オランダ王国
(Kingdom of the Netherlands)
出典:外務省 各国・地域情勢(2011年8月現在)
一般事情
1.面積
41,864平方キロメートル(九州とほぼ同じ)
2.人口
1,653万人(2009年オランダ中央統計局)
3.首都
アムステルダム
4.言語
オランダ語
5.宗教
キリスト教(カトリック30%、プロテスタント19%)、イスラム教(4%)、その他(5%)、無宗教(42%)
6.略史
年月 | 略史 |
---|---|
1568年 | 対スペイン独立戦争 |
1648年 | オランダ連邦共和国独立 |
1810年 | フランスにより併合 |
1815年 | オランダ王国独立 |
1839年 | ベルギーの独立を承認 |
1867年 | ルクセンブルクの独立 |
1940年 | ドイツによる占領 |
1945年 | オランダの解放 |
1949年 | インドネシアの独立 |
1975年 | スリナムの独立 |
政治体制・内政
1.政体
立憲君主制
2.元首
ベアトリックス女王
3.議会
二院制(第2院(下院)150議席、第1院(上院)75議席) 第2院に法案、条約の先議権がある。
政党名 | 下院 | 上院 | |
---|---|---|---|
与党 | 自由民主国民党 | 31 | 14 |
キリスト教民主同盟 | 21 | 21 | |
野党 | 社会党 | 15 | 12 |
労働党 | 30 | 14 | |
キリスト教連合 | 5 | 4 | |
自由党 | 24 | - | |
緑の党 | 10 | 4 | |
民主66党 | 10 | 2 | |
カルビン党 | 2 | 2 | |
動物党 | 2 | 1 | |
その他 | 0 | 1 | |
合計 | 150 | 75 |
(2011年4月現在)
与党は自由党(PVV)の閣外協力を得た、自由民主国民党(VVD)及びキリスト教民主同盟(CDA)による少数連立内閣(下院150議席中52議席。閣外協力のPVV24議席を合わせて計76議席を維持する。)
4.政府
(1)首相 マルク・ルッテ(自由民主国民党)
(2)外相 ウリ・ローゼンタール(自由民主国民党)
5.内政
(1)2010年2月に第4次バルケネンデ内閣が崩壊し、同年6月に下院総選挙を実施。当時野党だった自由民主国民党(VVD)が最大政党(31議席)となり、与党のキリスト教民主同盟(CDA)は第4位(21議席)に転落。労働党は第2位(30議席)、移民排除と反イスラムの過激な主張を掲げる自由党(PVV)が第3位(24議席)に躍進。
(2)その後の組閣交渉を経て、2010年10月、ルッテVVD党首を首班とする中道右派の少数連立政権が成立(PVVが閣外協力)。VVDからの首相選出及び少数連立内閣の成立は、戦後政治史上初。
(3)政府は、「経済危機からの脱出」を新内閣の主要政策課題と位置づけ、2015年までに180億ユーロの財政削減実施を目指す、としている。その他、移民制限・社会統合政策の厳格化、治安維持の強化が主な優先事項。
(4)2011年3月3日、統一州議会議員選挙(全部で12州)が行われ、VVDが7つの州で第一党となった。5月23日、上院議会員選挙(州議会議員による間接選挙)が行われた。VVDは第一党となったものの、VVD、CDA、PVVは合計で過半数に1議席届かず、37議席にとどまった(定数75)。
外交・国防
1.外交方針
(1)欧州共同体(EU)の原加盟国の一つであり、欧州統合の推進役。EUの発足を定めたマーストリヒト条約のとりまとめにも重要な役割を果たした。
(2)NATOの一員として、米欧同盟を常に強力に支持し、対米関係も重視。イラク戦争に当たっては、米英を政治的に支持し、イラク南部に約1,300名の部隊を派遣。
(3)国連等の場での国際協調を重視し、国際平和協力、開発などの分野に積極的に関与し、国際社会の平和と安全に寄与。また、積極的な経済外交を推進。
(4)アフガニスタンにおいては、2006年8月から2010年7月までウルズガン県にて主導国としての役割を果たした。また、2011年1月末、クンドゥズ等アフガニスタン北部への警察訓練任務の派遣(全体で約545名)の議会承認を得て、7月までに部隊の派遣を完了。現在、現地にて任務開始に向けた準備作業を行っている。
(5)リビアについては、3月23日に武器禁輸作戦参加を、4月1日に飛行禁止区域設定・維持への参加を決定し、F16戦闘機6機他を派遣(9月末までの予定)している。
2.軍事力
(1)予算 約84億ユーロ(2011年度)
(2)兵役 1997年以降徴兵制を停止し、志願制となる。
(3)兵力 軍人 約53,000人(ただし、予備役は含まない)
(陸軍 約26,000、海軍 約11,000、空軍 約9,000、軍事警察 約7,000人、文官18,000人)
経済
1.主要産業
石油精製、化学、電気、食品加工、天然ガス
2.GDP
7,833億ドル(2010年:IMF)
3.一人当たりGDP
47,172ドル(2010年:IMF)
4.経済成長率
2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年(見通し) | |
---|---|---|---|---|---|
経済成長率(%) | 3.9 | 1.9 | ▲3.9 | 1.7 | 1.8 |
(IMF)
5.物価上昇率
2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年(見通し) | |
---|---|---|---|---|---|
物価上昇率(%) | 1.6 | 1.7 | 0.7 | 1.8 | 2.2 |
(IMF)
6.失業率
2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年(見通し) | |
---|---|---|---|---|---|
失業率(%) | 3.2 | 2.8 | 3.4 | 4.5 | 4.4 |
(IMF)
7.総貿易額(2010年、Eurostat)
(1)輸出:4,325億ユーロ
(2)輸入:3,899億ユーロ
8.主要貿易品(2009年、Eurostat)
(1)輸出:原油、機械類、電気機器
(2)輸入:原油、機械類、輸送機器
9.主要貿易相手国(2009年、Eurostat)
(1)輸出:独、ベルギー、仏、英、伊
(2)輸入:独、中、ベルギー、米、英
10.通貨
ユーロ
11.経済概況
2009年の大幅なマイナス成長から、ユーロ安と世界貿易の回復による輸出の増大を主たる要因として、2010年は1%台後半の成長率を確保した。
景気下支えのための積極的な財政出動の結果、政府の財政赤字は、2010年に対GDP比5.2%まで悪化したが、財政支出削減により、2011年には同3.6%に改善することが見込まれる(オランダ経済政策分析局)。
二国間関係
1.政治関係
(1)日蘭関係は、4世紀にわたる長い交流の歴史、良好な経済関係、オランダ王室と我が国皇室との緊密な交流等、全体として良好な関係を維持しており、捕鯨問題、一部戦争犠牲者による賠償請求問題を除き特に懸案はない。
(2)2000年に日蘭交流400周年(1600年にオランダ船デ・リーフデ号が現在の大分県臼杵に漂着し、交流開始)、2008年に日蘭外交関係開設150周年を迎えた。2009年には、通商400周年(徳川家康による通商許可証(朱印状)が交付されてから400年)を迎え、両国において様々な周年事業を実施した。
2.経済関係
(1)貿易額・主要貿易品目(2009年:財務省貿易統計)
年 | 日本からオランダ 金額(億円) |
オランダから日本 金額(億円) |
収支 |
---|---|---|---|
2006 | 17,138 | 2,531 | 14,607 |
2007 | 21,809 | 3,293 | 18,516 |
2008 | 21,581 | 3,958 | 17,623 |
2009 | 12,600 | 3,227 | 9,373 |
2010 | 14,581 | 3586 | 10,882 |
対日輸入:印刷機、乗用車等
対日輸出:電気機器、石油及び調整品等
(2)進出企業
オランダに進出している日系法人数は396社(2009年10月)
日本に進出している蘭系法人数は82社(2009年2月)。
(3)直接投資(2009年末、日銀)
日→蘭:71,373億円
蘭→日:33,198億円
※日→蘭、蘭→日でも日・欧州間で最大。
年度 | 日本の対オランダ直接投資実績金額(億円) | オランダの対日直接投資実績金額(億円) |
---|---|---|
2006 | 54,012 | 14,478 |
2007 | 72,330 | 29,439 |
2008 | 65,157 | 32,962 |
2009 | 71,373 | 33,198 |
2010 | 86,161 | 35,832 |
(出典:日本銀行)
3.在留邦人数
6,482人(2010年10月外務省統計)
4.在日人数
1,128人(2009年法務省統計)
5.訪問者数
(1)日本からオランダ 119,000人(2010年日本政府観光局)
(2)オランダから日本 32,837人(2010年日本政府観光局)
6.要人往来
(1)往(1985年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1985年 | 福田元総理 |
1987年 | 唐沢郵政大臣 |
1988年 | 竹下総理 |
1989年 | 青木環境庁長官、礼宮殿下、志賀環境庁長官 |
1990年 | 礼宮殿下、中曽根元総理 |
1991年 | 海部総理、中山外務大臣 |
1997年 | 紀宮殿下、橋本総理、池田外務大臣 |
1998年 | 参議院公式議員団 |
2000年5月 | 天皇皇后両陛下(国賓) |
2000年11月 | 川口環境庁長官(COP6) |
2001年5月 | 秋篠宮同妃両殿下 |
2001年6月 | 川口環境大臣 |
2002年1-2月 | 皇太子殿下 |
2002年10月 | 秋篠宮同妃両殿下(故クラウス王配殿下御葬儀) |
2004年1月 | 石破防衛庁長官 |
2004年3月 | 秋篠宮同妃両殿下(故ユリアナ前女王陛下御葬儀) |
2005年5月 | 小泉総理 |
2006年8月 | 皇太子同妃両殿下及び愛子内親王殿下(御旅行・御滞在) |
2009年8月 | 秋篠宮同妃両殿下(公式訪問) |
2009年3月 | 中曽根外務大臣(アフガニスタンに関する国際会議) |
2011年1月 | 伴野外務副大臣 |
(2)来(1987年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1987年 | マルグリート王女、ファン・ローイ外国貿易相 |
1988年 | ファン・ローイ外国貿易相、ウィレム・アレキサンダー皇太子殿下、ブリンクマン文化相 |
1989年 | ファン・デン・ブルック外相(大喪の礼)、ファン・フォルスト国相、ドルマン下院議長、マルグリート王女殿下、デ・コルテ副首相兼経済相、スミット・クルーズ運輸相(日蘭380周年記念)、ブクマン外国貿易相 |
1990年 | ベルンハルト王配殿下、ブラックス農水相、アルダース環境相、ウィレム・アレキサンダー皇太子殿下(即位の礼) |
1991年 | メイ・ヴェッヘン運輸相、ファン・ローイ外国貿易相、アルダース環境相、ベアトリックス女王陛下(国賓)、ウィレム・アレキサンダー皇太子殿下、ファン・デン・ブルック外相 |
1992年 | コンスタンテイン王子殿下、ファン・ローイ外国貿易相、プロンク開発協力相 |
1993年 | コック副首相兼蔵相 |
1995年 | リッツエン教育相、トンメル住宅・環境相、ファン・ドック外国貿易相 |
1996年 | コック首相、ファン・ミールロー外相 |
1997年 | ヴェイエルス経済相、ヨリツマ運輸相、デ・ブール環境相 |
1998年 | ウィレム・アレキサンダー皇太子殿下(長野五輪)、ヘルフケンス開発協力相(TICAD II) |
1999年 | ファン・ニューヴェンホーフェン下院議長ほか(衆議院議長招待) |
2000年2月 | コック首相、ファン・アールツェン外相 |
2000年3月 | コルトハルス・アルテス上院議員一行(参議院議長招待) |
2000年4月 | ウィレム・アレキサンダー皇太子殿下、ヨリツマ副首相兼経済相、ファン・アールツェン外相 |
2000年9月 | プロンク環境相 |
2000年10月 | ネーテレンボス運輸相 |
2000年11月 | ブリンクホルスト農業相、イベマ外国貿易相 |
2002年1月 | ヘルフケンス開発協力相 |
2002年5月 | プロンク環境相 |
2003年3月 | ウィレム・アレキサンダー皇太子殿下(世界水フォーラム) |
2004年2月 | ブリンクホルスト経済相 |
2004年11月 | カンプ国防相 |
2005年4月 | ボット外相、ウィレム・アレキサンダー皇太子同妃両殿下 |
2005年10月 | ブリンクホルスト副首相兼経済相 |
2006年5月 | ザルム副首相兼財務相 |
2006年6月 | ホーへルフォルスト健康保健スポーツ相 |
2006年10月 | ヴァイン経済相 |
2007年1月 | ペイス運輸・公共事業・水利相 |
2007年3・12月 | ウィレム・アレキサンダー皇太子殿下 |
2008年5月 | ウィレム・アレキサンダー皇太子殿下 |
2008年6月 | ファン・デル・フーフェン経済相 |
2008年10月 | フェルハーヘン外相 |
2009年10月 | ユーリングス運輸・公共事業・水利相、バルケネンデ首相及びプラステルク教育・文化・科学相 |
2009年12月 | ティマーマンス欧州兼国際文化協力担当相 |
2010年4月 | ファン・デル・フーフェン経済相 |
2010年9月 | ウィレム・アレキサンダー皇太子殿下 |
7.二国間条約・取極
1912年 通商航海条約
1953年 航空協定
1956年 査証取極
1960年 通商協定
1970年 租税条約
1981年 文化協定
1996年 科学技術協定
2009年 社会保障協定
2010年 税関相互支援協定
8.外交使節
(1)オランダ駐箚日本国大使 肥塚隆特命全権大使(2010年9月着任)
(2)本邦駐箚オランダ大使 フィリップ・ドゥ・ヘーア特命全権大使(2008年8月着任)