ジブチ共和国
(Republic of Djibouti)
出典:外務省 各国・地域情勢(2011年6月現在)
一般事情
<アラブとアフリカの十字路に位置する国家>
1.面積
23,200平方キロメートル(四国の約1.3倍)
2.人口
82万人(2010年、国勢調査)
3.首都
ジブチ(人口約48万人)
4.民族
ソマリア系イッサ族(50%)、エチオピア系アファール族(37%)
5.言語
アラビア語、仏語
6.宗教
イスラム教(94%)
7.国祭日
6月27日(独立記念日)
8.略史
年月 | 略史 |
---|---|
1862年3月 | 仏、ジブチ市北方のオボック地方をアファール族より譲り受ける |
1885年 | 仏、イッサ族よりジブチ市近辺を譲り受ける |
1896年5月 | 仏領ソマリランドに名誉総督を派遣 |
1946年 | 仏海外領土となる |
1967年3月 | 仏領アファール・イッサと改名 |
1977年6月 | 仏より独立、グーレド大統領就任 |
1991年11月 | 政府軍と反政府軍FRUD(アファール系)の武力衝突により内戦が勃発 |
1992年9月 | 国民投票(新憲法採択) |
1994年12月 | 政府とFRUDの間で和平合意に署名 |
1996年3月 | FRUDが政党として正式に公認される |
1999年4月 | 大統領選挙 ゲレ候補当選 |
1999年5月 | ゲレ大統領就任 |
2000年2月 | 政府と武装FRUDとの間で和平枠組み合意に署名 |
2001年5月 | 政府と武装FRUDとの間で最終和平案を合意 |
2003年1月 | 総選挙で与党連合が国会の全65議席を獲得 |
2005年4月 | 大統領選挙 ゲレ大統領再選 |
2010年4月 | 憲法改正(大統領任期の短縮(6年から5年))、再選回数制限の撤廃等 |
2011年4月 | 大統領選挙でゲレ大統領3選 |
政治体制・内政
1.政体
共和制
2.元首
イスマイル・オマール・ゲレ大統領
3.議会
一院制国民議会(65議席)
4.政府
(1)首相 ディレイタ・モハメド・ディレイタ
(2)外務・国際協力相 マフムッド・アリ・ユスフ
5.内政
1977年の仏からの独立以来、ジブチ住民の大部分が属するイッサ族(ソマリア系)とアファール族(エチオピア系)の対立を背景とする紛争と、国民融和に向けての努力が繰り返されてきた。
1991年、政府軍と反政府軍FRUD(統一と民主主義回復のための戦線、アファール系)の武力衝突により内戦が勃発。両者間の和平対話が行き詰まる中、グーレド大統領は民主化を推進。1992年9月複数政党制を含む新憲法を国民投票により採択。
1994年12月政府とFRUDは和平合意し、3年余りの内戦が終結した。他方、反政府組織は北部地域を拠点に武装FRUDを形成し、ゲリラ活動を開始。
1997年12月には和平合意後初の国民議会選挙が実施され、連立与党のRPP(進歩人民連合)とFRUDが全議席を獲得し、同月29日新政府が発足。17名の閣僚の内2名はFRUD。
1999年4月、グーレド大統領の勇退に伴い行われた大統領選挙は、民主的な政権交替がなされるかどうかが注目されたが、ゲレ候補は、野党統一候補のイドリス候補を大差で破り、同年5月8日、ゲレ新大統領が就任。
2000年2月、政府と武装FRUDの間で和平枠組み合意に署名、2001年5月、最終和平案が合意。
2003年1月、総選挙で与党連合が国会の全65議席を獲得。
2005年4月、大統領選が行われ、約97%の高得票率でゲレ大統領が再選。
2010年4月、憲法を改正し、大統領任期を6年から5年に短縮、再選回数の制限を撤廃、定年制(75歳)の導入が行われた。
2011年4月、大統領選挙でゲレ大統領3選。
外交・国防
1.外交基本方針
旧宗主国仏をはじめ、全ての国との友好協力関係維持に努力。近年アラブ連盟の一ヵ国として近隣のサウジアラビアを中心とするアラブ穏健派との関係が深い。2001年9月の米国同時多発テロ事件以降は、従来から駐留する仏軍に加え、米軍基地が置かれ、独、西軍も駐留。
2.軍事力(2008年版 ミリタリーバランス)
(1)予算 13百万ドル(2009年)
(2)兵役 志願兵
(3)兵力 10,450名(陸軍8,000名、海軍200名、空軍250名、憲兵隊2,000名)
経済(単位 米ドル)
<交通・運輸サービスが中心>
1.主要産業
(運輸)ジブチ鉄道、ジブチ港湾サービス
2.GNI
9億6,000万米ドル(2008年:世銀)
3.一人当たりGNI
1,130米ドル(2008年:世銀)
4.経済成長率
3.9%(2008年:世銀)
5.インフレ率
3.1%(2008年:世銀)
6.総貿易額(2009年:EIU)
(1)輸出 約81.2百万米ドル
(2)輸入 約554億米ドル
7.主要貿易品目
(1)輸出 再輸出品、現地製造品
(2)輸入 食料、石油製品、カート、機械・電機器具
8.主要貿易相手国(2009年:EIU)
(1)輸出 ソマリア、UAE、イエメン、オマーン
(2)輸入 サウジアラビア、印、中国、米国
9.通貨
ジブチ・フラン(Dfr)
10.為替レート
1米ドル=177.7ジブチ・フラン(固定レート)
11.経済概況
厳しい自然環境のため国土の大部分で農業未発達。主な収入源は、ジブチ鉄道による収入、中継貿易、ジブチ港の港湾施設サービス、仏軍、米軍等の駐留による利益。
1991年よりソマリア等周辺諸国からの難民・避難民を受け入れ、うち1996年4月までにエチオピア難民約5万人が帰還したとされるが、依然として1万人以上のソマリア難民、エチオピア難民が存在し同国経済を圧迫。また、経済及び財政建て直しのための緊縮財政を余儀なくされている。2001年11月、世銀・IMFの主導の下、貧困削減戦略文書暫定版(I-PRSP)が策定され、2004年5月、右文書の完全版(F-PRSP)が策定されている。現在、ジブチ政府は、これらの文書に基づく経済政策を実施している。
経済協力(単位 億円)
1.日本の援助実績
(1)有償資金協力(2009年度まで、E/N(交換公文)ベース)0
(2)無償資金協力(2009年度まで、E/Nベース)252.56
(3)技術協力実績(2009年度まで、JICAベース)28.57
2.主要援助国(2009年、単位:百万ドル)
(1)フランス(41.97) (2)日(18.82) (3)イタリア(12.02) (4)米(6.35) (5)スペイン(2.67)
二国間関係
1.政治関係
1977年6月27日ジブチを承認
1989年4月ジブチ大使館が東京に開設、日本側は在エチオピア大使館が兼轄。
1986年に南イエメン(当時)内乱から脱出した在留邦人38名がジブチに脱出した事を契機に両国関係は緊密化。更に、1994年5月、イエメン内戦で緊急脱出した在留邦人及び邦人旅行者75名が、ジブチ経由で帰国。なお、阪神・淡路大震災の際、グーレド大統領(当時)は私金で、日赤及び兵庫県に計1万ドルの義援金を供与。
2009年3月より、ソマリア沖、アデン湾における海賊対処のため、日本の海上自衛隊等がジブチに派遣されている。
2.経済関係
(1)対日貿易
- (イ)貿易額(2009年 単位:円)
- 輸出 3.9億円
輸入 91.45億円 - (ロ)主要品目
- 輸出 再輸出品
輸入 自動車、タイヤ
(2)日本からの直接投資
なし
3.文化関係
国立劇場に対する音響機材供与等を実施。
4.在留邦人数
39人(2010年11月現在)
5.在日当該国人数
7人(2010年11月現在)
6.要人往来
(1)往(1993年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1993年1月 | 柿澤外務政務次官 |
2005年7月 | 河井外務大臣政務官 |
2006年10月 | 浜田外務大臣政務官 |
2008年12月 | 佐藤正久議員 |
2009年2月 | 海賊対策与党PT(中谷元議員、佐藤茂樹議員、浅野勝人議員) |
2009年5月 | 西村外務大臣政務官、武田防衛大臣政務官 |
2009年6月 | 岡田国交大臣政務官 |
2009年7月 | 尾辻秀久参議院議員 |
2009年10月 | 佐藤正久議員 |
2009年12月 | 榛葉防衛副大臣 |
2010年8月 | 衆院海賊テロ特委(石田勝之委員長、中谷元議員、佐藤茂樹議員、武田良太議員、長島一由議員) |
2011年1月 | 松本外務副大臣 |
(2)来(1978年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1978年8月 | カミル首相(外相、国防相兼任) |
1983年1月 | ファラ外相 |
1986年3月 | ファラ外相 |
1989年2月 | グーラッド首相(大喪の礼) |
1990年7月 | イブラヒム厚生大臣 |
1990年9月 | グーレド大統領(非公式) |
1990年11月 | グーレド大統領(即位の礼) |
1991年6月 | ゲティ・ハル・RPB(国民進歩連合党)副総裁 |
1991年9月 | ファラ外相 |
1991年10月 | ジャマ・エラベ厚生大臣 |
1993年10月 | アブドゥ外相(TICAD I) |
1994年3月 | ワベリ教育大臣 |
1994年4月 | アバス農業・農村開発大臣 |
1994年9月 | ワベリ・グウェディ運輸・観光・通信大臣(ITU会議) |
1995年9月 | グーレド大統領(非公式) |
1996年9月 | アメッド農業水力大臣 |
1997年5月 | シェヘム外相 |
1998年6月 | ワイス内務・地方分権大臣 |
1998年8月 | グーレド大統領(非公式) |
1998年10月 | グーレド大統領(TICAD II) |
2000年2月 | アブシェ国民教育大臣 |
2001年2月 | ファラ外務・国際協力大臣 |
2001年12月 | ファラ外務・国際協力大臣(TICAD閣僚レベル会合) |
2001年12月 | ユスフ首相付女性地位向上・家庭厚生・社会問題担当大臣(第2回児童の商業的搾取に反対する世界会議) |
2003年3月 | ビリリス農業・畜産・海洋大臣(世界水フォーラム) |
2003年9月 | ゲレ大統領・ファラ外務・国際協力大臣(TICAD III) |
2005年7月 | ミギル・スポーツ・余暇・観光大臣(愛・地球博賓客) |
2006年6月 | ユスフ外務・国際協力大臣(外務省賓客) |
2008年5月 | ゲレ大統領・ユスフ外務・国際協力大臣(TICAD IV) |
2008年12月 | シライ外務・国際協力担当大臣(21世紀パートナーシップ招聘) |
2009年4月 | ユスフ外務・国際協力大臣(21世紀パートナーシップ促進招聘) |
2009年11月 | ミギル保健大臣 |
2009年12月 | バードン設備・運輸大臣(オピニオンリーダー招聘) |
2010年3月 | ミギル保健大臣 |
2010年10月 | アブドゥルカデル農業・牧畜・海洋大臣 |
2011年5月 | タニ大統領府官房長官(閣僚級招へい) |
7.二国間条約・取極
1999年3月7日 青年海外協力隊派遣取極
2005年11月14日 技術協力協定取極
2009年4月3日 ジブチ共和国における日本国の自衛隊等の地位に関する日本国政府とジブチ共和国政府との間の交換公文