フィリピン共和国
(Republic of the Philippines)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年5月現在)

一般事情

1.面積

299,404平方キロメートル(日本の約8割)。7,109の島がある。

2.人口

9,401万人(2010年推定値、フィリピン国勢調査)

3.首都

マニラ(首都圏人口1,155万人)

4.民族

マレー系が主体。他に中国系、スペイン系、及びこれらとの混血、更に少数民族がいる。

5.言語

国語はフィリピノ語、公用語はフィリピノ語と英語。80前後の言語がある。

6.宗教

国民の83%がカトリック、その他のキリスト教が10%、イスラム教は5%。

7.平均寿命

男性67歳、女性73歳

8.識字率

93.4%(2003年調査)

9.大学進学率

約30%(職業訓練専門学校レベルのものを含む)

10.略史

年月 略史
14〜15世紀 イスラム教が伝わり、フィリピンで初のイスラム王国であるスールー王国誕生
1521年 マゼランのフィリピン到着
1571年 スペインの統治開始
1898年 米西戦争。6月12日、アギナルド将軍が独立を宣言
12月10日、米西パリ講和条約調印。米の統治開始
1935年 独立準備政府(コモンウェルス)発足
1942年 日本軍政開始
1946年 7月4日、フィリピン共和国独立
1965年 マルコス大統領就任
1972年 戒厳令布告
1986年 2月革命によりコラソン・アキノ大統領就任、マルコス大統領亡命
1992年 ラモス大統領就任
1998年 エストラーダ大統領就任
2001年 アロヨ大統領就任
2010年 ベニグノ・アキノ3世大統領就任

政治体制・内政

1.政体

立憲共和制

2.元首

ベニグノ・アキノ 3世大統領

3.議会

二院制
 上院24議席(任期6年、連続三選禁止。 現在、1名欠員)
 下院(最大で)286議席(うち、小選挙区は229議席、政党リスト制は最大で57議席。4月1日現在、政党リスト制選出議席は56議席。任期3年、連続四選禁止。)

4.内閣

正副大統領はそれぞれ直接投票により選出
 大統領 任期6年、再選禁止
 副大統領 任期6年
 閣僚任命権者は大統領。

(1)副大統領 ジェジョマール・ビナイ

(2)外務大臣 アルバート・デル・ロサリオ

5.内政

 2010年5月10日の大統領選挙で故コラソン・アキノ大統領の長男であるベニグノ・アキノ3世上院議員(当時)が当選。2010年6月30日にアキノ政権が発足した。アキノ大統領は、汚職・腐敗の撲滅への決意を表明し、アロヨ前大統領を痛烈に批判。また、ミンダナオ和平及び治安の強化も政権の重要政策として掲げている。

外交・国防

1.外交基本政策

(1)二国間及び地域的枠組みへの参加による政治・安全保障協力の推進

(2)経済外交を通じた外資導入及び雇用創出による経済発展

(3)海外出稼ぎ労働者の保護

(4)人権の促進・保護

(5)防災の促進

2.軍事力

(1)予算 778億ペソ(約1,500億円、1ペソ=約2円)(2011年)

(2)兵役 志願制

(3)兵力 正規軍11.4万人(司令部/統幕1.1万人、陸軍7.7万人、海軍2.0万人、空軍1.6万人)予備役13.1万人

経済

1.主要産業

農林水産業(全就業人口の34%が従事)(2009年)

2.GDP(億米ドル)(出典:比政府統計)

  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
GDP(億米ドル) 1,175 1,440 1,669 1,610 1,887(暫定)

3.一人当たりGDP(米ドル)(出典:比政府統計)

  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
一人当たりGDP(米ドル) 1,351 1,624 1,845 1,746 2,063(暫定)

4.経済成長率(%)(出典:比政府統計)

  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
経済成長率(%) 5.4 7.3 4.6 1.1 7.3

5.物価上昇率(%)(出典:比政府統計)

  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
物価上昇率(%) 6.2 2.8 9.3 3.2 3.8

6.失業率(%)(出典:比政府統計)

  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
失業率(%) 11.0 7.3 7.4 7.5 7.3

7.総貿易額(億米ドル)(FOBベース。比国家統計局)

  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
(1)輸出(億米ドル) 474.1 504.6 490.7 383.4 514.3
(2)輸入(億米ドル) 517.7 555.1 567.4 430.0 547.0

8.貿易品目(出典:比政府統計)

(1)輸出:電子・電気機器(60.5%、半導体が大半を占める)、輸送用機器等

(2)輸入:原料・中間財(37.4%、化学製品等の半加工品が大部分)、資本財(30.1%、通信機器、電子機器等が大部分)、燃料(17.4%、原油等)、消費財(13.5%)

9.貿易相手国(出典:比政府統計)

(シェア順)

(1)輸出(2010年)
(1)日本(15.2%)、(2)米国(14.7%)、(3)シンガポール(14.3%)、(4)中国(11.1%)、(5)香港(8.4%)
(2)輸入(2010年)
(1)日本(12.3%)、(2)米国(10.7%)、(3)シンガポール(9.5%)、(4)中国(8.4%)、(5)タイ(7.1%)

10.為替レート

1ペソ=約1.9円(2011年3月現在)

11.経済概況

 アロヨ前政権における経済政策は一定の成果を挙げたと評価されているものの、持続的成長を可能とするためには依然として多くの問題を抱えている。アキノ大統領は、インフラ整備、雇用創出、徴税強化と財政再建、教育の充実、ビジネス環境整備と外資導入、農業政策、海外出稼ぎ労働者の保護等を重要政策として掲げている。

経済協力

1.日本の援助実績(2009年度までの累計、E/Nベース。技協はJICAベース)

(1)有償資金協力:21,713.57億円(うち2009年度680.38億円)

(2)無償資金協力:2,566.06億円(うち2009年度85.21億円、暫定)

(3)技術協力実績:1,924.88億円(うち2009年度40.00億円、暫定)

2.日本の対比援助における重点分野(2008年6月「国別援助計画」より)

(1)雇用機会の創出に向けた持続的経済成長

(2)貧困層の自立支援と生活環境改善

(3)ミンダナオにおける平和と安定

3.主要援助国実績

(1)OECD/DAC統計

(イ)2007年
日本2億2216万ドル(36.7%)、米国8479万ドル(14.0%)、ノルウェー7,897万ドル(13.1%)、豪州6,711万ドル(11.2%)
(ロ)2003〜2007年累計
日本15億238万ドル(52.8%)、米国4億1,411万ドル(14.5%)、豪州2億2,860万ドル(8.0%)、ドイツ1億9,173億ドル(6.7%)

(2)フィリピン国家経済開発庁統計(2008年)

(イ)借款
日本41.7億ドル(42%)、アジア開発銀行18億ドル(18%)、世界銀行15.1億ドル(15%)、中国11.1億ドル(11%)
(ロ)無償援助
日本2億2,900万ドル(32%)、米国1億4,800万ドル(23%)、国連1億4,100万ドル(22%)

4.その他

 対フィリピン援助額は日本二国間ODAの累計ではインドネシア、中国、インドに次いで第4位(1966年〜2008年のコミットメントベース累計(205.6億ドル:DAC統計)。また、日本はフィリピンにとって最大のドナー国。

二国間関係

1.政治関係

 両国においては政治的に懸案事項は存在せず、活発な貿易、投資、経済協力関係を背景に、両国関係は極めて良好。

2.経済関係

(1)日本の対比貿易

(イ)貿易品目(財務省貿易統計、2010年)(数字は取引額に占める割合)
フィリピンへの輸出
機械機器(61.5%)、金属品(11.8%)、化学品(10.1%)
フィリピンからの輸入
機械機器(47.6%)、食料品及び動植物生産品(15.0%)、金属原料(11.1%)
(ロ)貿易額(財務省貿易統計、億円)
  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
フィリピンへの輸出 10,479 11,139 10,344 7,672 9,688
フィリピンからの輸入 9,257 10,262 8,725 5,983 6,948
我が国の対フィリピン貿易の収支 +1,222 +877 +1,619 +1,689 +2,740

(2)日本の対比直接投資

  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
比側統計(億ペソ) 201 386 161 707 583
日本側統計(億円) 427 1,244 737 773 433

3.文化関係

(1)国際交流基金の対比事業実績(金額ベース)は、2009年度125百万円。2009年末の国費及び私費を含めた在日フィリピン人留学生数は615名。

(2)日本の対比文化無償援助協力は1976年より開始され、2010年度までに44件、総額18億780万円を供与。

4.在留邦人数

18,202人(2010年10月時点、在留届ベース)

5.在日当該国人数

211,716人(2009年末時点外国人登録数、平成22年度法務省データ)

6.要人往来(2001年以降、肩書きは当時のもの)

(1)往

年月 要人名
2001年2月 衛藤外務副大臣
2001年9月 杉浦外務副大臣
2002年1月 小泉総理大臣
2003年1月 矢野外務副大臣
2003年12月 阿部外務副大臣
2004年1月 阿部外務副大臣
2004年6月 川口外務大臣
2005年5月 大野防衛庁長官
2005年6月 川口総理大臣補佐官
2006年1月 塩崎外務副大臣
2006年7月 麻生外務大臣
2006年12月 安倍総理大臣、麻生外務大臣、甘利経産大臣
2007年1月 安倍総理大臣、浅野外務副大臣、甘利経産大臣
2007年8月 麻生外務大臣
2008年7月 岸田特命担当大臣(科学技術担当)
2010年6月 藤村特派大使(外務副大臣)

(2)来

年月 要人名
2001年3月 ユーチェンコ特別代表、ロハス貿易産業大臣、ゴードン観光大臣
2001年7月 ゴードン観光大臣
2001年8月 レイエス国防大臣
2001年9月 アロヨ大統領、ロハス貿易産業大臣
2001年11月 ギンゴナ副大統領兼外務大臣
2002年5月 アロヨ大統領、ドリロン上院議長
2002年8月 オプレ外務大臣
2002年11月 ギンゴナ副大統領兼外務大臣
2002年12月 アロヨ大統領、オプレ外務大臣、ロハス貿易産業大臣
2003年6・12月 アロヨ大統領
2004年10月 プリシマ貿易産業大臣、ペレス・エネルギー大臣、ドリロン上院議長
2004年11月 プリシマ貿易産業大臣
2005年2月 ロムロ外務大臣
2005年4月 サントス貿易産業大臣
2005年9月 ドゥラーノ観光大臣
2006年4月 ロムロ外務大臣
2006年5月 デ・ベネシア下院議長
2006年7月 ドゥラーノ観光大臣
2006年10月 テベス財務大臣、ファビラ貿易産業大臣
2007年5月 アロヨ大統領、ロムロ外務大臣、テベス財務大臣、ファビラ貿易産業大臣
2007年10月 ファビラ貿易産業大臣
2008年3月 テベス財務大臣、ファビラ貿易産業大臣
2008年12月 ロムロ外務大臣、レクト国家経済開発大臣
2009年1月 メンドーサ運輸通信大臣、テベス財務大臣、ファビラ貿易産業大臣、レクト国家経済開発大臣、テタンコ中央銀行総裁
2009年3月 ロケ労働雇用大臣
2009年6月 アロヨ大統領(実務訪問賓客)、ロムロ外務大臣、テベス財務大臣、ロケ労働雇用大臣、ファビラ貿易産業大臣、レクト国家経済開発大臣、テタンコ中央銀行総裁
2010年1月 ロムロ外務大臣
2010年11月 アキノ大統領、ロムロ外務大臣、プリシマ財務大臣、アルメンドラス・エネルギー大臣
2011年2月 プリシマ財務大臣、ドミンゴ貿易産業大臣、アルメンドラス・エネルギー大臣

7.両陛下・皇族の御訪問等

天皇皇后両陛下が皇太子同妃両殿下として御訪問(1962年11月)
秋篠宮同妃両殿下が御訪問(1998年2月)

8.二国間条約・取極等

日比賠償協定 1956年5月9日署名(1956年7月23日発効)
日比入国滞在取極 1958年7月24日署名(1958年8月1日発効)
日比友好通商航海条約・議定書 1960年12月9日署名(1974年1月27日発効)
日比航空協定 1970年1月20日署名(1970年5月14日発効)
日比友好通商航海条約改定 1979年5月10日署名(1980年7年20日発効)
日比租税条約 1980年2月13日署名(1980年7月20日発効)
日比技術協力協定 2006年4月4日署名(2010年4月8日発効)
日比経済連携協定 2006年9月9日署名(2008年12月11日発効)
日比租税条約改正議定書 2006年12月9日署名(2008年12月5日発効)