ドミニカ共和国
(Dominican Republic)
出典:外務省 各国・地域情勢(2011年5月現在)
一般事情
1.面積
48,442平方キロメートル(九州に高知県を併せた広さ)
2.人口
約1,001万人(2009年:世銀)
3.首都
サント・ドミンゴ
4.民族
混血73%、ヨーロッパ系16%、アフリカ系11%
5.言語
スペイン語
6.宗教
カトリック
7.略史
年月 | 略史 |
---|---|
1492年 | コロンブスによるエスパニョーラ島発見 |
1697年 | 同島の西側が仏領となる(リスウィク平和条約) |
1795年 | 仏西戦争の結果全島が仏領となる |
1804年 | ハイチとして仏より独立 |
1814年 | パリ条約で東側はスペイン領となる |
1822年 | ハイチ軍による占領(〜1844年) |
1844年 | ハイチから独立 |
1861〜1865年 | スペインに合併 |
1916〜1924年 | 米国による軍事占領 |
1930〜1961年 | トルヒーリョ将軍による独裁 |
1961年 | バラゲールを首班とする国家評議会成立 その後クーデターにより軍事評議会成立 |
1963年 | 総選挙を経てボッシュ大統領就任 |
1965年 | 政府軍と反政府軍の武力衝突が発生(米国等派兵) |
1966年 | バラゲール大統領就任(1970年、1974年再任) |
1978年 | グスマン大統領就任 |
1982年 | ブランコ大統領就任 |
1986年 | バラゲール大統領就任(1990年、1994年再任) |
1996年 | フェルナンデス大統領就任 |
2000年 | メヒーア大統領就任 |
2004年 | フェルナンデス大統領就任 |
2008年 | フェルナンデス大統領就任 |
政治体制・内政
1.政体
立憲共和制
2.元首
レオネル・アントニオ・フェルナンデス・レイナ大統領
(2008年8月〜2012年8月、任期4年)
3.議会
二院制(上院32名、下院178名)、任期4年
4.政府
(1)首相名 首相職無し
(2)外相名 カルロス・モラレス・トロンコソ
5.内政
(1)2008年5月に行われた大統領選挙では、現職のフェルナンデス大統領が、2期目(2004年〜2008年)の経済政策面での実績が評価され、有効投票数の約53.8%を獲得し再選を果たし、2008年8月16日に就任した。3期目においては、2008年9月の世界金融危機の影響、特に米国経済の急速な減速による対米輸出、米国からの移民送金、観光収入の落ち込みの中、いかにマクロ経済の安定的発展を果たしていくかが大きな課題。加えて、貧困削減、治安対策、失業対策、電力部門改革による電力不足の解消、貿易自由化の進展に伴う産業競争力強化等が重要な政策課題。
また、2008年9月より、大統領再選方式の改正(3選禁止から連続再選のみ禁止へ)、司法改革、国籍条項の改正等、現行憲法の大幅な改正を伴う憲法改正案を国会にて審議。2009年11月、国会にて承認。2010年1月26日に新憲法として公布。
(2)2010年5月、上下両議院議員及び市長・市議会議員選挙が実施された。政権与党のドミニカ解放等(PLD)が上下両議院ともに過半数(上院32議席中31席、下院183議席中105席)を獲得し、フェルナンデス大統領は、安定した国会運営を実施。
(3)2012年5月、大統領選挙が実施される予定。新憲法の大統領連続再選禁止規定に従って、フェルナンデス大統領は不出馬を表明。
外交・国防
1.外交基本方針
(1)対米重視、EUと協調関係維持。
(2)カリブ諸国連合(ACS)の原加盟国、カリブ共同体(CARICOM)オブザーバー。中米統合機構(SICA)準加盟国。2007年3月に米国と自由貿易協定(DR-CAFTA)が発効。2008年10月にEUとの経済連携協定を批准。
(3)2004年以後、各国と共にハイチ安定化に向け協力姿勢。ハイチ人の不法移民問題は両国間の懸案事項。2010年1月のハイチ地震災害に関し、支援国会合を開催したほか、ハイチへの支援物資の通関や国境通過の便宜等ロジスティック面でも支援。
(4)台湾と国交を維持。1997年、中国と通商関係を樹立。
2.軍事力
(1)予算 約335百万ドル(2010年予算)
(2)兵役 志願制
(3)兵力 24,500人(陸軍15,000人、海軍4,000人、空軍5,500人)
(2011年ミリタリーバランス)
経済
(単位 米ドル)
1.主要産業
観光、農業(砂糖、コーヒー、カカオ)、鉱業(フェロニッケル等)、軽工業(フリーゾーンにおける繊維、縫製業)
2.名目GDP
467.12億米ドル(2009年:中銀)
3.一人当たりGDP
4,816米ドル(2009年:中銀)
4.経済成長率(中銀)
9.3%(2005年) 10.7%(2006年) 8.5%(2007年) 5.3%(2008年) 3.5%(2009年)
5.物価上昇率(中銀)
28.7%(2004年) 7.4%(2005年) 5.0%(2006年) 7.0%(2007年:ECLAC) 4.5%(2008年) 5.8%(2009年)
6.失業率(中銀)
19.7%(2004年) 17.5%(2005年) 16.0%(2006年) 15.6%(2007年) 14.2%(2008年) 14.9%(2009年)
7.総貿易額(百万米ドル)
(1)輸出 5,462(2009年:中銀)
(2)輸入 12,283(2009年:中銀)
8.主要貿易品目(中銀)
(1)輸出 繊維製品、電気製品、宝飾関連製品、医薬品、フェロニッケル、タバコ
(2)輸入 石油・石油関連品、自動車、電気製品、鉄製品
9.主要貿易相手国(IMF)
(1)輸出 米国、ハイチ、スペイン、英国、ベルギー、オランダ、フィンランド
(2)輸入 米国、ベネズエラ、スペイン、メキシコ、コロンビア、中国、日本
10.通貨
ペソ
11.為替レート
1米ドル=約36ペソ(2010年3月平均値)
12.外貨準備高
1,820百万ドル(2009年)(中銀)
13.国家予算額
3,790億ペソ(2010年)
14.対外公的債務
8,200百万ドル(2009年)(大蔵省)
15.経済概況
(1)従来、砂糖、コーヒー、カカオ、タバコ等伝統的一次産品の輸出国であったが、1990年以降、自由貿易地域(フリーゾーン)からの繊維等軽工業品の輸出が増加。また、観光業は外国投資の誘致及びインフラ整備の進展により発展。2009年の外国人観光者は約400万人。観光収入は約41億ドル。主要外貨獲得源は、上記に加え、米国に居住するドミニカ共和国人(約100万人)からの海外送金(2009年、約30億ドル)。
(2)フェルナンデス政権第1期目(1996年〜1999年)では平均7%の高い経済成長を記録。しかし、続くメヒーア政権下では、2002年以降、米国経済の停滞、観光産業の減収、大手銀行の破綻により経済が悪化した。
(3)フェルナンデス政権第2期目(2004年〜2008年)は、IMFスタンドバイ協定に基づき、税制改革、財政政策(補助金削減、徴税制度改革等)、金融政策(価格安定等)、金融部門強化、電力部門改革に努めた結果、為替レートの安定、インフレ抑制等で実質的な成果を上げ、2005年は9.3%、2006年は10.7%、2007年は8.5%の高成長となった。
(4)フェルナンデス政権第3期目(2008年8月〜)には、同年9月の世界金融危機により、フリーゾーンからの輸出、海外送金及び観光収入が低下。特に、フリーゾーンでは、米国市場における需要減退等による大幅な落ち込みが見られ、企業閉鎖や人員削減が相次いだ。しかし、2009年後半には経済も回復し、2009年の実質GDP成長率は予想を超える3.5%のプラス成長となった。2010年は、政策金利引き下げ等の景気刺激策が功を奏し、実質GDP成長率は6.5%から7%となる見込み。
経済協力
1.日本の援助実績
(1)有償資金協力(2009年度まで、E/Nベース) 315.80億円
(2)無償資金協力(2009年度まで、E/Nベース) 249.70億円
(3)技術協力実績(2009年度まで、JICA経費実績ベース) 288.79億円
2.主要援助国(2008年、DAC)
(1)スペイン (2)米国 (3)フランス (4)ドイツ (5)カナダ
二国間関係
1.政治関係
伝統的友好関係。
1941年第二次大戦により断交。1952年外交関係再開。1957年に互いに大使館を設置。
2006年、日本人移住50周年。
2.経済関係
対日貿易(財務省通関統計)
- (1)貿易額(2009年)
- 輸出 43.7億円(前年比49%減)
輸入 112.7億円(前年比41%減) - (2)主要品目(2009年)
- 輸出 医療用機器、医薬品、履物類、フェロニッケル、コーヒー
輸入 自動車等輸送機器、自動車部品、タイヤ、ボイラー及び機械類
3.文化関係
文化無償協力 22件 (体操機材、視聴覚・音響機材、楽器等)
(2009年度まで)
4.在留邦人数
821名(2010年)
5.在日ドミニカ共和国人数
477名(2009年)
6.要人往来
(1)往(1987年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1987年 | 倉成正外務大臣 |
1989年 | 田中直紀外務政務次官 |
1990年 | 中山正暉衆議院議員、石井一二外務政務次官(特派大使、バラゲール大統領就任式) |
1996年 | 林義郎衆議院議員(特派大使、フェルナンデス大統領就任式) |
1997年 | 高村正彦外務政務次官 |
2000年 | 荒木清寛外務総括政務次官(特派大使、メヒーア大統領就任式) |
2003年 | 阿部正俊外務副大臣 |
2004年 | 谷津義男衆議院議員(特派大使、フェルナンデス大統領就任式) |
2006年 | 大野功統前防衛庁長官(日・ドミニカ(共)議連会長)、尾辻秀久参議院議員(総理特使、移住50周年記念式典)、衆議院中米・カリブ各国政治経済事情調査議員団(団長:東順治議員、移住50周年記念式典)、川内博史衆議院議員(移住50周年記念式典) |
2007年 | 田中和徳財務副大臣 |
2008年 | 大野功統衆議院議員(特派大使、フェルナンデス大統領就任式) |
(2)来(1989年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1989年 | モラレス副大統領(大喪の礼) |
1990年 | アルマンサル文相、モラレス副大統領(即位の礼) |
1991年 | バンデルホルスト観光相、トラル中銀総裁、ロドリゲス外務次官 |
1993年 | タベラス観光相 |
1994年 | サン・ベン技術相、エリアス観光相 |
1997年 | ゲレロ農地庁長官 |
1998年 | ボネッティ商工大臣(大統領特使)、コリャド農地庁長官 |
2000年 | フェルナンデス大統領(公式実務訪問) |
2001年 | エルナンデス農地庁長官 |
2002年 | メヒーア大統領(公式実務訪問) |
2005年 | アルブルケルケ副大統領(博覧会賓客、日本・中米首脳会談) |
2006年 | フェルナンデス大統領(実務訪問) |
2007年 | バレンティン下院議長 |
2009年 | カスターニョス中央選挙委員会委員長 |
7.二国間条約・取極
1957年 査証相互免除取極
1985年 青年海外協力隊派遣取極
2006年 技術協力協定
8.議員交流
2000年 日本・ドミニカ共和国友好議員連盟設立