ナイジェリア連邦共和国
(Federal Republic of Nigeria)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年5月現在)

一般事情

<アフリカ随一の大国>

1.面積

923,773平方キロメートル(日本の約2.5倍)

2.人口

1億5,830万人(2010年、UNFPA)(サブ・サハラ・アフリカ全体の約20%と推定)

3.首都

アブジャ(1991年12月ラゴスより遷都)

4.主要民族

ハウサ人、ヨルバ人、イボ人等(民族数は250以上と推定)

5.言語

英語(公用語)、各民族語

6.宗教

イスラム教−北部中心、キリスト教−南東部中心、伝統宗教−全域

7.略史

年月 略史
1960年10月 独立
1963年10月 共和制移行
1966〜1993年 軍事クーデター(7回)、ビアフラ内戦(1967〜1970年)、第二共和政(1979〜1983年)
1993年11月 アバチャ軍事政権成立
1998年6月 アバチャ元首急死、アブバカール軍事政権成立
1999年5月 オバサンジョ大統領就任
2003年5月 オバサンジョ大統領再任
2007年5月 ヤラドゥア大統領就任
2010年5月 ヤラドゥア大統領の逝去に伴い、ジョナサン副大統領が大統領に就任
2011年4月 大統領選挙において、ジョナサン大統領が当選

政治体制・内政

<民主化の進展>

1.政体

連邦共和制(大統領制)

2.元首

グッドラック・エベレ・ジョナサン大統領

3.議会

二院制

4.政府

(1)首相格 なし

(2)外相 ヘンリー・オディン・アジュモゴビア外相

5.内政

 1993年11月のクーデター以降独裁体制を維持してきたアバチャ元首は、自ら「民選」大統領となるべく進めていた民政移管プロセスの完了を目前に、1998年6月8日急死。

 後任のアブバカール元首(前国軍参謀長)は、民政移管のやり直しを発表、政治犯を釈放し、国際社会との関係を改善。

 新民政移管プロセスの予定通り、1998年12月より地方、州、連邦議会の各選挙が実施され、1999年2月27日には、大統領選挙も平穏に実施。同選挙で当選したオバサンジョ元国家元首(国民民主党PDP候補)が同年5月29日新大統領に就任し、文民政府が発足。また、オバサンジョ大統領は2003年4月19日に実施された大統領選挙で再選され、5月29日に就任宣誓を行った。

 オバサンジョ大統領は、就任以降、腐敗の撲滅等を目標に政治・経済改革を積極的に推進したが、民族・宗教の対立、治安悪化等克服すべき課題は多く、特に2005年9月以降は、産油地帯であるナイジャー・デルタ地域にて石油プラントの爆破、外国人労働者の誘拐等が相次ぎ、治安情勢は不安定。

 2007年4月、国民議会選挙、州知事選挙及び大統領選挙が相次いで実施され、ウマル・ヤラドゥア与党PDP候補が当選、5月29日に新大統領に就任した。

 ヤラドゥア大統領は、7つの重点事項((1)緊急エネルギー対策、(2)生命及び財産に対する安全保障、(3)土地改革、(4)人材育成、(5)子供に対する義務教育、(6)富の創出/貧困削減、(7)交通・インフラ開発)を掲げ、経済開発に取り組んだ。

 2009年11月末、ヤラドゥア大統領は急性心膜炎を発症し、サウジアラビアの病院に搬送された。翌年2月9日、ナイジェリア上下両院はジョナサン副大統領の大統領代行就任を求める決議を採択し、ジョナサン副大統領が大統領代行に就任。その後、ヤラドゥア大統領はナイジェリアに帰国したものの、公の場で姿を見せぬまま5月5日に逝去。翌6日、憲法の規定に基づき、ジョナサン大統領代行(前副大統領)が大統領に就任した。

 2011年4月、国民議会選挙、大統領選挙が実施され、ジョナサン大統領(与党PDP候補)が当選した。

外交・国防

<アフリカの代表を自認し、西アフリカを中心としてアフリカ各地で積極的外交を展開>

1.外交基本方針

 アフリカ、特に西アフリカでの指導的責務を自認(リベリア、シエラレオネ和平の実現に指導力発揮)。アフリカ連合(AU)、ECOWAS等を通じて積極的なアフリカ外交を展開。これまでに4回国連安保理非常任理事国を務めており、国連PKOにも積極的に貢献(累計10万人以上)。また、オバサンジョ前大統領はNEPAD(アフリカ開発のための新パートナーシップ)実施委員会議長を務める等NEPADのアフリカでの推進を図った。

2.軍事力(2010年版ミリタリーバランス)

(1)予算 約10.49億ドル

(2)兵役 志願制

(3)兵力 正規80,000人(陸62,000、海8,000、空10,000)

経済(単位 米ドル)

1.主要産業

原油、天然ガス、農業等

2.GNI

1,846億米ドル(2009年:世銀)

3.一人当たりGNI

1,190米ドル(2009年:世銀)

4.経済成長率(実質)

5.6%(2009年:EIU)

5.物価上昇率

12.4%(2009年:EIU)

6.失業率

N/A

7.貿易額(2009年推定:JETRO)

(1)輸出 599.74億米ドル

(2)輸入 293.68億米ドル

8.主要貿易品目

(1)輸出 原油及び天然ガス、産業用品

(2)輸入 産業用品(加工品)、輸送機器

9.主要貿易相手国(2010年:JETRO)

(1)輸出 アメリカ、インド、ブラジル、フランス

(2)輸入 中国、アメリカ、ドイツ、ベルギー

10.通貨

ナイラ

11.為替レート

1ドル=148.81ナイラ(2010年5月)

12.経済概況

 総歳入の約71%、総輸出額の約88%を原油に依存。オイルブームの後、放漫財政のつけ等から深刻な慢性的財政赤字、巨額の累積債務に直面するも、2005年10月のパリクラブ合意により、主要先進国からの多額の債務免除を取りつけた。

 OPEC第7位(2009年)の産油国でありながら、長年の軍事独裁等を理由に、原油収入が適切に利用されておらず、貧困の緩和、インフラの整備が進んでいない。

 産油地帯であるナイジャー・デルタ地域では、武装組織による石油関連施設の破壊、外国人労働者の誘拐等が頻発しており、これらの問題への迅速な対応を迫られている。

 欧米諸国とは、民間レベルにおいて活発な経済関係を維持(シェル、モービル、シェブロン等国際石油資本がナイジェリア石油公社と合弁)。

経済協力

<1999年の民政移管後積極的に実施>

1.日本の援助累計(2009年度まで)

(1999年の民政移管後、援助再開)

(1)有償資金協力 783.12億円(債務繰延・債務免除を除く)

(2)無償資金協力 398.81億円

(3)技術協力実績 124.38億円

2.主要援助国(百万ドル、支出純額)(2008年:OECD/DAC)

(1)米(363.89)、(2)デンマーク(81.56)、(3)英(47.21)、(4)日(28.96)、(5)独(27.53)

二国間関係

1.政治関係

(1)両国関係は、経済及び経済協力関係を中心に基本的に良好で人的交流はアバチャ政権成立頃まで増加傾向にあった。

(2)日本は、アバチャ政権による民主化逆行措置を懸念し、1994年3月より緊急的・人道的援助を除く新規の援助を原則的に停止していたが、1999年5月の民政移管を受けて、原則停止の方針を見直した。

(3)オバサンジョ前政権においては、同大統領の訪日(1999年4月、2000年7月、2001年5月、2003年9月、2006年9月等)、橋本外交最高顧問の大統領就任式出席(1999年5月)、森総理のナイジェリア訪問(2001年1月)等を通じて二国間の関係が強化された。

(4)2001年5月の小泉総理とオバサンジョ大統領の首脳会談の結果を受け、2002年7月、「日・ナイジェリア・スペシャル・パートナーシップ・フォーラム」が発足。第1回会合が東京で、2003年11月には第2回会合がアブジャで、2004年9月には第3回会合が東京で、2006年12月には第4回会合がアブジャにて開催された。2009年4月、第5回会合が東京で開催され、二国間関係、開発問題、国際場裡における協力など、幅広い議題について協議が行われた。

(5)2008年にはヤラドゥア大統領(G8サミット出席、7月)及びジョナサン副大統領(TICAD IV出席、5月)が訪日した。日本からは、同年9月西村外務大臣政務官を団長とする貿易投資促進合同ミッションがナイジェリアを訪問している。

(6)2009年6月には、マドゥエケ外務大臣が訪日し、日・ナ両外相は、首脳間及び外相間での強化を含め、両国間の特別なパートナーシップを更に強化していくことで一致し、「日・ナイジェリア共同コミュニケ」を発表した。

2.経済関係

(1)対日貿易(2010年)(日本財務省統計)

(イ)貿易額
対日輸出 約474億円
対日輸入 約589億円
(ロ)主要品目
対日輸出 原油、液化天然ガス等
対日輸入 鉄鋼、乗用車等

(2)日本からの進出企業(2009年12月現在)
 12社(商社、製造、プラント等)

3.文化関係

相互文化紹介等の文化交流を通じ、近年日本に対する関心が高まりつつある。

4.在留邦人数

135人(2011年4月1日現在)

5.在日当該国人数

5,018人(2011年5月現在)

6.要人往来

(1)往(1974年以降)

年月 要人名
1974年11月 木村外務大臣
1978年2月 政府派遣アフリカ経済使節団(河野ミッション)
1979年7月 園田外務大臣
1984年4月 政府派遣アフリカ経済使節団(金森ミッション)
1988年11月 政府派遣アフリカ経済使節団(牧ミッション)
1999年5月 橋本外交最高顧問(大統領就任式出席)
2001年1月 森総理
2005年12月 日・AU議連西部アフリカ訪問団
2008年9月 貿易投資促進合同ミッション

(2)来(1981年以降:主要閣僚以上)

年月 要人名
1981年10月 マシ大蔵大臣
1981年12月 オバサンジョ前国家元首
1983年3月 アウドゥ外務大臣
1987年9月 オコング大蔵大臣
1988年10月 ヌワチュクウ外務大臣
1989年2月 ババンギダ大統領(大喪の礼への参列)
1989年10月 ヌワチュクウ外務大臣
1989年11月 ウクパナ貿易大臣(ガット)
1990年8月 ファラエ大蔵大臣
1990年11月 ゴウオン元国家元首(即位の礼への参列)
1991年9月 イブラヒム外務担当国務大臣
1992年10月 アブバカール大蔵大臣
1993年10月 サレ大蔵大臣(アフリカ開発会議への出席)
1999年4月 オバサンジョ次期大統領
2000年3月 アシオドゥ経済問題担当大統領特別顧問
2000年7月 ラミド外務大臣
2000年7月 オバサンジョ大統領
2001年5月 オバサンジョ大統領(公実賓ラミド外務大臣他同行)
2003年9月 オバサンジョ大統領(第3回アフリカ開発会議(TICAD III)への出席)
2004年11月 オバサンジョ大統領(TICADアジア・アフリカ貿易投資会議(AATIC)への出席)
2005年3月 アデニジ外務大臣(外務省賓客)
2005年8月 ワジリ商務大臣(愛・地球博出席)
2006年9月 オバサンジョ大統領
2007年4月 イソウン科学技術大臣
2008年5月 ジョナサン副大統領(TICAD IV出席)
2008年7月 ヤラドゥア大統領(北海道洞爺湖サミット出席)
2009年6月 マドゥエケ外務大臣(外務省賓客)

7.二国間条約・取極

なし