パラグアイ共和国
(Republic of Paraguay)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年6月現在)

一般事情

1.面積

40万6,752平方キロメートル(日本の約1.1倍)

2.人口

628万人(2009年、IMF)

3.首都

アスンシオン(人口約52万人)

4.民族

混血(白人と先住民)95%、先住民2%、欧州系2%、その他1%

5.言語

スペイン語、グァラニー語(ともに公用語)

6.宗教

主にカトリック(信教の自由は憲法で保障)

7.略史

年月 略史
1811年 スペインから独立
1864〜1870年 三国戦争(対ブラジル・アルゼンチン・ウルグアイ連合軍)で人口激減
1932〜1935年 チャコ戦争(対ボリビア)に勝利
1954年 ストロエスネル将軍がクーデターにより政権掌握。以後35年間にわたり独裁政権継続
1989年2月 クーデターによりロドリゲス将軍が政権掌握
1989年5月 ロドリゲス将軍、大統領に就任
1993年8月 ワスモシ大統領就任(文民政権)
1998年8月 クーバス大統領就任
1999年3月 ゴンサレス大統領(前上院議長)就任
2003年8月 ドゥアルテ大統領就任
2008年8月 ルゴ大統領就任

政治体制・内政

1.政体

立憲共和制

2.元首

フェルナンド・ルゴ・メンデス(任期5年。再選不可)

3.議会

二院制(上院45、下院80、任期5年)

4.政府

(1)副大統領 ルイス・フェデリコ・フランコ・ゴメス

(2)外相 ホルヘ・ララ・カストロ

5.内政

1954年より35年にわたったストロエスネル軍事独裁政権は、1989年2月、ロドリゲス将軍のクーデターにより倒壊。政治活動・言論の自由、労働者の団結権等を保証する新憲法が1992年に公布された。1993年8月、同国で初めて民主的選挙が実施され、政府は民主主義強化や経済活性化等を目指してきたが、副大統領暗殺事件やクーデター未遂事件が発生するなど、政局は不安定な状態であった。

2003年8月に就任したドゥアルテ大統領は、就任以来の課題である汚職対策や税制改革等の各種政治・経済改革の推進に向け指導力を発揮したが、政権後半にかけて強引な政策運営を行ったため、野党側の不興を買い、一連の改革は停滞、失業・貧困の蔓延、治安悪化等の問題が顕在化した。

2008年4月の大統領選挙では、中道左派のルゴ元司教(野党連合「変革のための愛国同盟」)が、貧困層への支援、汚職対策、財政引締め、公的サービスの改善、雇用促進、治安改善などを公約に掲げて当選し、61年ぶりの政権交代を果たした。ルゴ大統領は、汚職の摘発、公立外来医療・緊急医療の無料化、イタイプダム問題の解決に向けたブラジルとの交渉等で一定の成果をあげたものの、懸案事項である土地無し農民による治安問題や司法改革、雇用創出については具体的成果を上げるに至っていない。また、国会との関係においては、少数与党であることに加え、連立与党内での効果的な連携の確保に困難がみられる。

外交・国防

1.外交基本方針

伝統的に中南米諸国との関係を重視し、特にメルコスール(南米南部共同市場:パラグアイ、ウルグアイ、ブラジル、アルゼンチンが加盟国)を戦略的同盟と位置付け、加盟諸国間との関係強化を図る一方、これらと歩調を合わせることで対外交渉力の拡大を狙っている。他方、メルコスール域内大国の小国に対する配慮が足りないとの不満もあり、南米諸国連合(UNASUR)等の地域枠組みへの関心も高い。

南米で唯一台湾と外交関係を維持する。台湾の巨額の経済援助及び投資は、歴代政権の政策運営に必要不可欠な存在となっていたとも言われる。しかし、近年、中国と中南米諸国との関係が経済面を中心に急速に緊密化している中、ルゴ大統領は中国との関係強化の方針を明らかにしている。

ルゴ政権は、パラグアイ産品の市場拡大と国内への外資誘致に主眼を置いた対外政策を展開。新規外交関係の開拓や在外公館の設置等にも取り組んでいる。

2.軍事力

(1)予算 約142百万ドル(2010年、ミリタリーバランス)

(2)兵役 徴兵制

(3)兵力 陸軍7,600人、海軍1,950人、空軍1,100人

経済(単位 米ドル)

1.主要産業

農牧業(綿花、大豆)牧畜業(食肉)、林業

2.GDP

178億ドル(2010年、中銀)

3.一人当たりGDP

2,766ドル(2010年、中銀)

4.経済成長率(GDP)

15.3%(2010年、中銀)

5.物価上昇率

7.2%(2010年、中銀)

6.失業率

6.4%(2009年、統計局)

7.総貿易額(2010年、中銀)

(1)輸出 45.35億ドル

(2)輸入 93.99億ドル

8.主要貿易品目

(1)輸出 大豆(世界第4位)、食肉、穀物、木材

(2)輸入 機械機器、電子機器、原油・燃料、自動車

9.主要貿易相手国

(1)輸出 アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、チリ

(2)輸入 ブラジル、中国、アルゼンチン、日本、米国

10.通貨

グアラニー

11.為替レート

1米ドル=4,590グアラニー(2010年12月)

12.対外債務

22.02億ドル(2010年、中銀)

13.経済概要

主要産業は農牧畜業で、輸出総額の8割以上を占める。1995年1月に発足したメルコスールの加盟国。

2000年以降、ブラジル・アルゼンチンの経済低迷を背景にパラグアイ経済も低迷し、国民所得の大幅な低下を経験するとともに、債務支払不履行となる可能性も予測された。しかし、ドゥアルテ前政権は、経済チームに適材適所の人材配置を行い、発足早々IMFとのスタンドバイ協定締結に成功(2006年5月に更新)。右に基づき、マクロ経済諸指標の改善、税制改革、新税関規則の設定等の様々な改革に着手し、IMFや世銀等の国際機関が高く評価する実績を上げた。しかし、その成果が所得や雇用の拡大等に結びついておらず、成果の均霑が焦眉の課題とされている。

2009年は、大豆等の農産物価格の下落や出稼ぎの海外送金の減少等もあり、マイナス成長となったが、2010年は、農業生産の回復とメルコスール諸国の景気回復により、15.3%の成長を遂げた。

経済協力

1.日本の援助実績(2009年度までの累計)

(1)有償資金協力 1,334.4億円

(2)無償資金協力 316.8億円

(3)技術協力実績 798.1億円

2.主要援助国(2008年DAC諸国二国間援助)

(1)日本(30.8百万ドル)、(2)米国(29.6百万ドル)、(3)スペイン(23.0百万ドル)

1976年以来、2004年を除き、日本が最大の援助国。

二国間関係

1.政治関係

経済技術協力と日本人移住者及び日系人(約7千人)の存在を基盤として友好協力関係にある。

2.経済関係

(1)対日貿易

(イ)貿易額(2010年 財務省貿易統計)
対日輸出 23.8億円
対日輸入 94.5億円
(ロ)主要品目
対日輸出 農産品(ごま、大豆)
対日輸入 自動車、機械、化学製品

(2)日本からの直接投資

約8,400万ドル(128件、1951〜2004年の累計)

3.文化関係

文化無償23件、9.13億円
草の根文化無償6件、約1,540万円
(2010年度までの累計)

4.在留邦人

移住者・日系人 約7,000人

5.在日当該国人数

2,240名(2009年)

6.要人往来

(1)往

年月 要人名
1978年 皇太子同妃両殿下、二階堂進衆議院議員・日パ協会会長
1983年 中尾栄一衆議院議員(大統領就任式特派大使)
1986年 常陸宮同妃両殿下
1990年 土屋参議院議長
1991年 鈴木外務政務次官
1993年 二階堂衆議院議員(大統領就任式特派大使)
1996年 小川外務政務次官、相沢英之衆議院議員
1997年 岡野労働大臣
1998年 有馬政府代表(大統領就任式特派大使)
1999年 高円宮同妃両殿下(非公式)
2001年 植竹外務副大臣
2003年 河本英典参議院議員(大統領就任式特派大使)
2004年 小野寺五典外務大臣政務官
2005年 福島啓史郎外務大臣政務官
2005年 保坂三蔵経済産業副大臣
2005年 河村建夫衆議院議員(日パ友好議連会長)
2006年 玉澤徳一郎衆議院議員、宮腰光寛農林水産副大臣、扇参議院議長、山中外務大臣政務官(移住70周年記念祭典出席)、秋篠宮殿下
2007年 山際大志郎衆議院議員、井上信治衆議院議員
2008年 玉澤徳一郎衆議院議員(大統領就任式特派大使)、高円宮妃殿下
2009年 玉澤徳一郎衆議院議員

(2)来

年月 要人名
1972年 ストロエスネル大統領
1976年 モンタナロ内相
1977年 サマニエゴ国防相
1979年 セントゥリオン商工相、ベルトーニ農牧相
1981年 ノゲス外相、カセレス公共事業通信相
1984年 サルディバル外相
1986年 アルガーニャ最高裁長官
1987年 セントゥリオン商工相
1988年 ミルトス下院議長、サルディバル外相
1989年 アルガーニャ外相(大喪の礼)
1990年 ロドリゲス大統領(即位の礼)、フルトス外相、ベルトーニ農牧相
1992年 スカボーネ商工相
1994年 ワスモシ大統領(公式実務訪問)(外相、農牧相、公共事業相、商工相同行)
1995年 バレイロ蔵相
1997年 ソサ企画庁長官
2002年 モレノ外相(外務省賓客)
2004年 マテオ・バルメリ上院議長
2004年 ラチド外相(外務省賓客)
2004年 フィリッピ企画庁長官
2005年 ボルダ蔵相(IDB沖縄総会出席)
2005年 ドゥアルテ大統領(公式実務訪問)、(ラチド外相、ベルヘン蔵相、アルデレテ公共事業通信相、ベラ商工相、ボガード下院議長、カナサワ三軍司令官他同行)
2006年 アルカラス商工副大臣(JETRO三ヶ国展)
2007年 クラメル観光庁長官、モリナス農牧大臣
2010年 ラコニャタ外相(外務省賓客)

6.二国間条約・取極

1959年 移住協定
1978年 海外青年協力隊派遣取極
1979年 技術協力協定
1989年 移住協定改定(効力無期限延長)