パラオ共和国
(Republic of Palau)
出典:外務省 各国・地域情勢(2011年5月現在)
一般事情
1.面積
488平方キロメートル(屋久島とほぼ同じ)
2.人口
20,397人(2009年、世界銀行)
3.首都
マルキョク(2006年10月、コロールより遷都)
4.民族
ミクロネシア系
5.言語
パラオ語、英語
6.宗教
キリスト教
7.略史
年月 | 略史 |
---|---|
1500年代 | スペイン人がミクロネシアの島々を発見。 |
1899年 | スペインがミクロネシアの島々を独に売却。 |
1914年 | 第一次世界大戦始まる。日本はパラオを含む独領ミクロネシア(南洋群島)を占領。 |
1920年 | 国際連盟から日本の(パラオを含む)ミクロネシア(南洋群島)委任統治が認められる。 |
1922年 | 南洋群島全体を管轄する南洋庁本庁がコロールに設置される。 |
1945年 | 第二次世界大戦終了後、米軍占領始まる。 |
1947年 | 国連の太平洋信託統治領として米国の統治始まる。 |
1965年 | ミクロネシア議会発足。パラオも代表を派遣。 |
1969年 | 太平洋諸島信託統治地域に関する日米協定(ミクロネシア協定)締結。 |
1978年 | 住民投票の結果、パラオはミクロネシア地域の統一国家からの離脱を決定。 |
1981年 | 憲法発布。自治政府発足。 |
1982年 | 米国との間で自由連合盟約(コンパクト)案合意。以後、1983年2月、1984年9月、1986年2月、1986年12月、1987年6月及び8月(無効)、1990年2月の7回住民投票が実施されたが、75%以上の賛成を得ることが出来ず不承認。 |
1992年 | 住民投票にて憲法修正案(憲法の非核条項を自由連合盟約に適用しないことによりコンパクト案承認を容易にするもの)が承認された。 |
1993年 | 第8回目の住民投票によりコンパクト案承認(11月9日)。 |
1994年10月1日 | コンパクト(注)発効(2044年まで有効)、独立。 |
1994年12月 | 国連加盟 |
注※コンパクト:米国の国連信託統治から独立する際に、米国との間で締結した自由連合盟約のこと。有効期間は50年間とされ、1994年から2009年までの15年間、米国から財政支援を受ける一方で、国防と安全保障の権限を米国に委ねている。2010年9月改訂コンパクトに署名し、2010年から2025年までのさらに15年間、引き続き米国が財政支援を行うこととなる。
政治体制・内政
1.政体
大統領制
2.元首
ジョンソン・トリビオン(Johnson Toribiong)大統領
(2009年1月就任、任期4年)
3.議会
二院制(上院14名、下院16名)、任期4年
4.政府
(1)大統領 ジョンソン・トリビオン(Johnson Toribiong)
(2)副大統領 ケライ・マリウル(Kerai Mariur)
(3)国務大臣 ビクトール・ヤノ(Victor Yano)
5.内政
2001年に就任、2004年11月に再選を果たしたレメンゲサウ前大統領は、アメリカからの財政援助が終了する2009年までに財政自立を達成することを目標に、行財政改革による政府の軽量化、効率化とともに海外投資促進と援助による農業、水産業、観光業を中心とした経済活性化を目指してきた。また、「良いものは残し、そうでないものは改革しよう」というスローガンの下に緊縮財政を実施し、財政赤字の削減に取り組んできたが、依然として財政・経済とも外国からの援助に大幅に依存しており、自立経済達成は困難な状況にある。
2008年11月の選挙の結果、トリビオン大統領に交代した。環境問題を最優先課題としてきた旧政権に代わり、現政権は、「開発」分野を最優先に「教育」「環境」「福祉」政策を重視している。
米国とのコンパクトに基づく財政支援は、2009年9月に一旦終了したが、トリビオン大統領は米国とのコンパクト改訂交渉を重ね、その結果、2010年9月、米国が今後15年間で2億5千万ドルの財政支援をパラオに供与するとする第二次コンパクトに署名した(米国議会の承認待ち)。
外交・国防
米国との自由連合盟約(コンパクト)に基づき、国防・安全保障の権限を米国に委ねている。
1.外交
1994年に国連加盟を果たし、国際機関(WHO、IMF、UNESCO、FAO、IWCなど)や地域機関(PIF、PC、FFAなど)に加盟している。外交関係を樹立しているのは日米など42ヵ国で、1999年には台湾と国交を結んだ。米国、日本、台湾との関係を重視。
2.国防
軍隊はない。コンパクトに基づき、パラオの安全保障・国防上の権限と責任は米国が有する。アイライ州に小規模な米軍施設があるが、実戦部隊は駐留していない。有事の際には米軍の軍事的な土地利用が認められている。尚、コンパクトに基づき、パラオ市民が米国軍人として数多く採用され、パラオ兵はイラク戦争にも従軍している。
経済
1.主要産業
観光業
2.GNI
1.8億米ドル(2009年、世界銀行)
3.一人当りGNI
8,940米ドル(2009年、世界銀行)
4.経済成長率
−2%(2009年、世界銀行)
5.物価上昇率
11.6%(2008年、世界銀行)
6.総貿易額
(1)輸出 11.8百万米ドル
(2)輸入 130.3百万米ドル
(2008年、アジア開発銀行)
7.主要貿易品目
(1)輸出 魚介類
(2)輸入 機械・機器、燃料、メタル、食料品
8.主要貿易相手国
(1)輸出 日本、フィリピン
(2)輸入 日本、中国、韓国
9.通貨
米ドル
10.経済概況
米国とのコンパクトに基づく無償援助に大きく依存しており、近年は台湾援助も増加している。日本、米国及び台湾からの無償援助に依存する建設業、食料品・消費財の輸入に立脚する商業及び観光産業が主要産業となっており、また、それぞれの産業では外国人労働力への依存度が高い。また、パラオ人の過半数が公務員である。観光に関しては、日本や韓国、台湾から直行便が運行しており、2010年には観光客総数が85,000人に達した。
製造業、農業、漁業、鉱業等は発達していないが、漁業に関しては、台湾資本を中心とした外国漁業企業がパラオ近海で操業権を取得して、日本、台湾、中国にマグロを輸出している。食糧に関しては、タロイモやキャッサバの生産及び近海漁業はあるものの、大部分を米国本土からの輸入に依存している。
経済協力
1.日本の援助
2008年度実績 | 2008年度までの累計 | |
---|---|---|
(1)有償資金協力 | なし | なし |
(2)無償資金協力 | 9.88億円 | 175.78億円 |
(3)技術協力 | 2.47億円 | 48.78億円 |
2.主要援助国
(1)米国(27)、(2)日本(9)、(3)豪州(1)
(単位:百万米ドル、2008-2009年平均、DAC)
二国間関係
1.政治関係
1994年10月1日 日本がパラオ共和国を国家承認
1994年11月2日 日本との外交関係を開設
1999年1月29日 在京パラオ共和国大使館開設
1999年2月15日 在パラオ兼勤駐在官事務所(在フィジー日本国大使館が兼轄)開設
2008年4月 在ミクロネシア日本国大使館による兼轄開始
2010年1月 在パラオ兼勤駐在官事務所の大使館格上げ
2.経済関係
(1)貿易額(2009年度、財務省貿易統計)
- パラオからの輸入 17.0百万米ドル
パラオへの輸出 5.6百万米ドル
(2)進出日本企業数 55社(2009年10月現在)
3.在留邦人数
312名(2009年現在)
4.在日パラオ人数
27名(2009年、法務省在留外国人統計)
5.要人往来
(1)往(1994年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1994年10月 | 衛藤征士郎特派大使(独立式典出席) |
1995年1月 | 三塚博衆議院議員(日・パラオ友好議員連盟会長)(パラオ議会招待) |
1996年6月 | 長谷川駐豪州大使(政治対話) |
1997年1月 | 三ツ林弥太郎特派大使(大統領就任式出席) |
1998年8月 | 長谷川駐豪州大使(政策対話ミッション) |
1999年10月 | 三塚博衆議院議員(日・パラオ友好議員連盟会長) |
1999年10月 | 東総括政務次官(SPF域外国対話出席) |
2001年1月 | 衛藤征士郎特派大使(外務副大臣)(大統領就任式出席) |
2002年1月 | 山口泰明総理特使(日本-パラオ友好橋(通称:K-Bブリッジ)完成記念式典) |
2004年1月 | 橋本龍太郎元総理(APFED専門家会合出席) |
2006年8月 | 沓掛哲男防災担当大臣(総理特使) |
2007年1月 | 北川環境大臣政務官(国際珊瑚礁イニシアチブ主催の国際会議に関する意見交換) |
2007年8月 | 田野瀬良太郎衆議院議員、山本順三参議院議員(APPU総会出席) |
2009年1月 | 森喜朗特派大使(元総理)(大統領就任式出席) |
(2)来(1994年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1994年10月 | ナカムラ大統領、ウヘルベラウ国務大臣、ウィップス下院議長(非公式) |
1996年4月 | ナカムラ大統領、スギヤマ上院議長、ウィップス下院議長(非公式) |
1997年10月 | ナカムラ大統領(日・SPF首脳会議) |
1998年3月 | ナカムラ大統領(航空協定協議) |
1998年9月 | ナカムラ大統領(小渕総理、高村大臣に表敬) |
1998年11月 | ナカムラ大統領(原子力施設視察ミッション) |
1999年2月 | ナカムラ大統領(在京パラオ大開館レセプション) |
1999年6月 | ナカムラ大統領(非公式) |
1999年12月 | ナカムラ大統領(外賓、SPF議長として招聘) |
2000年3月 | ナカムラ大統領(非公式) |
2000年4月 | ナカムラ大統領(第2回太平洋・島サミット) |
2000年6月 | ナカムラ大統領(故小渕元総理合同葬へ特使として参列) |
2000年11月 | ナカムラ大統領(公式実務訪問) |
2003年3月 | レメンゲサウ大統領(第3回世界水フォーラム) |
2003年5月 | レメンゲサウ大統領(第3回太平洋・島サミット) |
2005年3月 | チン副大統領(震災復興国際感謝の集い) |
2005年7月 | レメンゲサウ大統領、シュムル国務大臣(博覧会賓客)、メレップ社会・文化大臣、サダン財務大臣(レメンゲサウ大統領に随行) |
2006年3月 | ナカムラ前大統領(国際島嶼シンポジウム) |
2006年5月 | レメンゲサウ大統領、シュムル国務大臣、シード上院議員、グリバート下院議員(第4回太平洋・島サミット) |
2006年8月 | レメンゲサウ大統領(故橋本元総理合同葬儀へ特使として参列) |
2007年8月 | コシバ資源開発大臣(ODA案件入札) |
2007年8月 | シュムル国務大臣夫妻(故宮澤元総理合同葬儀へ特使として参列) |
2007年12月 | レメンゲサウ大統領(第1回アジア・太平洋水サミット(於:大分)) |
2008年3月 | ナカムラ元大統領(鯨類の持続可能な利用に関するセミナー出席) |
2008年12月 | レメンゲサウ大統領(非公式) |
2009年4月 | トリビオン大統領(非公式) |
2009年5月 | トリビオン大統領、メトゥール上院議員、ディアス上院議員(第5回太平洋・島サミット) |
2009年6月 | レメンゲサウ前大統領(非公式) |
2010年10月 | ヤノ国務大臣(太平洋・島サミット中間閣僚会合) |
6.二国間条約取極
技術協力協定
7.外交使節
(1)パラオ駐箚日本国大使
貞岡義幸特命全権大使
(2)本邦駐箚パラオ大使
ミノル・ウエキ特命全権大使