ヨルダン・ハシェミット王国
(Hashemite Kingdom of Jordan)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年3月現在)

一般事情

1.面積

8.9万平方キロメートル(日本の約4分の1)

2.人口

595万人(2009年)

3.首都

アンマン(Amman)

4.言語

アラビア語(英語も通用)

5.宗教

イスラム教93%、キリスト教等7%

6.国祭日

5月25日(独立記念日)

7.略史

7世紀よりイスラム諸王朝の支配を受け、16世紀からはオスマントルコの支配下に入る。

略史
1919年 英の委任統治領となる
1923年 トランスヨルダン王国建国
1946年 トランスヨルダン王国として独立
1950年 ヨルダン・ハシェミット王国と改称

政治体制・内政

1.政体

立憲(世襲)君主制、元首は国王

2.元首

アブドッラー2世・イブン・アル・フセイン国王陛下(His Majesty King Abdullah II Ibn Al Hussein)(1999年即位)

3.議会

二院制、上院60名、下院120名

4.政府

首相 マアルーフ・アル・バヒート(Dr. Marouf Suleiman Al-Bakhit)
外相 ナーセル・ジュデ(Mr. Nasser Judeh)

5.内政

(1) 人口の約7割以上を占めるといわれるパレスチナ系住民を抱えており、これらのパレスチナ人を体制内に取り込みつつ、物価・エネルギー価格の高騰、高い失業率、貧困率等国内の不安定要因を除去すること及び安定的な経済発展の達成を図ることが内政の基本。

(2) 2011年のチュニジア、エジプト情勢を背景とし、昨今の物価上昇、選挙法の改正、汚職の摘発、リファーイ首相の退陣等を求めて、1月14日、21日及び28日の金曜礼拝の後に、アンマンを始め国内各地で抗議デモが発生。2月1日、リファーイ首相内閣は総辞職をし、9日バヒート新内閣が発足した以降もデモは継続。バヒート内閣は、アブドッラー国王の指示の下、国民対話等により、政治・経済改革を行うことを表明した。

外交・国防

1.外交基本方針

 中東地域の穏健勢力としてアラブ・イスラム諸国との協調、全方位等距離外交の推進を基調。和平プロセスに前向きであり、1994年10月イスラエルとの平和条約に署名し、11月外交関係を樹立(アラブ諸国ではエジプトに次いで2番目)。

2.軍事力(ミリタリーバランス2010)

(1)国防費 16.4億ドル

(2)兵役 志願制

(3)兵力 100,500人(陸軍88,000人、海軍500人、空軍12,000人)

経済(単位:米ドル)

1.主要産業

製造業、運輸・通信業、金融業

2.GNI

236.6億米ドル(2009年)

3.一人当たりGNI

3,980ドル(2009年)

4.経済成長率

2.8%(2009年)

5.物価上昇率

-0.7%(2009年)

6.失業率

12.9%(2009年)

7.総貿易額

(1)輸出 63.93億ドル(2009年)

(2)輸入 126.8億ドル(2009年)

8.貿易品目

(1)輸出 衣料品、燐鉱石、カリ、化学肥料、医薬品

(2)輸入 原油、自動車・車両、機械類、電気機器

9.貿易相手国(多い順:2009年)

(1)輸出 米国、イラク、インド、サウジアラビア、シリア、UAE、レバノン、インドネシア、日本

(2)輸入 サウジアラビア、中国、米国、ドイツ、エジプト、韓国、日本、イタリア

10.通貨

ヨルダン・ディナール(JOD)

11.為替レート

1JOD=約1.41米ドル=約116円(2011年3月)

12.経済概況

 ヨルダン経済は、1990年代以来IMFと協調して進めてきた経済構造改革プログラム(2004年7月終了)を通じたマクロ経済・財政運営面での改革の成果等により、近年は平均で年5%を超える高い成長を実現していたが、最近は世界経済の悪化、特に2008年の世界的金融危機の影響を受け、経済成長は伸び悩んでいる。

 都市・地方間の所得格差、高い水準で推移する貧困率・失業率、慢性的な財政ギャップなど構造的な問題を抱え、依然として外国からの資金援助、地域の治安情勢、外国からの短期的な資本流入の動向等に左右されやすい脆弱性がある。

13.対外公的債務残高

54.6億ドル(2009年)

経済協力

1.日本の援助実績

 日本は地域の平和と安定や和平プロセスにおけるヨルダンの重要性等に鑑み、これまで同国に対して積極的な経済支援を実施してきている。従来より、技術協力、無償資金協力、円借款と、各種形態により援助を実施しており、これまでの二国間援助累計額においては、中東地域ではエジプトに次いで第2位の被援助国。

(ODA国別データブック)

(2009年度までの累計)

(1)有償資金協力 2,044.25億円(交換公文ベース)

(2)無償資金協力 641.99億円(交換公文ベース)

(3)技術協力 285.68億円(JICA経費ベース)

2.主要援助国

(1)米国(2)フランス(3)EU(4)日本(5)ドイツ (2009年)

二国間関係

1.政治関係

(1)1954年国交樹立。日本は1974年大使館を設置。先方も同年在京大使館を設置。

(2)皇室・王室間の伝統的友好関係を含め、極めて良好な関係を維持。アブドッラー国王陛下は10回の訪日歴を有する親日家。

2.経済関係

ヨルダンにとって、日本は第7位の輸入先で第9位の輸出先(2009年)

(1)対日貿易

(ア)品目
対日輸入 機械機器、輸送機械
対日輸出 燐鉱石、カリ肥料
(イ)貿易額(2009年)
対日輸入 5.2億米ドル
対日輸出 1.3億米ドル

(2)日本からの直接投資5件

3.原子力協力

(1)2010年4月のアブドッラー国王訪日時に、原子力協定締結交渉の開始に合意。

(2)2010年6月13日、アンマンにおいて原子力協定締結交渉を行った。

(3)2010年9月10日、アンマンにおいて原子力協定に署名。

4.文化関係

 文化人招聘及び派遣、スポーツ交流等の他、文化無償資金協力(22件総額約8.5億円)を行っている。2004年、日本とヨルダンは外交関係樹立50周年を迎えた。2010年10月には,サッカーのUnder16日本代表がヨルダンに来訪し、交流試合を行った他、11月には大使公邸において、日本人グループによるコンサート、邦人舞台芸術家のグループによる現代舞踏公演をそれぞれ行った。また、2011年2月には原爆をテーマとした作品を中心とした日本映画祭を開催し、多くのヨルダン国民が鑑賞し好評を博すなど、活発な文化交流事業を展開している。

5.在留邦人数

約307人(2009年10月現在)

6.在日当該国人数

約191人(2009年12月現在)

7.要人往来(1974年以降。肩書きは当時)

(1)往
年月 要人名
1974年 小坂特使
1976年 皇太子同妃両殿下
1980年 三笠宮同妃両殿下、大来外務大臣
1981年 江崎特使
1985年 安倍外務大臣
1987年 倉成外務大臣
1988年 宇野外務大臣
1990年8月 中山外務大臣
1990年10月 海部内閣総理大臣
1994年5月 柿澤外務大臣
1994年10月 武藤特使
1995年1月 皇太子同妃両殿下
1995年9月 村山内閣総理大臣
1995年10月 福田外務政務次官
1996年6月 高円宮同妃両殿下
1996年8月 池田外務大臣
1999年1月 高村外務大臣
1999年2月 皇太子同妃両殿下(フセイン国王の葬儀参列)、小渕総理大臣(フセイン国王の葬儀参列)
1999年3月 町村外務政務次官
2001年8月 杉浦外務副大臣
2001年12月 本岡参議院副議長
2002年9月 渡部衆議院副議長
2002年11月 茂木外務副大臣
2003年3月 茂木外務副大臣
2003年4月 川口外務大臣
2003年6月 茂木外務副大臣
2003年12月 逢沢外務副大臣(総理特使)
2004年4月 逢沢外務副大臣
2004年8月 田中外務大臣政務官
2004年10月 谷川外務副大臣
2005年1月 河井外務大臣政務官
2005年2月 福島外務大臣政務官
2005年5月 福島外務大臣政務官
2005年6月 高円宮妃殿下
2006年2月 遠山外務大臣政務官
2006年7月 小泉総理大臣
2006年12月 浅野外務副大臣
2007年8月 麻生外務大臣
2008年7月 宇野外務大臣政務官
2009年5月 西村外務大臣政務官
2009年12月 武正外務副大臣
2010年8月 武正外務副大臣
2010年11月 中山経産大臣政務官
2011年1月 徳永外務大臣政務官

(2)来

年月 要人名
1974年 ハッサン皇太子(外務省賓客)
1976年 フセイン国王(国賓)
1978年 ムハンマド王子
1982年 フセイン国王陛下・アブドッラー王子(現国王)
1983年 フセイン国王
1987年 マスリ外相
1988年 ハッサン皇太子(公賓)
1989年2月 フセイン国王(大喪の礼)
1989年10月 ヌール王妃
1990年11月 ハッサン皇太子(即位の礼)
1991年1月 アブドッラー計画相(外務省賓客)
1991年9月 ファリーズ計画相
1993年7月 ハヤ王女
1993年10月 バスマ王女
1993年11月 アブドッラー王子
1993年12月 マジャーリ首相兼外務相(外務省賓客)
1994年9月 ハヤ王女
1995年5月 ハッサン皇太子(公式実務訪問賓客)
1998年10月 アブドッラー王子(現国王)
1999年6月 マルトー財務相
1999年12月 アブドッラー国王・王妃両殿下(国賓)
2000年6月 ハムザ皇太子殿下(小渕前総理合同葬出席)
2001年10月 アブー・ラーキブ首相
2002年5月 ムアッシャル外相(外務省賓客)
2002年6月 アブドッラー国王
2003年2月 アワダッラー計画相
2003年10月 バスマ王女
2004年2月 アワダッラー計画・国際協力相
2004年5月 マジャーリ下院議長
2004年10月 アワダッラー計画・国際協力相(イラク信託基金東京会合出席)
2004年12月 アブドッラー国王(実務訪問賓客)
2005年6月 アリ計画・国際協力相
2005年7月 ビルタージ国王顧問
2005年12月 アブドッラー国王(実務訪問賓客)
2006年8月 ハッサン王子(元皇太子)
2006年12月 アブドッラー国王・王妃両陛下
2007年5月 ムナ妃殿下
2007年7月 ラーイヤ王女
2008年5月 ハッサン王子(元皇太子)
2008年7月 バシール外相
2008年10月 スマイヤ王女
2008年12月 ラーイヤ王女
2009年3月 アリ計画・国際協力相
2009年4月 アブドッラー国王(実務訪問賓客)
2009年12月 ラトゥーフ社会開発相
2010年3月 ハッサン計画・国際協力相
2010年4月 アブドッラー国王(実務訪問賓客)
2010年7月 ファフーリ公共部門開発相兼大規模事業担当国務相、ジュマア情報通信技術相
2010年10月 リファーイ首相兼国防相、イラーニ・エネルギー鉱物資源相、ハディーディ産業貿易相、バターイネ運輸相、ファフーリ公共部門開発相兼大規模事業担当国務相、ハッサン計画・国際協力相
2010年11月 アリー王子

8.二国間条約・取極

1985年発効 技術協力協定
1995年発効 航空協定
1997年発効 査証手数料相互免除協定
2010年署名 原子力協定(未締結)