エルサルバドル共和国
(Republic of El Salvador)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年2月現在)

一般事情

1.面積

21,040平方キロメートル(九州の約半分)

2.人口

約616万人(2009年、世銀)

3.首都

サンサルバドル

4.民族

スペイン系白人と先住民の混血約84%、先住民約5.6%、ヨーロッパ系約10%

5.言語

スペイン語

6.宗教

カトリック教

7.略史

年月 略史
1525年 スペイン人がサンサルバドル市を建設後、グアテマラ総督領に編入
1821年 独立宣言
1823年 中米諸州連合結成
1841年 同連合から分離独立
1962年 国民協議党政権成立
1979年 クーデターにより革命評議会発足
1989年 クリスティアーニ大統領(ARENA)就任
1992年 政府とゲリラの間で和平合意調印、内戦終結
1994年 カルデロン大統領(ARENA)就任
1999年 フローレス大統領(ARENA)就任
2001年 1月及び2月に大地震が発生、死者1,259人、被災者150万人
2004年 サカ大統領(ARENA)就任
2009年 フネス大統領(FMLN)就任

政治体制・内政

1.政体

立憲共和制

2.元首

カルロス・マウリシオ・フネス・カルタヘナ大統領(2009年6月〜2014年5月、任期5年、連続再選禁止)

3.議会

一院制、議員定数84名、任期3年

4.政府

(1)首相名 首相職無し

(2)外相名 ウゴ・ロヘル・マルティネス・ボニージャ

5.内政

(1)1979年以来、約7万5千人の戦死者を出し、政府軍とゲリラ勢力の間で続いた激しい内戦は、1992年1月、政府とファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)による和平合意締結により終結。和平プロセスは国連の監視・検証の下、順調に進展し、国連平和維持活動の成功例として高い評価を得ている。1998年に和平合意の完全履行を宣言。

(2)国民共和同盟(ARENA)は1989年から2009年までサカ前大統領を含め連続4期大統領を輩出した。サカ前政権(2004年〜2009年)は、治安改善、社会経済開発、教育開発に取り組み、比較的高い支持率を維持した。

(3)2009年3月に実施された大統領選挙では、野党のファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)のフネス候補が「信頼できる変革」を国民に訴え勝利し、2009年6月に20年ぶりに政権が交代した。

フネス大統領は、エルサルバドル国内に存在する左派政権に対する不信感を払拭するため、国内の連帯を訴えつつ、貧困層への支援、格差是正等の社会的公正の確保を政策目標に掲げ、80%前後の高い支持率を維持していたが、最近は若干下降傾向にある。悪化する治安の改善と経済回復はフネス政権にとって重要課題。

(4)大統領選挙に先立ち2009年1月に実施された国会議員選挙(一院制、84議席)では、FMLNが35議席を獲得し、第一党となったが、単独では過半数に届いていない。

外交・国防

1.外交基本方針

 対米関係を重視しつつ,中米諸国との連帯強化及び中米統合機構(SICA)を通じた統合を積極的に推進。中国と外交関係を有しておらず、台湾と外交関係を有する。フネス新政権下でキューバとの外交関係を再開した。

2.軍事力(2007年ミリタリーバランス)

(1)予算 106百万米ドル(2006年)

(2)兵役 1年義務(但し、実際は志願者により人員が確保されている)

(3)兵力 15,500人(陸軍13,850人、海軍700人、空軍950人)

経済

1.主要産業

マキラ製品(保税区で生産された衣類等)、農業(コーヒー、砂糖等)

2.GDP

22,174百万ドル(名目2009年)(世銀)

3.一人当たりGNI

3,370ドル(2009年)(世銀)

4.経済成長率

−3.5%(2009年)(中銀)

5.物価上昇率

−0.2%(2009年)(中銀)

6.失業率

7.3%(2009年)(エルサルバドル経済省)

7.総貿易額(中銀)

(1)輸出FOB 3,797.3百万ドル(2009年)対前年比 16.5%減

(2)輸入CIF 7,254.7百万ドル(2009年)対前年比 25.6%減

8.主要貿易品目

(1)輸出 繊維製品、コーヒー、エチルアルコール

(2)輸入 原料・中間財(石油・肥料)、消費財、資本財(輸送機器)

9.主要貿易相手国

(1)輸出(2009年) 米国、中米諸国、ドイツ、日本

(2)輸入(2009年) 米国、中米諸国、日本、ドイツ

10.通貨

米ドル及びコロン(2001年1月よりドル化)

11.為替レート

1米ドル=8.75コロンで固定(2001年1月より)

12.外貨準備

約29.8億ドル(2009年)(中銀)

13.国家予算

約45.03億ドル(2011年)

14.対外公的債務

約57億ドル(2009年)(中銀)

15.経済概況

 1992年の内戦終了後、2度の大地震やハリケーン等の自然災害に見舞われながらも経済はプラス成長を維持。2001年の通貨統合法により、国内経済のドル化が進展し、金利は低下、物価上昇率も安定。約250万人といわれる在米エルサルバドル人による家族送金は約35億ドル(2009年)と言われ、中米地域ではグアテマラに次いで多く、エルサルバドル経済の下支えとなっている。

2009年は、前年から続く世界経済危機の影響から、国内の生産活動が減退し、また、輸出部門が打撃を受けた(対前年比−16.5%)ほか、エルサルバドル経済の下支えとなる米国からの家族送金も低迷した(対前年比−8.5%)。加えて、2009年11月にはハリケーン・アイダによる集中豪雨の被害も受け、同年のGDPは経済ドル化後初めてのマイナス成長となった。

 サカ前政権は輸出及び投資の促進に積極的に取組み、2006年3月に米国との自由貿易協定(米・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定:DR-CAFTA)を、2008年3月に台湾との自由貿易協定を発効させた。フネス政権発足後は、コロンビアとの自由貿易協定が発効した(2010年2月)。また、2007年10月に開始されたEU・中米連携協定交渉は2010年5月に合意に達した。

経済協力

1.日本の援助実績 (単位:億円)

(1)有償資金協力(2008年度まで、ENベース)448.77

(2)無償資金協力(2008年度まで、ENベース)321.25

(3)技術協力実績(2008年度まで、JICA経費実績ベース)169.87

2.主要援助国(2007年、支出純額、単位:百万ドル)

(1)スペイン(61.05) (2)米国(39.04) (3)日本(26.80) (4)ドイツ(9.21) (5)ルクセンブルク(9.10)

二国間関係

1.政治関係

伝統的に友好関係

1935年2月 外交関係樹立
1952年5月6日 外交関係再開
(1992年5月 1980年より停止していた大使館員常駐を再開)

2.経済関係

(1)対日貿易

(イ)貿易額(2010年、財務省貿易統計)
輸出 約24.3億円
輸入 約93.6億円
(ロ)主要品目
輸出 コーヒー、衣類等
輸入 自動車、機械類、電気機器等

3.文化関係

一般文化無償累計 16件 7.466億円
草の根文化無償累計 2件 約0.186億円

4.在留邦人数

189人(2010年10月現在)

5.在日当該国人数

125人(2009年12月現在)

6.要人往来

(1)往(1980年以降)

年月 要人名
1984年 塩川正十郎特派大使(大統領就任式)
1989年 中島源太郎特派大使(大統領就任式)
1994年 東祥三外務政務次官、山花貞夫特派大使(大統領就任式)
1999年 自見庄三郎特派大使(大統領就任式)
2000年 自見庄三郎衆議院議員、北橋建治衆議院議員、鈴木宗男衆議院議員、掘込征雄衆議院議員、細田博之衆議院議員(衆議院公式派遣議員団)
2001年 山口泰明外務大臣政務官(中米カリブ歴訪)
2004年 大島理森特派大使(大統領就任式)
2005年 常陸宮同妃両殿下
2006年 佐々木幹夫経団連中南米地域委員長(日・中米ビジネスフォーラム)
2006年 岡田広厚生労働大臣政務官
2007年 横路孝弘衆議院副議長
2009年 原田義昭特派大使(大統領就任式)
2010年 武正公一外務副大臣

(2)来(1980年以降)

年月 要人名
1981年 チャベス・メナ外相
1987年 ロドリゲス大統領第一代行(震災復旧援助要請)、ペルドモ経済相
1988年 アセベド外相(外務省賓客)
1989年 アセベド外相(大喪の礼)
1990年 クリスティアーニ大統領、パカス外相(即位の礼)
1991年 リエバノ企画相(米州開発銀行(IDB)名古屋総会)
1992年 リエバノ企画相(高級実務者招聘)
1993年 パカス外相(外務省賓客、民主主義と開発のためのパートナーシップ(PDD)東京特別会合)、クリスティアーニ大統領、リエバノ企画相兼外相
1994年 ゴンサレス企画相、サンシビリーニ公共事業相
1996年 ゴンサレス外相(第2回日・中米フォーラム)
1997年 カルデロン大統領(政府による招聘)
2000年 ブリスエラ外相(外務省賓客)、キンタニージャ副大統領(小渕前総理葬儀)
2001年 キンタニージャ副大統領(日・エルサルバドル友好委員会経済ミッション)、ブリスエラ外相(国際協力銀行との円借款契約調印)
2004年 ブリスエラ外相
2005年 デ・エスコバル副大統領(4月 IDB沖縄総会、8月 日本・中米首脳会談)、ライーネス外相(8月 デ・エスコバル副大統領に同行)
2006年 マサ厚生相(経済協力案件の業者契約調印)、ロチ観光相(観光・投資セミナー)、サカ大統領(公式実務訪問賓客)、ライーネス外相(サカ大統領同行)、デ・ガビディア経済相(同左)、ロチ観光相(同左)
2007年 ロチ観光相(世界旅行博)、ニエト公共事業相(経済協力案件の業者契約調印)
2010年 マルティネス外相(FEALAC第4回外相会合出席)、スアレス農牧大臣、マルティネス公共事業大臣

7.二国間条約・取極

1964年 通商協定
1968年 青年海外協力隊派遣取極
1973年 査証相互免除取極
2005年 技術協力協定