブルンジ、ルワンダへの経済協力を重視。

2.軍事力

(1)予算 27.6億ユーロ(2011年度予算)

(2)兵力 総兵力37,882人(予備役7,600人)
(陸上13,601人、海上1,590人、航空6,814人、医療1,888人、統合軍13,989人)

(2011年ミリタリーバランス)

経済

1.主要産業

化学工業、機械工業、金属工業、食品加工工業、金融業

2.GDP(名目)

2010年 4,657億ドル(IMF予測値)

3.一人当たりGDP

2010年 42,630ドル(IMF予測値)

4.経済成長率

2010年 1.973%(IMF予測値)

5.物価上昇率

2010年 2.302%(IMF予測値)

6.失業率

2010年 8.364%(IMF予測値)

7.総貿易額

輸出 2,123億ユーロ

輸入 2,138億ユーロ

(2010年ベルギー中央銀行予測値)

8.主要貿易品

(1)輸出 化学工業製品、機械、電機製品、輸送用機械、金属および金属加工品等

(2)輸入 化学工業製品、鉱物性燃料・同製品、機械、輸送用機械等

(2009年ベルギー中央銀行)

9.主要貿易相手国

(1)輸出 仏、独、蘭、英、米

(2)輸入 蘭、独、仏、英、米

(2009年ベルギー中央銀行)

10.通貨

ユーロ

11.経済概況

(1)ベルギーは貿易依存度が高く、世界貿易の動向に大きな影響を受けやすい。経済成長率は、2005年に対ドル・ユーロ高、ユーロ圏経済の伸び悩み等により1.7%と低迷、2006年、2007年には堅調な国内需要を背景に2.8%まで回復した。2008年の世界的な金融危機により株式市場は急落、インフレ率も50年ぶりにマイナスを記録し、政府はベルギー大手3銀行に公的資金を注入する等の対応を余儀なくされた。2009年6月以降、ゆるやかながら経済全体として回復基調に入り、2010年は好調なドイツ経済の恩恵もあり、約2%の経済成長を達成した。

(2)物価上昇率は低い水準で安定していたが、石油価格高騰等を受け2008年には4.5%となった。失業率は7〜8.0%を超える高水準で推移。

二国間関係

1.政治関係

 伝統的に友好関係を維持。日本国皇室・ベルギー王室関係は極めて緊密。

2.経済関係

(1)日・ベルギー貿易(単位:億円、出典:財務省貿易統計)

(イ)貿易額 
  日本→ベルギー ベルギー→日本
2004年 7,799 2,259
2005年 7,859 2,340
2006年 8,316 2,148
2007年 9,295 2,273
2008年 8,792 2,134
2009年 4,983 1,697
2010年 5,860 2,056
(ロ)主要品目(2010年)
日本→ベルギー 自動車、建設機械、自動車部品、電算機器等
ベルギー→日本 医薬品、自動車、ダイヤモンド、有機化合物等

(2)直接投資残高(2009年日銀国際収支統計)

日本→ベルギー 14.503百万ドル
ベルギー→日本 934百万ドル

(3)進出企業数(2010年10月現在、在ベルギー日本国大使館)

日本→ベルギー 227社
ベルギー→日本 33社

3.文化関係

日・ベルギー文化協定(1974年10月23日発効)
1989年、9月26日より約3ヶ月間日本をテーマ国とした総合芸術祭「ユーロパリア・日本祭」開催

4.在留邦人数

5,520人(2010年10月1日現在、在ベルギー日本国大使館)

5.在日当該国人数

685人(2009年末現在、法務省統計)

6.要人往来

(1)往(2000年以降)

年月 要人名
2000年 河野外務大臣、深谷通産大臣、玉澤農水大臣他(日・EU閣僚会議)
2001年 小泉総理大臣(日・EU定期首脳協議)
2002年 遠山文部科学大臣、川口外務大臣(EU要人との会談)
2005年 小野寺外務政務官、町村外務大臣(イラク支援国際会議)、伊藤外務政務官
2006年 麻生外務大臣(ヴェルホフスタット首相、NATO事務局長 他)、中馬内閣府特命担当大臣、岩屋外務副大臣(OSCE外相会合)
2007年 安倍総理大臣(首脳会談、NATO訪問等)
2008年 西村外務政務官(グルジア支援国会合)
2009年 西村外務政務官
2010年 菅総理大臣(第8回ASEM首脳会合)
2011年 自見郵政改革・金融問題担当大臣、松本外務大臣

(2)来(2000年以降)

年月 要人名
2000年 フィリップ皇太子同妃両殿下
2001年 ヴェルホフスタット首相
2002年 レンデルス財務相、フィリップ皇太子同妃両殿下、ネイツ外相付国務長官
2003年 ロラン王子殿下、ヴェルホフスタット首相
2005年 フィリップ皇太子(博覧会賓客)、デ=グフト外相、ヴェルホフスタット首相、レンデルス財務相
2006年 ヴァン=ダール統合参謀長
2008年 ヴァン=クィッケンボルネ経済・行政改革相
2010年 レテルメ首相、ファンアッケレ外相
2011年 ペーテルス・フランドル地域政府首相

7.二国間条約・取極

査証取極(1956年)、航空協定(1959年)、ベネルクス通商協定(1960年)、租税条約(1968年)(同改正議定書(1988年))、文化協定(1973年)、社会保障協定(2005年)

8.外交使節

(1)ベルギー駐箚日本国大使 横田淳特命全権大使

(2)本邦駐箚ベルギー大使 リュック・リーバウト特命全権大使