ブラジル連邦共和国
(Federative Republic of Brazil)
出典:外務省 各国・地域情勢(2011年5月現在)
一般事情
1.面積
851.2万平方キロメートル(日本の22.5倍)
2.人口
約1億9,400万人(2008年、国連統計)
3.首都
ブラジリア
4.民族
欧州系(55%)、混血(38%)、その他(アフリカ系東洋系等)
5.言語
ポルトガル語
6.宗教
キリスト教(カトリック約74%、プロテスタント約15%)(2000年、地理統計院)
7.略史
年月 | 略史 |
---|---|
1500年 | ポルトガル人カブラルによるブラジル発見 |
1822年 | ポルトガルより独立(9月7日) |
1889年 | 共和制樹立(11月15日) |
1964年 | カステロ・ブランコ軍事政権樹立 |
1985年3月 | 民政移管(サルネイ政権) |
1988年10月 | 新憲法公布 |
1995年1月 | カルドーゾ政権成立 |
1999年1月 | 第2期カルドーゾ政権成立 |
2003年1月 | ルーラ政権成立 |
2007年1月 | 第2期ルーラ政権成立 |
2011年1月 | ルセーフ政権成立 |
政治体制・内政
1.政体
連邦共和制、三権分立(米国型)
2.元首
ジルマ・ヴァナ・ルセーフ大統領(2011年1月就任、任期4年)
3.議会
二院制(上院81名、下院513名)
4.政府
(1)首相名 なし
(2)外相名 アントニオ・デ・アギアール・パトリオッタ
5.内政
1995年〜2002年のカルドーゾ政権においては、ハイパー・インフレの収束による経済安定を実現。
2003年1月に貧困の解決と経済成長の回復を掲げ、ルーラ大統領の労働者党(PT)政権が発足。2007年1月、第2期ルーラ政権発足。世界的な金融危機の影響にもかかわらず、底堅さを見せる経済にも助けられ、ルーラ大統領は最後まで高い支持率を維持(退任直前でも87%)。
2010年10月に実施された大統領選挙で選出されたルセーフ大統領が、11年1月1日大統領に就任(任期4年)。就任演説では、ルーラ前大統領の政策を継続すること、その成果を拡大かつ定着させること、ブラジルを最も先進的で、格差の少ない起業家精神に溢れた中間層の国にすること等を表明している。また、優先課題として、福祉、教育、保健、治安等を掲げている。大統領選挙と同時に実施された連邦議員選挙では、上下両院でそれぞれ連立与党が70%を超える議席を獲得し大躍進した。
外交・国防
1.外交基本方針
○グローバルで活発な外交展開
- 国連改革、WTO、環境・気候変動、G20(金融サミット)等の地球的規模問題への積極的な関与。
- 近隣諸国、米・EU・日本、アジア、アフリカ等との多面的な外交展開(ルーラ大統領は、アジア、欧米、アフリカ、中東などを積極的に訪問)。
○地域統合の進展
- 1995年1月、関税同盟としてメルコスールが発足。人口約2億4,000万人、GDP約1.9兆ドル(2009年統計)。EU等との自由貿易市場を追求。
2.軍事力(ミリタリーバランス2010)
(1)予算 233億ドル(2008年)、297億ドル(2009年)
(2)兵役 徴兵制
(3)兵力 陸軍19万人、海軍6.7万人、空軍7.07万人
経済(単位 米ドル)
1.主要産業
製造業、鉱業(鉄鉱石他)、農牧業(砂糖、オレンジ、コーヒー、大豆他)
2.GDP
1兆5,740億ドル(2009年、IMF)
3.一人当たりGDP
8,220ドル(2009年、IMF)
4.経済成長率
5.1%(2008年)、−0.2%(2009年)、7.5%(2010年)(IMF)
5.物価上昇率
5.9%(2010年、地理統計院)
6.失業率
6.7%(2010年、地理統計院)
7.総貿易額
(1)輸出 1,979億米ドル(2008年、ブラジル中央銀行)
(2)輸入 1,731億米ドル(2008年、ブラジル中央銀行)
8.貿易品目(2008年、ブラジル開発商工省)
(1)輸出 工業製品(完成品)46.8%(航空機、乗用車、自動車部品等)、一次産品 36.9%(鉄鉱石、原油、大豆)、 半製品13.7%(鉄鋼半製品、化学木材パルプ、粗糖等)
(2)輸入 原材料及び中間材48.1%(化学・医薬品、鉱産物、輸送用機器・アクセサリー等)、資本財20.7%(産業用機械、事務・科学用機器)、燃料及び潤滑油18.2%、非耐久消費財5.7%、耐久消費財7.3%
9.貿易相手国(2009年、ブラジル開発商工省)
(1)輸出 中国(13.2%)、米国(10.2%)、アルゼンチン(8.4%)、オランダ(5.3%)、ドイツ(4.0%)
(2)輸入 米国(15.8%)、中国(12.5%)、アルゼンチン(8.8%)、ドイツ(7.7%)、日本(4.2%)
10.通貨
レアル
11.為替レート
1米ドル=約1.62レアル(2011年5月現在)(1レアル=約50円)
12.経済概況
南米最大の経済規模を誇る。ルーラ大統領は前政権の財政安定化政策を踏襲。経済安定と改革重視の政策をとり国際的信用を維持。近年は安定した経済成長を継続。貿易収支も好調で2009年には外貨準備高は2,390億ドルとなった。対外純債権国となっている。
経済協力
1.日本の援助実績
(1)有償資金協力(2009年度、E/Nベース) なし
(2)無償資金協力(2009年度、E/Nベース) 1.70億円
(3)技術協力(2009年度、JICAベース) 23.69億円
2.主要援助国(2007年:支出純額、単位:百万ドル、OECD/DAC)
(1)仏(112.91)、(2)独(76.8)、(3)西(32.8)
二国間関係
1.政治関係
1895年11月の修好通商航海条約調印をもって外交関係樹立。ブラジル移住は1908年、笠戸丸による移住をもって開始。ブラジル移住100周年にあたる2008年を「日本ブラジル交流年」として祝賀。海外で最大の日系社会(150万人)、活発な要人往来等伝統的に強い友好関係。近年は、国際場裡における協力関係も構築(例:国連安保理改革、G4)等。
2.経済関係
(1)対日貿易(財務省貿易統計)
- (イ)品目
- 対日輸出 鉄鉱石、肉類、非鉄金属、鉄鋼等
対日輸入 自動車部品、自動車、原動機、鉄鋼等 - (ロ)貿易額
- 対日輸出 5,430億円(2010年)
対日輸入 8,625億円(2010年)
(2)日本からの直接投資
- 16.7億ドル(2009年ブラジル中央銀行)
3.在留邦人数
59,627名(2009年10月現在)
(長期滞在者:2,327人、永住者:57,300人)
(日系人総数推定 約150万人)
4.在日ブラジル人数
約27万人(2009年12月現在)
5.要人往来
(1)往(1982年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1982年 | 鈴木総理 |
1982年 | 浩宮殿下 |
1985年 | 福田元総理 |
1985年 | 安倍外務大臣 |
1986年 | 常陸宮同妃両殿下 |
1988年 | 礼宮殿下 |
1990年 | 竹下元総理 |
1992年 | 竹下元総理、海部前総理 |
1994年 | 河野副総理兼外務大臣 |
1995年1月 | 小渕自民党副総裁(カルドーゾ大統領就任式) |
1995年11月 | 清子内親王殿下(修好100周年) |
1996年8月 | 橋本総理 |
1997年5-6月 | 天皇皇后両陛下 |
1997年7月 | 岡野労働大臣 |
1998年6月 | 小渕外務大臣(移住90周年) |
1998年11月 | 真鍋環境庁長官 |
1999年9月 | 三塚日伯国会議員連盟会長 |
2000年8月 | 武藤元外務大臣 |
2002年8月 | 本岡参議院副議長一行 |
2003年1月 | 江藤特派大使(ルーラ大統領就任式) |
2003年8月 | 茂木外務副大臣 |
2004年9月 | 小泉総理 |
2006年5月 | 中川農水大臣 |
2006年6月 | 竹中総務大臣 |
2006年9月 | 中川農水大臣 |
2007年5月 | 松岡農水大臣 |
2007年8月 | 菅総務大臣 |
2007年8月 | 麻生外務大臣 |
2008年1月 | 木村外務副大臣 |
2008年5月 | 若林農水大臣 |
2008年6月 | 皇太子殿下(日伯交流年・移住100周年)、麻生日伯国会議員連盟会長 |
2008年6-7月 | 甘利経産大臣 |
2010年5月 | 麻生前総理 |
2010年12月-2011年1月 | 麻生特派大使(ルセーフ大統領就任式)、衆議院ブラジル訪問議員団 |
(2)来(1984年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1984年 | フィゲィレード大統領(国賓) |
1985年 | ギマランイス下院議長 |
1989年 | サルネイ大統領 |
1990年9月 | レゼッキ外相(外務省賓客) |
1990年 | コロール大統領 |
1991年9月 | モレイラ外相(外務省賓客) |
1993年5月 | カルドーゾ外相(外務省賓客) |
1995年5月 | ランプレイア外相(外務省賓客) |
1995年11月 | マシエル副大統領 |
1996年3月 | カルドーゾ大統領(国賓) |
1996年4月 | マガリャンエス下院議長 |
1998年11月 | ランプレイア外相(外務省賓客) |
2000年4月 | ダヴァーレス企画予算管理相 |
2000年9月 | トウリーニョ鉱山エネルギー相 |
2001年2月 | セーラ保健相 |
2001年11月 | アマラル開発商工相 |
2002年5月 | ラフェル外相(外務省賓客) |
2003年2月 | アモリン外相、フルラン開発商工相、ロドリゲス農務相 |
2004年3月 | アモリン外相(外務省賓客) |
2004年5月 | ロドリゲス農務相、パロッシ財務相 |
2005年5月 | ルーラ大統領(公式実務訪問賓客)、アモリン外相、パロッシ財務相、ロドリゲス農務相、フルラン開発商工相、ルセーフ鉱山エネルギー相、ギア観光相、メインレス中銀総裁(大統領訪日同行) |
2006年4月 | アモリン外相、フルラン開発商工相、 コスタ通信相、アダッジ教育相 |
2007年3月 | ピント農相 |
2007年9月 | スプリシー観光相 |
2008年1月 | キナリア下院議長 |
2008年4月 | ルセーフ大統領府文官長(外務省賓客) |
2008年7月 | ルーラ大統領(G8北海道洞爺湖サミット・アウトリーチ)、アモリン外相(同左) |
2009年10月 | レゼンデ科学技術相 |
2010年7月 | ガバス社会保障相、ルピ労働相 |
2011年4月 | パトリオッタ外相 |
7.二国間条約・取極
○航空運送協定(1962年)
○移住・植民協定(1963年)
○文化協定(1964年)
○租税条約(1967年)
○技術協力基本協定(1971年)
○科学技術協力協定(1984年)