アイルランド
(Ireland)
出典:外務省 各国・地域情勢(2011年5月現在)
一般事情
1.面積
7万300平方キロメートル(北海道とほぼ同じ)
2.人口
約447万人(2010年4月アイルランド中央統計局推定)
3.首都
ダブリン(約121万人、2010年4月アイルランド中央統計局推定)
4.言語
アイルランド語(ゲール語)及び英語
5.宗教
約87%がキリスト教徒(カトリック)
6.略史
年月 | 略史 |
---|---|
1801年 | 英国がアイルランドを併合 |
1919年〜1921年 | 独立戦争 |
1922年 | 英連邦内の自治領として発足。アイルランド自由国憲法制定(北アイルランドは英国領にとどまった。) |
1937年 | アイルランド憲法(現在の憲法)制定(大統領制の導入) |
1949年 | 共和制を宣言(英連邦離脱) |
1955年 | 国連加盟 |
1973年 | EC加盟 |
1999年 | ユーロ導入(ユーロ創設メンバー) |
(1998年 | 北アイルランドの和平合意成立) |
(2007年 | 北アイルランド自治政府再開) |
政治体制・内政
1.政体
立憲共和制
2.元首
メアリー・マッカリース大統領(2004年11月就任(2期目)、任期7年、最高2期)
3.議会
二院制(下院優位。下院166議席(任期5年、解散あり)、上院60議席)
政党名 | 下院 | 上院 | |
---|---|---|---|
与党 | 統一アイルランド党 | 76(議長含む) | 18 |
労働党 | 37 | 9 | |
野党 | 共和党 | 20 | 14 |
シン・フェイン党 | 14 | 3 | |
社会主義党 | 2 | - | |
PBP同盟 | 2 | - | |
緑の党 | 0 | 0 | |
無所属・その他 | 15 | 5 | |
合計 | 166 | 49※ |
※60議席に足りない11は首相の指名での選出によるもの。現在未定。(上院定数60議席のうち、11名は首相の指名で選出され、43名は5つの職業部門別パネル・メンバー(現職の上下両院議員、県会議員及び市議会議員の総計約1000名)による投票で選出され、6名はアイルランド国立大学及びトリニティ・カレッジの卒業生の投票により選出される間接選挙である。)
(2011年5月時点)
4.政府
統一アイルランド党及び労働党の連立政権
(1)首相 エンダ・ケニー(統一アイルランド党)
(2)外務・貿易相(副首相) エイモン・ギルモア(労働党)
5.内政
2010年3月のギリシャ債務問題に端を発して一部欧州諸国の財政懸念が高まる中、同年11月にアイルランドの国債金利が高騰。11月21日、政府はEUとIMFに支援を要請し、総額850億ユーロの支援スキームの合意を取り付け、同月24日、EU/IMF支援を受けるための前提条件である財政4ヵ年計画を発表した。経済悪化を背景に、共和党・緑の党による連立政権の支持率は低迷。本年1月、カウエン前首相は共和党党首を辞任、更に緑の党が連立政権を離脱。歳入法案成立後、2月1日に議会は解散された。
2月25日に総選挙が実施され、野党であった統一アイルランド党(FG党)及び労働党が大幅に議席を伸ばし勝利。3月9日に右2党による連立政権が発足。ケニーFG党党首が首相に就任、ギルモア労働党党首が副首相兼外務・貿易相に就任。
外交・国防
1.外交方針
(1)EU
1973年にEU(旧EC)加盟。EUを重視。
(2)多国間外交
第二次世界大戦前から中立政策を掲げ、北大西洋条約機構(NATO)非加盟(NATO平和のためのパートナーシップ(PfP)には1999年から参加)。国連平和維持活動(PKO)に積極的に参加しており、国連待機制度で850名まで要因派遣が可能。4月21日、国連レバノン暫定隊に440名までの派遣を発表。
2.軍事力
(1)国防費 約8億2,250万ユーロ(2009年度予算)
(2)兵役 志願制
(3)兵力 9,933名(ただし、予備役は含まない)(陸軍 8,095、 海軍 1,037、 空軍 801人)
(2009年国防省年次報告書)
経済
1.主要産業
製造業(電子・電気、化学)、酪農畜産業
2.GDP
2,043億ドル(2010年、IMF)
3.一人当たりGDP
45,689ドル(2010年、IMF)
4.経済成長率
2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 (見通し) |
|
---|---|---|---|---|---|
経済成長率(%) | 5.6 | ▲3.5 | ▲7.6 | ▲1.0 | 0.5 |
(出典:IMF)
5.物価上昇率
2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 (見通し) |
|
---|---|---|---|---|---|
物価上昇率(年度末%) | 3.2 | 1.3 | ▲2.6 | ▲0.2 | 0.7 |
(出典:IMF)
6.失業率
2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 (見通し) |
|
---|---|---|---|---|---|
失業率(%) | 4.6 | 6.3 | 11.8 | 13.6 | 14.5 |
(出典:IMF)
7.総貿易額
(1)輸出 1,159億ドル
(2)輸入 622億ドル
(2009年、国連貿易統計)
8.主要貿易品目
(1)輸出 医薬品、有機化学品、コンピュータ
(2)輸入 機械部品、日用品、石油、部品
9.主要貿易相手国
(1)輸出 米、ベルギー、英、独、仏、西、蘭、伊、スイス、日、中
(2)輸入 英、米、独、蘭、仏、中国、ベルギー
(輸出:国連貿易統計 2009年、輸入:EUROSTAT 2009年)
10.通貨
ユーロ
11.経済概況
2010年は銀行部門の損失懸念が市場で負の連鎖を招き、EU/IMFが支援せざるを得ない状況となった。新政権も前政権と同様、引き続き同支援の下、厳しい財政対策及び銀行部門建て直し政策に取り組んでいる。他方、財政赤字の対GDP比削減目標を2014年から2015年に延期する、融資の利子引き下げを求めてEUと再交渉を試みる等、異なる政策もある。2010年のGDP成長率は▲1.0%であったものの、輸出の成長に後押しされ、2011年のGDP成長率は0.9%の成長と予測されている(中銀見通しより)。
二国間関係
1.政治関係
(1)日アイルランド関係
伝統的な友好国である(第二次世界大戦中、アイルランドは英連邦の一員であったにも拘わらず中立政策を維持)。3月11日発生した震災・津波に際し、アイルランド政府は被災者支援のため、日本赤十字に100万ユーロ拠出するとともに、EUを通じて緊急援助物資を提供。
(2)外交関係開設50周年
日本とアイルランドは1957年に外交関係を開設し、2007年に50周年を迎えた。同年には両国において様々な記念すべき行事が行われ、2007年1月よりワーキング・ホリデー査証制度が導入された。(2010年度の実績:日本のアイルランドに対する査証発給数は50、アイルランドの日本に対する発給数は165。)
2.経済関係
(1)貿易額・主要貿易品目(財務省貿易統計、2010年)
日本にとってアイルランドはEU 27ヵ国中、第14位の輸出相手、第5位の輸入相手であり、日本の輸入超過(2009年)。アイルランドからは主に有機化合物、光学機器、医薬品等を輸入。日本からは有機化合物、医薬品、乗用車等を輸出。
年 | 日本からアイルランド | アイルランドから日本 | 輸出入の差異 |
---|---|---|---|
2006年 | 1,905 | 4,059 | -2,154 |
2007年 | 1,880 | 4,824 | -2,944 |
2008年 | 1,323 | 4,300 | -2,977 |
2009年 | 700 | 4,348 | -3,648 |
2010年 | 783 | 3,768 | -2,985 |
(2)投資(日銀国際収支統計、2009年)
日本の対アイルランド投資は、アイルランド政府が企業誘致優先分野として掲げるICT、製薬、生命科学、研究開発(R&D)及び金融、またこれまでアイルランドの成長の源泉であった製造業等多岐に亘る。アイルランドから日本へは、医薬品関連への投資が行われている。
年 | 日本→アイルランド | アイルランド→日本 |
---|---|---|
2004年 | 704 | 62 |
2005年 | -120 | -133 |
2006年 | -268 | 149 |
2007年 | -725 | -222 |
2008年 | -155 | 1,597 |
2009年 | 284 | -236 |
(3)その他
1) 日本はアイルランド支援の第一回目分としてEFSFが発行する50億ユーロの債券のうち2割程度を購入した。
2) 日本はEUにおけるBSE発生状況にかんがみ、アイルランドを含む19のEU加盟国からの牛肉輸入を2001年より停止。
3.在留邦人数
1,576名(2009年)
4.在日アイルランド人数
1,059名(2009年法務省統計)
5.訪問者数
(1)日本からアイルランド 11,000人(2010年日本政府観光局)
(2)アイルランドから日本 10,738人(2010年日本政府観光局)
6.要人往来
(1)往(2003年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
2003年6月 | 高円宮妃殿下 |
2005年5月 | 天皇皇后両陛下 |
2006年7月 | 赤松厚生労働副大臣 |
2007年3月 | 田中財務副大臣 |
2007年5月 | 福井農林水産大臣政務官 |
(2)来(2004年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
2004年6月 | バーティ・アハーン首相(日EU 定期首脳協議) |
2005年3月 | マッカリース大統領(非公式) |
2005年3月 | ノエル・トレーシー外務省兼首相府国務大臣(博覧会賓客) |
2006年3月 | ローチ環境・遺産・地方自治大臣 |
2006年5月 | ダーモット・アハーン外務大臣 |
2006年6月 | マーティン企業・貿易・雇用大臣 |
2007年3月 | オマリー保険・児童省国務大臣兼外交関係開設50周年アイルランド政府特使 |
2007年11-12月 | ダーモット・アハーン外務大臣(外務省賓客) |
2008年2月 | コクラン農業・漁業・食糧大臣 |
2008年6月 | ライアン通信エネルギー天然資源大臣 |
2009年1月 | カウエン首相(実務訪問賓客)、スミス農業・漁業・食糧大臣(左記同行)、マクギネス企業・貿易・雇用省国務大臣(左記同行) |
2010年3月 | オキーフ教育・科学大臣 |
2010年6月 | ライアン通信・エネルギー・天然資源大臣 |
7.二国間条約・取極
1966年 査証相互免除取極
1974年 租税条約
2007年 ワーキングホリデービザ協定
2010年 社会保障協定発効
8.外交使節
(1)アイルランド駐箚日本国大使 渥美千尋特命全権大使(2011年4月着任)
(2)本邦駐箚アイルランド大使 ジョン・ニアリー特命全権大使(2010年9月着任)