モルドバ共和国
(Republic of Moldova)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年2月現在)

一般事情

1.面積

3万3,840平方キロメートル(九州よりやや小さい)

2.人口

約360万人(2009年世銀、沿ドニエストル地域を除く)

3.首都

キシニョフ(モルドバ語読みでキシナウ)

4.民族

モルドバ(ルーマニア系)人(78.4%)、ウクライナ人(8.4%)、ロシア人(5.8%)、ガガウス(トルコ系)人(4.4%)等

5.言語

公用語はロマンス語系のモルドバ語(ルーマニア語とほぼ同じ)。ロシア語も一般に通用。

6.宗教

キリスト教(正教)が優勢

7.略史

年月 略史
1349年 ボグダニア公国建国(後のモルダヴィア公国)
1457年 シュテファン大公即位(〜1504年)、モルダヴィア公国の最盛期
1512年 オスマン・トルコの宗主権下に
1792年 ヤシ条約(現在の沿ドニエストル地域がトルコからロシアに割譲)
1806年 露土戦争(1812年、ブカレスト条約によりベッサラビアがロシア領に編入)
1859年 モルダヴィア公国とワラキア公国の合併
1917年 ロシア革命、人民投票によりソヴィエトとの併合を決議
1918年 ルーマニア、ベッサラビア(現モルドバ共和国)を占領
1920年 パリ条約でルーマニアの領有を承認
1924年 ソ連、ドニエストル河東岸にウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国の構成部分として「モルダヴィア自治共和国」を創設
1940年 ソ連、独ソ不可侵条約秘密議定書に基づくドイツとの合意に従い、ベッサラビアを占領
1940年 ソ連、モルダヴィア・ソヴィエト社会主義共和国を創設
1947年 連合国とルーマニアの平和条約でベッサラビアのソ連への委譲を確認
1989年 モルダヴィア人民戦線の結成
1990年6月6日 共和国を「モルダヴィア・ソヴィエト社会主義共和国」から「モルドバ・ソヴィエト社会主義共和国」に変更
1990年6月23日 共和国主催宣言
1991年5月23日 国名をモルドバ共和国に変更
1991年12月21日 独立国家共同体創設協定議定書に署名
1992年 沿ドニエストル紛争
1993年 通貨レイ導入
1994年 モルドバ共和国憲法採択

政治体制・内政

1.政体

共和制

2.元首

大統領(2011年1月現在、不在。ルプ議長が代行)

3.議会

一院制(定数101名、任期4年)

4.政府

(1)首相 ウラジーミル・フィラト

(2)副首相兼外務欧州統合相 ユリエ・レアンカ

5.内政

(1)政治情勢

 2009年4月の議会選挙でも共産党は過半数を確保したが、大統領の選出に失敗(大統領選出には議会の5分の3以上の賛成が必要)。同年7月に実施された議会再選挙では民主党などの野党4党が過半数を獲得し、同年9月にフィラト内閣成立。(連立4党は5分の3以上の議席を有しておらず、大統領の選出には再度失敗。ギンプ議会議長が大統領を代行。)2010年9月、大統領選出を国民の直接選挙に変更する憲法改正のための国民投票を実施したが不成立。同年11月、議会選挙を実施。同年12月、フィラト内閣が成立。大統領は依然として選出されておらず、ルプ議会議長が代行。

(2)沿ドニエストル問題

 ロシア系住民が入植し、ロシア軍の駐留する沿ドニエストル地域がモルドバの独立前後に「独立」を宣言し武力紛争に発展。停戦状態にある現在もモルドバ政府の実効支配が及んでいない。当事者・仲介者であるモルドバ、沿ドニエストル、ロシア、ウクライナ、OSCEに、オブザーバーの米国、EUを加えた「5+2」協議の再開が課題。また、沿ドニエストル問題が取り扱われる予定の「ロシア・EU対外政策安全保障問題委員会」設置に向けた独露のイニシアティブ(2010年6月)にも注目。

外交・国防

1.外交基本方針

 憲法に中立路線が明記されている。長期的な外交目標はEU加盟。近隣諸国との関係を重視した現実的外交。天然ガスの輸入や農産物の輸出先としてロシアに大きく依存。ヴォローニン前政権の末期にルーマニアとの関係が悪化したが、フィラト内閣の下で改善。

2.軍事力

 地上軍と空軍で構成。地上軍は歩兵部隊を中心に5,148名。空軍は850名で輸送機、ヘリコプターを保有。徴兵制を維持。

 なお、沿ドニエストル「政府」軍として、地上軍が約5,400名。同地域には約1,500名のロシア軍部隊が駐留。

経済

1.主要産業(産業別構造比)

鉱工業(17.1%)、農林水産業(10.6%)、建設業(5.9%)、サービス業(66.4%)(2008年:CIS統計委員会)

2.GNI

55.6億ドル(2009年:世銀)

3.一人当たりGNI

1,560ドル(2009年:世銀)

4.経済成長率

−6.5%(2009年:CIS統計委員会)

5.物価上昇率

0.0%(2009年:CIS統計委員会)

6.失業率

3.2%(2008年:モルドバ統計局)

7.総貿易額(2009年:CIS統計委員会)

(1)輸出 13億ドル

(2)輪入 33億ドル

8.主要貿易品目(2009年)

(1)輸出 繊維、食品、植物製品

(2)輸入 化学品、自動車、機械類

9.主要貿易相手国(2008年)

(1)輸出 ルーマニア(21%)、ロシア(20%)、イタリア(11%)

(2)輪入 ウクライナ(17%)、ロシア(14%)、ルーマニア(12%)

10.通貨

レイ(MDL)

11.為替レート

1米ドル=11.99レイ(2011年2月現在:モルドバ中央銀行)

12.経済概況

 市場経済移行中であり、欧州最貧国とされる。2000年以降はプラス成長が続いているが、農業・食品加工業以外の基幹産業がなく、2008年には世界金融危機の影響を受けるなど脆弱。IMFと協調して構造改革に取り組んでいる。

経済協力

1.我が国の援助実績(2008年まで)

(1)人道支援(支援委員会による支援) 372万ドル

(2)無償資金協力 51.04億円

貧困農民支援(2KR)、セクター・プログラム無償(中小企業振興)、一般無償「農業機械化訓練センター機材整備計画」、草の根・人間の安全保障無償資金協力(保健・医療、環境分野等)、文化無償(美術館案件等)、緊急無償援助(洪水被害)等。

(3)金融支援 技術協力 12.71億円 専門家派遣、研修員受入等

(4)多国間協力 人間の安全保障基金による人身取引案件等

2.主要援助国

米、スウェーデン、独、オランダ、トルコ、仏、英、スイス、日本

二国間関係

1.政治関係

(1)国家承認日 1991年12月28日

(2)外交関係開設日 1992年3月26日

 我が国は在ウクライナ日本大使館がモルドバを兼轄。モルドバは我が国を管轄する大使館未設置。

2.経済関係

(1)我が国の対モルドバ貿易(2009年:ロシアNIS貿易会)

(イ)輸出 726万ドル
(ロ)輸入 497万ドル

(2)主要品目(2009年:ロシアNIS貿易会)

(イ)輸出 自動車、機械、ゴム製品
(ロ)輸入 衣類、食料品

3.在留邦人数

7名(2009年10月現在)

4.在日当該国人数

309名(2009年末現在)

5.要人往来

(1)往(1996年以降)

年月 要人名
1996年6月 枝村外務省参与

(2)来(1992年以降)

年月 要人名
1992年10月 ツユ外相(旧ソ連支援東京会議出席のため)
1997年10月 マグデイ保健相、ブラギシ経済改革次官(民間招待)
1997年12月 グツ副首相兼経済改革相
1999年1月 タバカル外相(公式訪問)
2001年1月 ブマコフ農業次官
2001年6月 ゲルマン保健相(無償資金協力条件の入札参加のため)
2002年3月 ミロネスク農業食品産業省第一次官
2003年2月 イアシンスチ農業食品産業省次官
2004年5月 スピヴァチェンコ農業第一次官
2006年3月 キストゥルーガ外務欧州統合省次官
2006年12月 ドドン経済貿易相
2008年1月 ストラタン副首相兼外務欧州統合相

6.二国間の条約・取極等

1998年6月 日ソ間で結んだ条約の承継を確認
2008年5月 技術協力協定