キューバ共和国
(Republic of Cuba)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年3月現在)

一般事情

1.面積

110,922平方キロメートル(本州の約半分)

2.人口

1,124万人(2009年国家統計局)

3.首都

ハバナ

4.民族

ヨーロッパ系25%、混血50%、アフリカ系25%(推定)

5.言語

スペイン語

6.宗教

宗教は原則として自由

7.略史

略史
1898年 米西戦争
1902年 独立
1959年 カストロ政権成立(キューバ革命)
1961年 米国と外交関係断絶、ピッグズ湾事件
1962年 キューバ危機
米州機構(OAS)が対キューバ制裁決議(除名)
1965年 キューバ共産党結成
1975年 第1回共産党大会、アンゴラ派兵本格化
1976年 新憲法制定、人民権力全国議会発足、カストロ国家評議会議長就任
1979年 非同盟運動諸国首脳会議開催(ハバナ)
1980年 マリエル事件(12万5千人のキューバ難民発生)
1991年 アンゴラ撤兵完了
1992年 憲法改正、米トリチェリ法成立
1994年 米・キューバ移民協議
1996年 米民間機(反カストロ亡命キューバ人団体)撃墜事件
米ヘルムズ・バートン法成立
1998年 ローマ法王のキューバ訪問
1999年 米国による対キューバ経済制裁の一部緩和措置発表
第9回イベロアメリカ・サミットの開催(ハバナ)
エリアン少年事件
2000年 米国による対キューバ経済制裁の一部緩和措置発表
第1回南サミット(G77諸国)開催(ハバナ)
2001年 米国からの食糧購入開始
2002年 カーター米元大統領キューバ訪問
2006年 カストロ議長がラウル・カストロ国家評議会第一副議長に権限を暫定委譲
非同盟運動諸国首脳会議開催(ハバナ)
2008年 カストロ議長が国家評議会議長職を辞す意向を表明
ラウル・カストロ国家評議会議長就任
2009年 オバマ米政権による対キューバ制裁緩和

政治体制・内政

1.政体

共和制(社会主義国)

2.元首

ラウル・カストロ・ルス国家評議会議長(閣僚評議会議長兼任)

3.議会

一院制(人民権力全国議会、614名)

4.政府

(1)首相 ラウル・カストロ・ルス(閣僚評議会議長)

(2)外相 ブルーノ・ロドリゲス・パリージャ

5.内政

(1)1959年、キューバ革命によりフィデル・カストロ政権成立。統治機構は、立法機関であり国権の最高機関たる「人民権力全国議会」とそれによって選出される31名の集団指導機関「国家評議会」、行政府たる「閣僚評議会」、司法機関たる「人民最高裁判所」から構成。

(2)1993年、初めて直接選挙による人民権力全国議会を開催。全国議会議員の任期は5年。2008年1月、全国議会選挙が実施され、フィデル・カストロ前議長を含む614名の立候補者全員が当選。

(3)2008年2月24日、人民権力全国議会は、半世紀近く国家元首の地位にあったフィデル・カストロ国家評議議長の辞意表明を受け、同議長の実弟であるラウル・カストロ国家評議会第一副議長(当時)を議長に選出。ナンバー2の第一副議長職にはマチャド・ベントゥーラ副議長が選出された。フィデル・カストロ前議長は共産党第一書記の職は維持。

(4)2009年3月、国家評議会及び共産党政治局は、11名の閣僚職の解任を発表し、ラウル・カストロ議長就任後最大の閣僚評議会の人事交代を実施。ポスト・カストロ体制の有力な後継者と目されていた若手指導者のラヘ国家評議会副議長及びペレス外相が事実上失脚した(両名ともフィデル前議長の長年の側近)。

(5)原則5年毎に開催される共産党大会は、1997年の第5回大会以来開催されていないが、2011年4月、第6回大会が開催される旨発表された。第6回大会では、主に経済問題について議論される予定。

(6)フィデル・カストロ前議長は、2006年に病に倒れ、その後しばらくは公の場に姿を見せず、健康状態が危ぶまれたが、2010年7月、ほぼ4年ぶりに公の場に登場。以後、活動を活発化させている。

外交・国防

1.外交基本方針

2.軍事力

(1)国防予算 16.6億ドル

(2)兵役 徴兵制

(3)兵力 49,000人(陸軍3.8万人、海軍0.3万人、空軍0.8万人)

(ミリタリーバランス 2008年)

経済

1.主要産業

観光業、医療サービス、農業(砂糖、煙草、柑橘類)、鉱業(ニッケル)、水産業

2.GDP(名目値)

62,279百万ペソ(2009年国家統計局)

3.一人当たりGDP

3,684ペソ(2009年国家統計局)

4.経済成長率

1.4%(2009年国家統計局)

5.消費者物価上昇率

−0.1%(2009年国家統計局)

6.失業率

1.7%(2009年国家統計局)

7.貿易総額

(単位:百万ペソ、2009年国家統計局)

  2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
(1)輸出(F.O.B.) 2,159 2,925 3,686 3,664 2,879
(2)輸入(C.I.F.) 7,604 9,498 10,079 14,234 8,910

8.主要貿易品目

(1)輸出 鉱物、砂糖、葉巻、魚介類、農畜産物

(2)輸入 燃料・潤滑油、機械・輸送機械、食料・動物、工業製品、雑貨

9.主要貿易相手国(2009年)

(1)輸出 ベネズエラ、中国、カナダ、オランダ、スペイン

(2)輸入 ベネズエラ、中国、スペイン、米国、ブラジル

10.通貨

キューバ・ペソ及び兌換ペソ

11.為替レート

1兌換ペソ=1.08米ドル(公式レート)=約24キューバ・ペソ(実勢レート)

12.経済概況

(1)ソ連・東欧圏の崩壊で、1990年代前半キューバ経済は大幅なマイナス成長を記録。経済危機を克服するため、キューバ政府は部分的に市場原理に基づく経済改革を導入。その後キューバ経済は1995年以降から回復の兆しを見せ、1990年代後半の成長率は平均4.6%。近年では、ベネズエラや中国との緊密な経済関係等を背景に高い成長率を記録したが(12.5%(2006年)、7.5%(2007年)(政府発表))、国際的な経済危機及びハリケーン被害等により成長率が急速に鈍化(4.1%(2008年)、1.4%(2009年))。

(2)主要産業は観光業、農業(砂糖、タバコ)、鉱業(ニッケル)等。最近は医療分野(眼科医の海外派遣)にも力を入れている。他方、国内では格差の拡大や腐敗等の問題が深刻化。

(3)現在ベネズエラがキューバの最大の貿易相手国。キューバはベネズエラから約10万バレル/日の原油を特恵条件で輸入する一方、ベネズエラへの医療サービス提供による収入が増加。

(4) メキシコ湾海底油田の推定石油埋蔵量は、46億バレル(米国地質調査所)。同油田鉱区には、スペイン、ノルウェー、ベネズエラ、ロシア、インド、ベトナム、マレーシア、ブラジルの石油企業が参入している。

(5)脱ドル化プロセスとして、国営企業間の取引通貨を兌換ペソへ変更(2003年7月)、キューバ国営企業の行う副次的なサービスや製品に対するドル使用の禁止(2004年3月)、国内での米ドル流通禁止(2004年11月)等を実施。

(6)ラウル・カストロ議長就任以来、プリペイド携帯電話所持、DVD等の電気製品の販売、ホテル宿泊を解禁する等の自由化の動きがみられる他、農業分野では、地方に政策決定権と責任を持たせようとする分権化の動きがある。

(7)日本との関係は、1998年3月民間債務リスケに基本合意が成立。公的債務についても、直近では2008年10月に短期債務についてリスケ合意したものの、その後、再び支払いが滞ったため、2010年8月貿易保険の引受けが停止された。

(8)1982年の外資関連法により、外国企業はキューバとの合弁事業が可能となり、1995年9月には100%の外資導入を認めた新外国投資法が成立。スペイン、カナダを筆頭に、ホテル、鉱業、石油精製等の分野への投資が進行。2002年には400近い合弁企業が稼働していたが、現在は約230社にまで減少。最近の投資企業数の減少は、キューバ側がベネズエラ及び中国のような国々の大型投資を求めるようになっていること、2003年頃から本格化したキューバ政府の中央集権的な経済政策の再強化等が要因。

経済協力

1.日本の援助実績(2008年度までの累積)

(1)有償資金協力 なし

(2)無償資金協力(交換公文ベース) 18.33億円

(3)技術協力実績(JICA経費実績ベース) 34.44億円

2.主要援助国(2007年)支出純額、単位:百万ドル(DAC集計ベース)

(1)スペイン(23.99) (2)米(12.39) (3)加(8.39) (4)スイス(4.46) (5)ベルギー(3.03)

二国間関係

1.政治関係

1929年12月21日 外交関係開設
1952年11月21日 外交関係再開

2.経済関係

対日貿易(我が方通関統計、単位:億円)

(イ)貿易額
  2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
日本の輸出 33 69 113 192 148 209 69 49
日本の輸入 35 33 29 34 21 20 16 13
(ロ)主要品目
日本の輸出 医療機器、精密機械、電気機械、輸送機械
日本の輸入 魚介類、葉巻、コーヒー、ニッケル、その他食料品

3.文化関係

4.在留邦人数

80人(2010年10月) (参考)日系人約1,100人(1世〜5世)

5.在日当該国人数

215名(2009年、法務省)

6.要人往来

(1)往

要人名
1992年 猪木寛至参議院議員
1994年 今津寛、古屋圭司衆議院議員
1995年 矢田部理、栗原君子、大脇雅子参議院議員、日玖経済懇話会使節団
1996年 井上一成衆議院議員
1997年 高村正彦外務政務次官
1999年 衆議院議員団(団長:三塚博・友好議連会長)
2000年 武藤嘉文衆議院議員団
2001年 綿貫民輔衆議院議長一行、瓦力衆議院議員一行(IPU会議)、橋本龍太郎元総理
2002年 渡辺喜美衆議院議員一行
2004年 平井たくや衆議院議員一行
2005年 羽田孜元総理大臣
2006年 参議院公式派遣団(片山虎之助団長)、遠山清彦外務大臣政務官
2007年 松島みどり外務大臣政務官、横路孝弘衆議院副議長一行、衆議院農林水産委員会一行(西川公也団長)
2008年 平井たくや国土交通省副大臣
2010年 赤松広隆農林水産大臣、参議院公式派遣団(尾辻秀久団長)

(2)来

要人名
1989年 フェルナンデス閣僚評議会副議長兼教育大臣(大喪の礼)
1990年 ハルト文化大臣(花博)、ロドリゲス国家評議会副議長(即位の礼)
1991年 カブリサス外国貿易大臣
1992年 アラルコン外務大臣
1995年 ロバイナ外務大臣、メレンデス外国投資・経済協力大臣、ソベロン国立銀行総裁、カストロ国家評議会議長
1996年 アジェンデ外務次官
1997年 ハルト文化大臣、ロバイナ外務大臣、シメオン科学・技術・環境大臣
1998年 ソベロン中銀総裁
1999年 ロバイナ外務大臣(外務省賓客)、プリエト文化大臣
2000年 ラヘ国家評議会副議長(外務省賓客)、アラルコン人民権力全国議会議長
2001年 カブリサス国際経済担当大臣、ペレス外務大臣(外務省賓客)、ゲラ外務次官、エスピン女性連盟会長
2002年 カブリサス国際経済担当大臣、ゲラ外務次官
2003年 カストロ国家評議会議長、バラゲル国家評議会委員、カブリサス国際経済担当大臣
2004年 ロドリゲス・スポーツ体育レクレーション庁長官、ロペス漁業大臣
2005年 デ・ラ・ヌエス外国貿易大臣(万博賓客)、クロムベット人民権力全国議会副議長
2006年 カブリサス国際経済担当大臣
2009年 ロドリゲス外務大臣(外務省賓客)

7.二国間条約・取極

1960年 通商協定(署名)(発効 1961年)
2009年 技術協力協定(署名)(発効 2010年)