イタリア共和国
(Republic of Italy)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年5月現在)

一般事情

1.面積

30.1万平方キロメートル(日本の約5分の4)

2.人口

59.3百万人

3.首都

ローマ

4.言語

イタリア語(地域により独、仏語等少数言語あり)

5.宗教

キリスト教(カトリック)が国民の約97%
その他、キリスト教(プロテスタント)、ユダヤ教、イスラム教、仏教

6.国祭日

6月2日(1946年、国民投票により、従来の王制に代わり共和制を政体とすることが決められた日)。

7.略史

年月 略史
1861年3月 ヴィットーリオ・エマヌエーレII世、イタリア王国建設
1922年11月 ファシスト党ムッソリーニ政権掌握
1929年2月 バチカンとラテラーノ条約調印
1943年7月 ムッソリーニ政権崩壊
1945年12月 キリスト教民主党首班の第一次デ・ガスベリ内閣成立
1946年6月 国民投票で王制廃止
1948年1月 共和国憲法施行
1962年2月 初の中道左派政権成立
1994年4月 キリスト教民主党中軸の戦後政治の終焉

政治体制・内政

1.政体

共和制

2.元首

ジョルジョ・ナポリターノ大統領(2006年5月就任、任期7年)

3.議会

(1)構成 上院・下院の二院制で任期は両院とも5年(両院の権限は同等)。

(2)現議会勢力(2008年4月29日召集、議席数は2010年1月現在)

  会派名 下院 上院
中道右派 自由国民党(PLD) 237 135
北部同盟 59 26
イタリアの将来と自由 35 10
331 171
中道左派 民主党 206 113
価値あるイタリア 24 12
230 125
キリスト教民主・中道民主主義者連合、少数言語(上院)、自治のための(上院) 38 11
混合会派 32 15
定数 630 322※

※終身上院議員7名を含む。

(3)選挙制度(2005年12月改正)

上院:
 完全比例代表制(州単位)
 選挙資格 満25歳
 被選挙資格 満40歳
下院:
  完全比例代表制(全国単位)
 選挙資格 満18歳
 被選挙資格 満25歳

4.政府

(2008年5月8日第4次ベルルスコーニ内閣発足)

(1)首相:シルヴィオ・ベルルスコーニ

(2)外相:フランコ・フラッティーニ

5.内政

(1)第2次プローディ内閣倒閣と解散・総選挙

2008年1月、一部の連立与党の離反により、与党中道左派連合は上院で過半数割れの状態となり、上院におけるプローディ内閣に対する信任投票が否決される結果となった。プローディ内閣は事実上倒閣し、2月6日に上下両院が解散された。2008年4月13日及び14日に実施された総選挙では、ベルルスコーニ前首相率いる中道右派が上下両院で大勝した。今次総選挙では、上下両院とも中道右派及び中道左派の2大陣営が大半の議席を獲得し、イタリア政界が多数政党の乱立から実質的な二大政党制に近づいた。

(2)第4次ベルルスコーニ内閣

2008年5月7日、ナポリターノ大統領はベルルスコーニ前首相を首班に指名、翌8日、第四次ベルルスコーニ内閣が発足した。マローニ内相、トレモンティ経済財政相など、閣僚経験者8名が入閣。地方固定資産税廃止、治安・移民問題に関する緊急政令の発出、ナポリ・ゴミ問題、アリタリア航空再建問題、ラクイラにおける地震被災地の復興等において一定の成果を上げており、ベルルスコーニ政権への支持率については多少の陰りは見られるものの、首相自身への支持率は依然高く、野党の低迷にも助けられ政権を維持している。

他方、与党第一党の自由国民党(PDL)内では、2010年4月に開催された同党指導部会でフィーニ下院議長率いる事実上の少数派が成立し、内部に軋轢が生じている。同7月、フィーニ下院議長派は、議会に新会派「イタリアの将来と自由」を創設し、下院においては、同派の動き如何で政権与党が過半数割れする可能性が生まれた。また11月には、フィーニ議長派が閣僚等4名を政権から離脱させることを発表した。

外交・国防

1.外交

(1)全般

 欧州統合の積極的推進及び大西洋同盟の強化、国連を始めとする多国間枠組みの重視がイタリア外交の基本方針。地中海・中東諸国との関係も重視しており、同地域の情勢悪化により、経済的にも移民の流入という観点からも大きな影響を受けている。

(2)国際場裡における活動

G8の一員として国際的な発言力の維持に腐心。2008年北海道洞爺湖サミットに続き、2009 年のG8サミットは、7月8日〜10日までラクイラで開催された。

(3)海外派兵

(イ)アフガニスタンの国際治安部隊(ISAF)及び地方復興チーム(PRT)に約4,000名の部隊派遣を行っている。復興支援では司法改革を重視。
(ロ)レバノンにおいては、国連レバノン暫定隊(UNIFIL)に約1,780名規模の部隊派遣を実行。
(ハ)ソマリア沖における海賊対策のため、アタランタ作戦及びオーシャンシールド作戦参加のためフリゲート各一隻を派遣。

2.国防

(1)国防支出 約205億ドル(2010年度)

(2)兵役 2004年末までは徴兵制。2005年より完全志願制に移行(志願制の任期は、1年〜4年の期限付と終身の2種)。

(3)兵力 陸軍108,000人、海軍34,000人、空軍43,016人

(出典:ミリタリーバランス2010)

経済

1.主要産業

機械、繊維、自動車、鉄鋼

2.GDP

20,551.1億ドル(2010年:IMF)

3.一人当たり名目GDP

34,058.72米ドル(2010年:IMF)

4.経済成長率

  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
経済成長率(実質)(%) 2.04 1.56 −1.32 −5.04 1.5

(出典:IMF)

5.物価上昇率

  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
物価上昇率(%) 2.10 1.83 2.35 0.95 1.5

(出典:IMF)

6.失業率

  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
失業率(%) 6.8 6.13 6.78 7.75 8.43

(出典:IMF)

7.総貿易額

(1)輪出 404,220百万ドル(2009年:国連統計)

(2)輸入 410,051百万ドル(2009年:国連統計)

8.主要貿易品目

(1)輸出 1)石油及び同調整品、2)自動車部品、3)医薬品

(2)輸入 1)原油、2)自動車、3)日用品、4)医薬品

(2009年:国連統計)

9.主要貿易相手国

(1)輸出 ドイツ、フランス、米国、スペイン、英国

(2)輸入 ドイツ、フランス、中国、オランダ、スペイン

(2009年:国連統計/Eurostat)

10.通貨

ユーロ

11.経済概況

(1)イタリア経済は、ユーロ導入以降一貫してユーロ圏平均より低い経済成長率となっている。近年では2006年から2007年前半にかけて、好調な欧州経済を背景として輸出主導による回復の兆しがみられたものの、2007年後半以降、ユーロ高や原油高、世界的な経済減速等の影響で減退していたところ、2008年秋の国際金融危機の影響が拍車をかけ、2008年のGDP成長率は▲1.3%と1993年以来のマイナスとなり、2009年には▲5.2%と1971年の統計発足以降で最大のマイナス幅となった。2010年に入ると、海外需要の回復を受けた輸出の増加が寄与し3年ぶりにプラス1.3%の経済成長となった。

(2)金融危機発生以降、政府は、2008年秋から2009年春にかけて、家計への給付や減税等の企業支援策を含む措置等を実施したものの、いずれも小幅なものとし財政支出を大きく拡大させるものとしなかった。他方で、ギリシャによるEUへの支援要請に伴う南欧諸国へのソブリン不安の高まりを踏まえ、2012年に財政赤字対GDP比を3%以下にするとのコミットメントを達成すべく、2010年5月には今後複数年に及ぶ財政健全化策を決定した。また、2011年度予算を緊縮型とするなど、財政健全化を重視する姿勢を取っている。こうした背景を反映し、2010年の財政赤字比率は▲4.6%に留まっている。

二国間関係

1.政治関係

(1)両国は伝統的に友好関係にあり、G8等の場でも協力。

(2)2009年には、麻生総理大臣がG8 ラクイラ・サミットに出席するためイタリアを訪問した他、中川財務大臣、石破農林水産大臣、斉藤環境大臣、二階経済産業大臣、与謝野財務大臣、中曽根外務大臣等多数の要人が訪伊した。

(3)2009年9月、文化行事「日本におけるイタリアの秋・2009」の期間にあわせてナポリターノ大統領が民主党政権の下での初の外国要人として訪日。鳩山総理と会談を行った。

(4)2010年3月、皇太子殿下はアフリカ御訪問の後ローマにお立寄りされ、ナポリターノ大統領との懇談が行われた。

(5)同4月には、アレマンノ・ローマ市長が、ローマ市高校生10名等とともに、東京・広島を訪問した。

(6)2009年7月、麻生総理とベルルスコーニ首相がラクイラ地震支援策に合意した、日本の耐震技術を活用した体育館兼避難所建設と坂茂建築家の設計によるコンサートホール建設は、早期完成を目指して、現在プロジェクトが実施され、このうちコンサートホールについては2011年5月7日に落成式を迎えた。この他、日本で募られた民間義捐金(30万ユーロ)が、ラクイラ大学の復興のために同大学に供与された。

(7)2011年3月11日の東日本大震災に際して、ナポリターノ大統領他伊要人からお見舞いの言葉が寄せられたのに加え、4月5日に伊外務省で開かれた「日本に対する友情と連帯」会合(外相、教育相他出席)を初めとして各地で我が国を支援するための多くの催しが開催されている。

2.経済関係

(1)日本の対伊貿易

(イ)貿易額(2010年)
対伊輸出: 4,897億円
対伊輸入: 5,949億円
(ロ)主要貿易品目(2010年)
対伊輸出: 1)自動車(20.2%)、2)二輪自動車(5.4%)、3)医薬品(5.2%)、4)原動機(4.8%)
対伊輸入: 1)医薬品(15.0%)、2)バッグ(11.1%)、3)衣類(11.1%)、4)有機化合物(7.1%)

(出典:財務省/貿易統計)

(2)直接投資

(イ)日本から伊への直接投資残高は1,014億円(2009年末)。現在、伊に進出している日本企業は約201社(2009年末)。
(ロ)伊から日本へ直接投資残高は640億円(2009年末)。現在、日本に進出している伊企業は約60社(2009年2月)。

(出典:日本銀行/国際収支統計、東洋経済新報社/海外進出企業総覧、外資系企業総覧)

(3)日伊ビジネス・グループ

1989年以降、両国民間企業人の間で日伊ビジネス・グループ会合が毎年開催され、伊の対日輸出、相互の投資及び第三国市場協力の促進を中心に、日伊経済関係の強化のため活動している(日本側:佃三菱重工会長、伊側:ザッパ・フィンメッカニカ社会長がそれぞれ会長)。2010年は10月29日、ローマにおいて第22回会合が開催された。

3.文化関係

(1)1954年に締結された日伊文化協定に基づき、これまでに文化混合委員会を10回開催。

(2)イタリアでの日本研究者の組織としては伊日研究学会(AISTUGIA)(1973年発足)が、日本でのイタリア研究者の組織としてはイタリア学会(1952年発足)がある。イタリアの大学では、現在、計19大学22学部で日本語が教えられている。日本ではイタリア語コースを設けている大学は74校(内、短期大学9校)である。

(3)日伊協会(英正道会長)及び伊日協会(ウンベルト・バッターニ会長)がそれぞれ文化交流事業を推進。

(4)2009年7月、ローマのティベリーナ島で映画・日本食・ポップカルチャーを主軸とする日本紹介事業を実施。同7日に行われた開会式には、麻生総理大臣も出席。

(5)2007年3月より6月まで大規模プロモーション事業「イタリアの春・2007」が開催された。3月19日には「イタリアの春・2007」開幕式及びレオナルド・ダ・ヴィンチ作「受胎告知」の展示を含む「レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の実像」展の開幕式が行われ、訪日中のルテッリ・イタリア副首相兼文化財・文化活動大臣が出席するとともに、常陸宮同妃両殿下がご臨席になられた。

また、2009年9月から12月まで日本で「イタリアの秋・2009」が開催され、ミラノ・スカラ座の日本公演、古代ローマ帝国の遺産展等の様々なイベントを通じ、イタリアの文化、芸術、歴史、観光等に焦点を当てたイタリア紹介大型事業が実施された。

2011年秋には、「日本におけるイタリア2011」として、展覧会やオペラ公演等のイタリア紹介イベントが開催される予定。

(6)2010年6月には市川海老蔵歌舞伎公演がローマ市内で開催され、ナポリターノ大統領他イタリア各界の要人が鑑賞し、これに先立ち舞台衣裳展、歌舞伎講演会も行われた。また、7月には、前年の「Japanitaly」に続き、ローマ市内ティベリーナ島において、日本映画上映、歌謡・芸能イベント、日本食提供等を中心とした日本文化紹介行事「Un' Isola del Giappone」が開催された。

9月末から10月初頭には、2009年に続きポップカルチャーイベント「ロミックス・ジャパン」を開催。漫画家の池田理代子氏をゲストに招き、マンガ、アニメ、TVゲーム、コスプレ等の日本のポップカルチャーを幅広く紹介した。また、10月末から11月初頭にはローマ国際映画祭において、「フォーカス・ジャパン」を実施。コシノ・ジュンコ氏演出によるオープニング・イベント、野上照代氏を招待しての黒澤映画回顧イベント、ローマ日本文化会館における「シネマ歌舞伎」上演などを通じて、日本文化の総合的な紹介が行われた。

(7)現在、両国間で35の姉妹都市関係がある。

4.在留邦人数

12,156人(2009年)

5.在日イタリア人数

2,543人(2008年末)

6.要人往来(2000年以降)

(1)往

要人名
2000年 河野外務大臣、森総理大臣
2001年 小泉総理大臣・田中外務大臣・塩川財務大臣(ジェノヴァ・サミット及び関連G8会合)、石原行政改革担当大臣
2002年 武部農林水産大臣(世界食糧サミット5年後会合)、坂口厚生労働大臣、竹中経済財政政策担当大臣、尾身沖縄及び北方対策担当大臣、片山総務大臣、清子内親王殿下
2003年 綿貫衆議院議長、常陸宮同妃両殿下、小池環境大臣、亀井農林水産大臣
2004年 竹中金融・経済財政担当大臣、石原国土交通大臣
2006年 河野衆議院議長
2007年 久間防衛大臣、岩屋外務副大臣、鳩山法務大臣
2008年 福田総理大臣、甘利経済産業大臣、若林農林水産大臣、小池外務大臣政務官、河野衆議院議長
2009年 麻生総理大臣、与謝野財務大臣、中川財務大臣、二階経済産業大臣、石破農林水産大臣、斉藤環境大臣、中曽根外務大臣
2010年 皇太子殿下
2011年 伴野外務副大臣、高橋外務副大臣

(2)来

年月 要人名
2000年 アマート首相、ディーニ外相、ヴィスコ国庫相(九州・沖縄サミット)
2001年 ディーニ外相(「日本におけるイタリア2001年」開幕)、マルツァーノ生産活動相
2002年 アレマンノ農林政策相、マルツァーノ生産活動相
2003年 カジーニ下院議長
2004年 モラッティ教育・大学・研究相
2005年 ペーラ上院議長、スカイヨーラ生産活動相、ブッティリオーネ文化財・文化活動相
2007年 プローディ首相、ダレーマ副首相兼外相、ルテッリ副首相兼文化財・文化活動相、デ・カストロ農林食品政策相、ビンディ家族政策担当相、ニコライス行政機能・イノベーション担当相、パドア・スキオッパ経済財政相
2008年 ベルルスコーニ首相、フラッティーニ外相、プレスティジャコモ環境・国土保全相、トレモンティ経済財政相、スカイオーラ経済振興相
2009年 ナポリターノ大統領
2010年 アレマンノ・ローマ市長

7.二国間条約・取極

1913年 通商航海条約
1932年 原産地証明手数料相互免除取極
1937年 司法共助取極
1953年 船舶の内国民待遇暫定的許与取極
1955年 通商議定書及び取極
1954年 文化協定
1956年 一部旅券査証及び査証料相互免除取極
1962年 航空協定
1963年 査証免除取極
1969年 租税(所得)条約及び議定書
1972年 請求権解決に関する取極
1973年 原子力平和的利用協力取極
1988年 科学技術協力協定
2009年 社会保障協定署名(未発効)
2009年 税関相互支援協定署名(未発効)

8.外交使節

(1)イタリア駐箚日本大使 河野 雅治

(2)日本駐箚イタリア大使 ヴィンチェンツォ・ペトローネ