エジプト・アラブ共和国
(Arab Republic of Egypt)
出典:外務省 各国・地域情勢(2011年6月現在)
一般事情
1.面積
約100万平方キロメートル(日本の約2.6倍)
2.人口
7,870万人(2008年人口調査、但し在外エジプト人は除く)
(出所:Egypt State Information Service資料)
3.首都
カイロ
4.民族
主にアラブ人(その他、少数のヌビア人、アルメニア人、ギリシャ人等)
5.言語
アラビア語
6.宗教
イスラム教、キリスト教(コプト教)
7.略史
年月 | 略史 |
---|---|
紀元前32世紀頃 | 統一王朝成立 |
紀元前1世紀より | ローマ帝国領 |
4世紀より | ビザンツ帝国領 |
7世紀 | イスラム化 |
16世紀 | オスマントルコ帝国領 |
19世紀初頭より | オスマントルコ帝国のムハンマド・アリ・パシャの下で近代化に着手 |
1922年 | 英国より王制の国として独立 |
1952年 | ナセル率いる自由将校団によるクーデターを経て共和制に移行 |
1979年 | イスラエルと平和条約を締結。その結果、アラブ連盟の資格停止 |
1989年 | アラブ連盟復帰 |
1990年 | 湾岸危機において多国籍軍に参加 |
政治体制・内政
1.政体
立憲共和制
2.元首
ムハンマド・ホスニー・ムバラク大統領(1981年就任)
3.議会
一院制(人民議会、454議席、任期5年)、他に諮問評議会(264議席、立法権は有さず)
4.政府(2011年3月7日発足)
(1)首相:イサーム・シャラフ(2011年3月3日より)
(2)外相:ナビール・エルアラビー(2011年3月7日〜6月30日;同外相は,2011年7月1日よりアラブ連盟事務総長に転任予定。)
5.内政
(1)2011年1月25日,ムバラク大統領退陣を求める民衆による大規模でもが全土で発生。これを受け,ムバラク大統領は,30年間空席であった副大統領を任命し,内閣改造を行うも,民衆による抗議デモは拡大。2月11日,ムバラク大統領は辞任し,タンターウィ国防相を議長とするエジプト国軍最高会議に国家運営を委任。
(2)国軍最高会議は,2月15日に任命した憲法改正委員長の下で起草された,大統領選出等にかかる憲法改正案を2月26日に承認,3月3日にはシャラフ元運輸相に新政府の組閣を命じ,3月7日,シャラフ内閣が発足。3月19日には,憲法改正に関する国民投票が行われ,71%の支持を得て承認された。
(3)国軍最高会議は,2011年9月に,人民議会及び諮問評議会両議会選挙,その60日後に大統領選挙の実施を発表。大統領選出後に民政移管が行われる予定。
外交・国防
1.外交
(1)中東・アフリカ地域における大国として、中東和平では、パレスチナ諸派やイスラエルとのパイプを活かした活動を積極的に行うほか、イラク、スーダンなどの地域問題でも活発な外交を展開。
(2)カイロはアラブ外交の中心として、アラブ連盟本部が所在。アフリカ連合(AU)でも重きをなす。また、イスラム・非同盟諸国との連帯や欧米諸国との協調も重視する多角的な外交を展開。
2.軍事力
(1)予算 約29億ドル(2006年)(出所:ミリタリーバランス2007)
(2)兵役義務 12ヶ月〜3年(出所:ミリタリーバランス2007)
(3)兵力 陸軍34万人、海軍1万8500人、空軍3万人、防空軍8万人(出所:ミリタリーバランス2007)
経済
1.経済概況
(1)4大外貨収入源(観光、運河通航料、石油輸出、出稼ぎ者による外貨送金)が貿易赤字を補填する経済構造。
(2)現ナズィーフ内閣は、投資環境整備による外国直接投資の誘致、国営企業の民営化などの経済改革を推進中。実質GDP成長率が4.7%と国際金融危機に端を発する世界的景気後退の中比較的堅調。しかし、高い失業率や貧富の格差が存在。
(3)対外的には、EUとの自由貿易協定(FTA)が2004年に発効。米国及びイスラエルとQIZ(資格産業区域制度)協定に署名(2004年)。
2.主要産業
農業(GDPの14.6%)、鉱工業(同17.5%)、貿易・金融・保険(同18.4%)、石油(同12.9%)、運輸(同10.6%)
(出所:エジプト通商産業省Monthly Economic Digest,Sept.2006)
3.GDP(2009/2010年度)
1,883億ドル
(出所:エジプト政府統計)
4.1人当たり国民所得(GNI per capita)(2009/2010年度)
2,070米ドル
(出所:エジプト政府統計)
5.実質GDP成長率(2009/2010年度)
5.2%
(出所:エジプト政府統計)
6.物価上昇率(2008/2009年度)
16.5%
(出所:エジプト財務省)
7.失業率(2008/2009年度)
8.8%
(出所:エジプト中央銀行)
8.貿易額(2008/2009年度)
(1)輸出(FOB) 251億6,900万米ドル
(2)輸入(CIF) 503億4,200万米ドル
(出所:エジプト中央銀行)
9.主要貿易品(2008/2009年度)
(1)輸出 原油・石油製品(40.9%)、衣類・縫製品(3.0%)等
(2)輸入 鉄鋼・プラスチック等中間財(47.1%)、消費財(17.4%)、エンジン等投資財(15.5% )等
(出所:エジプト中央銀行)
10.主要貿易相手国(2008/2009年度)
(1)輸出 イタリア、インド、オランダ、スペイン、米国等
(2)輸入 米国、中国、ドイツ、サウジアラビア、イタリア等
(出所:政府統計/エジプト中央動員統計局)
11.通貨
エジプト・ポンド(LE)とピアストル(PT) LE1=100PT
12.為替レート
1米ドル=約5.51エジプト・ポンド(2008/2009年度。2003年1月以降変動相場制)
(出所:エジプト中央銀行)
13.対外債務残高
315億3,100万米ドル(2008/2009年度)
(出所:エジプト中央銀行)
経済協力
1.主要援助国(百万米ドル)(2007年平均)
米国(462)、ドイツ(153)、フランス(77)、デンマーク(30)、オーストリア(26)等
(で度kろお:OECD/DAC online)
2.日本の援助(2009年度までの累計)
(1)有償資金協力 5,781億1,900万円
(2)無償資金協力 1,497億6,700万円
(3)技術協力(JICA実績ベース) 597億3,300万円
(出所:外務省国際協力局編『政府開発援助ODA国別データブック2010』)
最近では、2010年3月、「ガルフ・エル・ゼイド風力発電所建設計画」実施のため、約388億円の円借款供与を決定。
3.代表的プロジェクト(実績)
カイロ大学附属小児病院、国立文化センター(オペラハウス)、スエズ運河架橋等
二国間関係
1.政治関係
(1)日本は、1936年にカイロに公使館を設置して以来、エジプトと良好な関係を維持している(1954年大使館に昇格)。2002年の邦人渡航者は5万人台であったが、その後徐々に増加し、2009年の邦人渡航者数(観光客が大部分を占める)は約9万人。2007年の日本へのエジプト人渡航者数は約3,500人。
(2)両国間の首脳レベルの往来は、ムバラク大統領が過去4回訪日し、日本からは、2003年に小泉総理が、また2007年5月に安倍総理がエジプトを訪問した。閣僚レベルや政治家の要人往来も頻繁に行われている。
2.経済関係
(1)日エジプト間貿易(2009/2010年度)
- (イ)貿易額
- エジプト→日本 2億9,900万ドル
日本→エジプト 13億6,000万ドル - (ロ)品目
- 輸出 天然ガス・石油、石油関連製品、繊維類等
輸入 輸送機器、一般機械、電気機器等
(出所:財務省ホームページ/貿易統計)
(2)日本の対エジプト直接投資(2008/2009年度)
- 4,490万米ドル
(出所:エジプト中央銀行)
3.文化関係
(1)日本は2001年〜2002年、エジプトにおいて「ジャパン・フェスティバル」を実施。2003年9月、文化交流・対話ミッションをエジプトに派遣。
(2)一般文化無償(文化遺産無償1件含む):20件 10億7,660万円
草の根文化無償:5件 3,756万円
合計 11億1,416万円
4.科学技術協力関係
日本が協力して、エジプトに中東及びアラブ世界における中核的拠点となりうる日本式工学教育・研究活動を行うエジプト・日本科学技術大学(E-JUST)が2010年6月正式に開校。また、同年6月、科学技術協力協定が署名・発効。
5.在留邦人数
1,071人(2010年12月現在)
6.在日当該国人数
1,850人(2009年12月現在)
7.要人往来
(1)往(肩書きは当時)
年月 | 要人名 |
---|---|
1999年1月 | 高村外務大臣 |
2000年5月 | 高円宮同妃両殿下 |
2001年3月 | 海部元総理 |
2001年7月 | 杉浦外務副大臣 |
2001年10月 | 橋本元総理(総理特使、スエズ運河架橋完成式典)、橋本元総理(世界水フォーラム組織委員会) |
2002年9月 | 武藤元外相 |
2002年11月 | 高村元外相(総理特使) |
2003年3月 | 高村元外相(総理特使) |
2003年5月 | 小泉総理 |
2003年10月 | 川口外相 |
2004年3月 | 橋本元総理(日・アラブ対話フォーラム) |
2004年6月 | 逢沢外務副大臣(総理特使) |
2004年11月 | 町村外相(イラクに関するG8と近隣諸国等との会合、於シャルム・エル・シェイク) |
2005年1月 | 高村元外相、河野衆議院議長 |
2006年7月 | 小坂文部科学相 |
2006年9月 | 小池環境相 |
2007年5月 | 安倍総理、麻生外相(イラク安定化に関する周辺国拡大外相会合、於シャルム・エル・シェイク) |
2007年11月 | 中山元外相(日・アラブ対話フォーラム) |
2008年3月 | 宇野外務大臣政務官 |
2008年5月 | 岸田科学技術担当国務大臣 |
2008年12月 | 柴山外務大臣政務官 |
2009年3月 | 伊藤外務副大臣(ガザ復興支援国際会議) |
2009年5月 | 中曽根外相 |
2009年6月 | 高円宮妃殿下 |
2010年9月 | 武正外務副大臣 |
2011年5月 | 徳永外務大臣政務官 |
(2)来(肩書きは当時)
年月 | 要人名 |
---|---|
1999年4月 | ムバラク大統領(非公式) |
2001年6月 | アブーゼイド水資源相(世界水フォーラム組織委員会) |
2001年9月 | ナズィーフ通信・情報担当相 |
2002年12月 | アブルナガー外務担当国務相(外賓) |
2003年2月 | ガーリ対外貿易相(WTO非公式閣僚会議) |
2004年3月 | リヤド環境問題担当相(日本・アラブ環境大臣セミナー) |
2005年4月 | アブルナガー国際協力相(日・エジプト合同経済委員会) |
2005年7月 | ラシード通産相(愛知博覧会賓客) |
2006年5月 | アブルゲイト外相 |
2006年9月 | ヒラール高等教育相(STSフォーラム) |
2007年10月 | ヒラール高等教育相(STSフォーラム)、ダルウィーシュ行政開発担当国務相 |
2008年1月 | ガラナ観光相 |
2008年2月 | モヘッディーン投資相 |
2008年5月 | アブー・ゼイド水資源・灌漑相(国連水と衛生諮問委)、アブルゲイト外相(TICAD IV) |
2008年7月 | ガーリ財務相 |
2008年10月 | ヒラール高等教育相(STSフォーラム、日アフリカ科学技術大臣会合) |
2010年3月 | ゴマア大ムフティー |
2010年11月 | アブー・ゼイド・アラブ水評議会会長・前水資源・灌漑相(旭日大綬章親授式出席) |