マレーシア
(Malaysia)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年7月現在)

一般事情

1.面積

約33万平方キロメートル(日本の約0.9倍)

2.人口

2,840万人(2010年統計局)

3.首都

クアラルンプール

4.民族

マレー系(66%)、中国系(約25%)、インド系(約8%)

(注※マレー系には中国系及びインド系を除く他民族を含む)

5.言語

マレー語(国語)、中国語、タミール語、英語

6.宗教

イスラム教(連邦の宗教)、仏教、儒教、ヒンドゥー教 、キリスト教、原住民信仰

7.略史

年月 略史
15世紀初め マラッカ王国成立
16世紀〜17世紀 ポルトガル、オランダ東インド会社によるマラッカ支配
1824年 英蘭協約によりマレー半島及びボルネオ島西北部が英国の勢力範囲下となる。イギリスによる植民地支配。
1942年〜1945年 日本軍による占領
1948年 英領マラヤ連邦形成
1957年 マラヤ連邦独立
1963年 マレーシア成立(シンガポール、サバ、サラワクを加える)
1965年 シンガポールが分離、独立。

政治体制・内政

1.政体

立憲君主制(議会制民主主義)

2.元首

ミザン・ザイナル・アビディン第13代国王
(2006年12月就任、任期5年、スルタン会議で互選。 トレンガヌ州スルタン)

3.議会

二院制

上院:70議席、任期3年。44名は国王任命、26名は州議会指名。
下院:222議席、任期5年。直接選挙(小選挙区制)

4.政府

首相:ナジブ・ラザク(2009年4月就任)
外相:アニファ・アマン(2009年4月就任)

5.内政概況

2008年3月の総選挙では、独立以来政権を担ってきた与党連合(「UMNO(統一マレー国民組織)」が中心)は議席を大幅に減らす(90%→63%)とともに、同日実施の州議会選挙(12州)のうち5州で野党が政権を奪取した(野党議員の離党で現在は4州)。その結果、アブドゥラ首相(当時)は政治的求心力を失い、2009年4月にナジブ副首相に政権を移譲してナジブ政権が成立した。

ナジブ首相は、「1(one) Malaysia」をスローガンに掲げ、民族融和と行政改革を前面に打ち出すとともに、市場志向的な「新経済モデル」の提示や2020年迄の先進国入りに向けたロードマップに相当する「政府変革プログラム」「経済変革プログラム」等を発表し、各民族・階層からの与党連合への広汎な支持回復を図っている。その一方で、アンワル元副首相が 2008年8月に下院補欠選挙で当選して以降、野党連合首班として名実ともに野党を牽引する他(同性愛容疑の公判は高裁で継続中)、野党連合は次期総選挙を控えて連携を強化している。

2008年3月の総選挙以降に行われた16回(3月6日現在)の補欠選挙では、与党連合と野党連合は8勝8敗と拮抗しているが、2010年以降は与党連合の勝利が続いている。

外交・国防

1.外交基本方針

ASEAN協力の強化、イスラム諸国との協力、大国との等距離外交、南々協力、対外経済関係の強化が対外政策 の基本。ナジブ政権は、中国、米国、インド等との実務的な関係を強化。PKOには1960年より積極的に参加。

2.軍事力

(1)予算:3,436百万ドル(2010年予算)

(2)兵役:志願制

(3)兵力:正規軍10.9万人(陸軍 8万人、海軍 1.4万人、空軍 1.5万人)

(2010年版ミリタリーバランス)

経済

1.主要産業

製造業(電気機器)、農林業(天然ゴム、パーム油、木材)及び鉱業(錫、原油、LNG)

2.実質GDP(億ドル)

552(2000年)、554(2001年)、577(2002年)、609(2003年)、655(2004年)、701(2005年)、1,343(2006年)、1,528(2007年)、1,584(2008年)、1,474(2009年)、1,738(2010年)

3.一人当り名目GNP(ドル)

3,991(2000年)、3,863(2001年)、4,111(2002年)、4,409(2003年)、4,898(2004年)、5,318(2005年)、5,943(2006年)、6,956(2007年)、7,729(2008年)、6,767(2009年)、8,323(2010年)

4.GDP成長率

8.7%(2000年)、0.5%(2001年)、5.4%(2002年)、5.8%(2003年)、6.8%(2004年)、5.3%(2005年)、5.8%(2006年)、6.3%(2007年)、4.6%(2008年)、-1.7%(2009年)、7.2%(2010年)

5.消費者物価上昇率

1.6%(2000年)、1.4%(2001年)、1.8%(2002年)、1.1%(2003年)、1.4%(2004年)、3.1%(2005年)、3.6%(2006年)、2.0%(2007年)、5.4%(2008年)、0.6%(2009年)、1.7%(2010年)

6.失業率

3.1%(2000年)、3.6%(2001年)、3.5%(2002年)、3.6%(2003年)、3.5%(2004年)、3.5%(2005年)、3.3%(2006年)、3.2%(2007年)、3.3%(2008年)、3.6%(2009年)、3.6%(2009年)、3.1%(2010年)

7.総貿易額(2010年)

(1)輸出 1,989億9,420万ドル

(2)輸入 1,646億8,880万ドル

8.貿易品目(2010年)

(1)輸出:電気製品、パ−ム油、化学製品、原油・石油製品、LNG、機械・器具製品、金属製品、科学光学設備、ゴム製品等

(2)輸入:電気製品、製造機器、化学製品、輸送機器、金属製品、原油・石油製品、鉄鋼製品、科学光学設備、食料品等

9.貿易相手国(2010年)

(1)輸出:シンガポール(13.8%)、中国(12.1%)、日本(10.9%)

(2)輸入:日本(14.0%)、中国(12.4%)、米国(10.7%)

10.為替レート

1米ドル=約3.06リンギ、1リンギ=約26.5円(2011年1月3日現在)

11.経済概況

2008年半ばまで経済成長率は5%前後で推移していたが、世界金融経済危機に伴う輸出急落で2009年は▲1.7%と大幅に下落。2010年は内需の回復及び好調な中国経済に牽引されて通年では7.2%まで回復したが、外需低迷により2010年後半から成長は減速傾向にある。

2009年4月に着任したナジブ首相は、政権成立後直ちに外資の誘致に向けたサービス27分野の資本規制の撤廃、投資関連規制や手続きの規制緩和措置を打ち出した。その後、2010年3月の「新経済モデル」(同年12月に第二部を発表)による市場志向的制度への軌道修正の発表、同年6月の「第10次マレーシア計画(2011-2015年)」による中期的ビジョンの提示、同年10月の「経済変革プログラム」(2011年1月追加案件を発表)による2020年迄のロードマップ及び重点投資分野の明示等、矢継ぎ早に政策を発表するとともに、補助金削減による財政健全化の具体的措置も図りつつ、2020年迄の先進国入りの目標達成に向けて取り組んでいる。

経済協力

1.日本の援助(2009年度までの累計)(単位:億円)

(1)有償資金協力:9,693億円(交換公文ベース)

(2)無償資金協力:138億円(交換公文ベース)

(3)技術協力:1,096億円(JICA経費実績ベース)

2.主要援助国ODA実績(単位:百万ドル)

(2008年、支出純額、DAC集計)

(1)日本(117.53)、(2)英国(18.92)、(3)ドイツ(10.83)

二国間関係

1.政治関係

マハティール首相(当時)が提唱した「東方政策」、頻繁な要人往来、直接投資や貿易・技術協力などを通じた緊密な経済関係、活発な文化・留学生交流に支えられ、二国間関係は全般的に良好。

2.経済関係

(1)対日貿易

(イ)品目
輸出:鉱物性燃料(LNG等)、電気機器、木材等
輸入:電気機器、機械類、自動車、鉄鋼
(ロ)貿易額(財務省統計、単位:億円)
輸出(マレーシア→日本):15,627(2000年)、15,613(2001年)、14,014(2002年)、14,580(2003年)、15,263(2004年)、16,184(2005年)、18,012(2006年)、20,469(2007年)、23,976(2008年)、15,584(2009年)、19,874(2010年)
輸入(日本→マレーシア):14,966(2000年)、13,372(2001年)、13,776(2002年)、13,017(2003年)、13,593(2004年)、13,829(2005年)、15,370(2006年)、17,690(2007年)、17,054(2008年)、12,001(2009年)、15,446(2010年)

(2)日本からの直接投資(マレーシア工業開発庁)(単位:百万ドル)

 966.2(2005年)、1,202.1(2006年)、1,896.1(2007年)、1,617.0(2008年)、2,058.9(2009年)、1,308.2(2010年)

3.文化関係

(1)文化無償協力、東南アジア青年招聘、日本研究講座、展示、公演、講師派遣等を実施。

(2)在日留学生数:2,465人(2010年12月現在)(中国、韓国、台湾、ベトナムに次いで第5位)

4.在留邦人数

9,705人(2010年10月現在)

5.在日マレーシア人数

8,291人(2008年12月末現在:入管統計)

6.要人往来

(1)往(2000年以降)

年月 要人名
2000年9月 常陸宮同妃両殿下
2001年7月 竹中経済財政担当大臣
2002年1月 小泉総理大臣
2002年10月 竹中経済財政・金融担当大臣
2003年1月 塩川財務大臣
2003年4月 坂口厚生労働大臣
2003年11月 川口外務大臣
2004年1月 茂木内閣府特命担当大臣・情報通信技術担当大臣
2005年1月 大野防衛庁長官
2005年5月 中川経産大臣
2005年10月 中川経産大臣
2005年12月 小泉総理大臣、麻生外務大臣、二階経産大臣
2006年6月 天皇皇后両陛下
2006年7月 麻生外務大臣
2006年8月 二階経産大臣
2007年8月 安倍総理大臣
2011年1月 片山総務大臣

(2)来(2000年以降)

年月 要人名
2000年4月 ラフィダ国際貿易産業相(日・「マ」経済協議会合同会議)
2000年6月 マハティール首相(小渕前総理合同葬参列等)
2000年9月 アブドゥラ副首相(アセアンセンター主催シンポジウム)
2001年1月 マハティール首相(新聞社主催シンポジウム)
2001年3月 ナジブ国防大臣(外務省招待)
マイケル・チェン上院議長(参議院招待)
2001年4月 ラフィダ国際貿易産業相
2001年6月 マハティール首相(新聞社主催セミナー)
2001年10月 マハティール首相
2002年1月 サイド・ハミド外相(アフガニスタン復興支援国会議)
2002年5月 マハティール首相(新聞社主催セミナー)
2002年8月 サイド・ハミド外務大臣(東アジア開発閣僚会議)
2002年12月 マハティール首相(東方政策20周年記念セミナー)
2003年6月 マハティール首相(新聞社主催セミナー)
2003年7月 アブドゥラ副首相(外務省賓客)
2003年12月 アブドゥラ首相(日ASEAN特別首脳会議)
2004年6月 アブドゥラ首相(新聞社主催セミナー)
2005年3月 サイド・シラジュディン国王(国賓)
2005年5月 アブドゥラ首相(新聞社主催セミナー)
2006年5月 アブドゥラ首相(新聞社主催セミナー)
2006年6月 ナジブ副首相(世界経済フォーラム東アジア会議)
2006年7月 ラフィダ国際貿易産業相(日マレーシアEPA合同委員会)
2007年3月 ナジブ副首相(外務省賓客)
2007年5月 アブドゥラ首相(新聞社主催セミナー)
2008年5月 アブドゥラ首相(新聞社主催セミナー)
2009年12月 ムヒディン・ヤシン副首相
2010年5月 ムスタパ・モハマド国際貿易産業相
2010年11月 ムヒディン・ヤシン副首相(APEC)
2011年5月 ナジブ首相(新聞社主催セミナー)
2011年6月 ムスタパ・モハマド国際貿易産業相

7.二国間条約・取極

(1)国交樹立
 1957年8月31日

(2)主要な二国間条約・取極
 通商協定(1960年5月10日署名)
 租税協定(1970年1月30日署名)
 航空協定(1965年2月11日署名)
 査免取極(1983年1月25日署名)
 補償協定(1967年9月21日署名)
 郵便為替交換協定(1983年11月18日署名)
 日マレーシア経済連携協定(2005年12月署名、2006年7月発効)