ポーランド共和国
(Republic of Poland)
出典:外務省 各国・地域情勢(2010年8月現在)
一般事情
1.面積
32.3万平方キロメートル(日本の約5分の4、日本から九州、四国を引いた程度)
2.人口
約3,814万人(2008年)
3.首都
ワルシャワ(約171万人)
4.民族
ポーランド人(人口の約97%)
5.言語
ポーランド語
6.宗教
カトリック(人口の約90%)
7.国祭日
11月11日(独立記念日)
8.略史
年月 | 略史 |
---|---|
966年 | ピアスト朝、キリスト教を受容 |
1386年 | ヤギエウォ王朝の成立 |
1573年 | 選挙王朝 |
1795年 | 第3次分割によりポーランド国家消滅 |
1918年 | 独立回復 |
1945年7月 | 国民統一政府の樹立 |
1989年9月 | 非社会主義政権の成立 |
1999年3月 | NATO加盟 |
2004年5月 | EU加盟 |
- 10世紀に建国。15〜17世紀には東欧の大国。18世紀末には3度にわたり、ロシア、プロシア、オーストリアの隣接三国に分割され、第一次大戦終了までの123年間世界地図から姿を消す。
- 第二次大戦ではソ連とドイツに分割占領された。大戦での犠牲者は、総人口の5分の1を数え、世界最高の比率。
- 大戦後は、ソ連圏にくみ込まれたが、「連帯」運動(1980年代)など自由化運動が活発で、東欧諸国の民主化運動をリードした。1989年9月、旧ソ連圏で最初の非社会主義政権が発足した。
- 「欧州への回帰」を目標に、1999年3月にNATO加盟、2004年5月にはEU加盟を果たした。
政治体制・内政
1.政体
共和制
2.元首
ブロニスワフ・コモロフスキ(Bronislaw Komorowski)大統領
3.議会
二院制(下院460議席、上院100議席、両院とも任期4年)
4.政府
(1)首相名 ドナルド・トゥスク(Donald Tusk)
(2)外相名 ラドスワフ・シコルスキ(Radoslaw Sikorski)
5.内政
(1)1989年9月にマゾビエツキ首相の非社会主義政権が成立して以来、大統領及び議会の自由選挙が実施され、民主主義が定着。2007年10月に行われた総選挙までは、「連帯」の流れを汲む中道右派政党と旧共産党系の左派政党が交互に政権についた。
(2)2007年10月21日に行われた総選挙(上下両院)では、「法と正義」(PiS、中道右派)と同じく「連帯」の流れを汲む最大野党「市民プラットフォーム」(PO)が勝利。POは、農民党との連立に合意し、同年11月16日、POのトゥスク首相を首班とする連立政権を発足させた。2009年6月7日に実施された欧州議会選挙においても、同連立政権が過半数の票を得た。
(3)2010年4月10日、カティンの森70周年追悼式典に出席のため、カティンに向かっていた政府専用機がロシアのスモレンスク近郊で墜落、カチンスキ大統領夫妻等乗員乗客96名全員が死亡した。新大統領選出のための選挙は6月20日に実施されたが、第1回投票で決着が付かず、7月4日の決選投票により、与党POのコモロフスキ下院議長(53%)が、死亡した前大統領の双子の兄であるヤロスワフ・カチンスキPiS党首(47%)に勝利した。
外交・国防
1.外交
(1)「欧州への統合」を目標に1999年3月にNATO加盟、2004年5月にEU加盟を果たした。WTOには1995年6月、OECDには1996年11月に正式加盟。
(2)トゥスク政権は、独、露等の課題を抱える国とも対話を通じて関係を構築していくとの姿勢。2011年後半のEU議長国就任への準備を重要課題の一つに挙げ、前向きな対欧州外交を展開すると共に、2009年5月に立ち上げられたEU東方パートナーシップの形成に主導的役割を果たすなど、東方政策に力を入れている。
(3)ポーランドは、米国との関係を安全保障の観点から重視。2008年8月にポーランドと米国が基本協定に署名した米国ミサイル防衛システムのポーランド国内への配備については、2009年9月にオバマ政権は見直しを発表したが、ポーランドは新計画においても関与を継続。2018年頃同システムがポーランドに配備される予定。
(4)ポーランドは、国際貢献にも積極的であり、NATO及びEUの枠組等で、アフガニスタン、コソボ、ボスニア・ヘルツェゴビナに人員を派遣。なお、2010年春からのアフガニスタン増派兵力確保のため、2009年末に国連任務を終了している。
2.軍事力
(1)予算 約82.2億ドル(対GDP比1.95%)(2010年)
(2)兵力 総兵力約10万人(2010年)
(3)徴兵制は2009年末で廃止
経済(単位 米ドル)
1.主要産業
食品、自動車、金属、化学製品、燃料
2.GDP
約4,302億ドル(2009年)
3.一人当たりGDP
約11,288ドル(2009年)
4.経済成長率
1.7%(2009年)
5.物価上昇率
3.5%(2009年)
6.失業率
11.9%(2009年)
7.総貿易額
(1)輸出 1,719億ドル(2008年)
(2)輸入 2,105億ドル(2008年)
8.主要貿易品目
(1)輸出 機械機器類、輸送機械、金属製品
(2)輸入 機械機器類、鉱物性燃料、金属製品
9.主要貿易相手国
(1)輸出 独、伊、仏(EUが約8割)
(2)輸入 独、露、中、伊(EUが約6割)
10.通貨
ズロチ(ZL)
11.為替レート
1ZL=約26円(2010年6月)
12.経済概況
(1)1989年の改革後、緊縮政策の導入、旧コメコン市場の喪失などから生産が低迷し、1991-1992年で鉱工業生産は▲35%と急落した。しかし、民間部門の振興、対EU諸国貿易の活性化等により、1992年以後の景気は好調で、GDP成長率は外国直接投資などを原動力に1998年-2000年にかけて4%台を記録。2001年に入り、内需の低迷と世界経済の減速を背景に1%台と減速したが、2003年以降は、好調な輸出と個人消費等を背景に回復し、2006年は6.1%、2007年は6.7%のGDP成長率を記録した。2008年以降は世界金融・経済危機の影響を受け、2008年は4.8%、2009年は1.7%に鈍化したものの、欧州全体がマイナス成長にある中、2009年がプラス成長の唯一の国。
(2)インフレ率は、2000年まで10%前後という高い水準で推移していたが、2006年までは1〜4%程度で推移した。2007年から2008年初めにかけては世界的なエネルギー及び食糧価格の高騰をうけて、インフレ圧力が高まった。
(3)依然として一人あたりの所得はEU現加盟国の半分程度の水準であり、今後はEU補助金の有効活用が経済成長のポイント。その他、課題として財政赤字削減、道路等のインフラ整備などが挙げられる。
(4)トゥスク政権は、2008年10月、ユーロ導入目標時期を2012年1月1日とするユーロ導入に関する工程表を閣議決定したものの、2008年の金融危機の影響を受けて、導入目標を放棄。
経済協力
1.日本の援助実績(1989〜2008年)
(1)概略
日本は、1989年以降、市場経済及び民主主義への円滑な移行に資するため、技術協力を中心に財政、金融、産業、経済、貿易振興等の諸政策の立案支援をはじめ、生産性向上、品質管理等の企業育成支援や、環境保全等、多岐にわたる支援を行ってきた。ポーランドへのODA支援は同国のEU加盟等を踏まえ終了している。
(2)日本の対ポーランド経済協力実績(実施年度1989〜2008年)
- (イ)有償資金協力 213.92億円
- (ロ)無償資金協力 40.36億円
- (ハ)技術協力 89.71億円
- (ロ)無償資金協力 40.36億円
二国間関係
1.政治関係
両国関係は伝統的に良好。2007年5月に麻生外務大臣のポーランド訪問や、2008年10月のシコルスキ外務大臣の訪日、同年12月のカチンスキ大統領の訪日及びボルセヴィチ上院議長の訪日など要人往来も活発に行われている。
2.経済関係
(1)日本の対ポーランド貿易(2009年)
- (イ)総貿易額 1,643億円
- 輸出 1,296億円
輸入 347億円 - (ロ)主要品目
- 輸出 自動車、自動車部品、映像機器等
輸入 自動車部品、人造黒鉛
(2)進出日系企業数 約254社(2009年10月現在)
3.文化関係
(1)概略
両国国民の互いの文化に対する高い関心を背景として、文化交流は活発。1994年11月、クラクフ市に日本の浮世絵(約5000点)等を展示した日本美術技術センターが開館。現在の名称は「日本美術技術博物館」。2007年は日・ポーランド国交回復50周年であり、日本とポーランド双方で様々な記念行事が行われた。2009年は日・ポーランド国交樹立90周年。
(2)文化無償協力
年度 | 対象機関 | 供与機材 |
---|---|---|
3 | オペラ劇場 | 映像機材及び楽器 |
4 | ワルシャワ大学 | LL機材・視聴覚機材 |
5 | 柔道連盟 | 柔道器材 |
6 | ショパン高等音楽院 | 楽器 |
6 | アダム・ミツキエヴィッチ大学 | LL機材・視聴覚機材 |
7 | ヤギェウォ大学 | LL機材・視聴覚機材 |
8 | 国立フィルハーモニー | 楽器 |
9 | ポーランドテレビ局 | テレビ番組ソフト |
10 | クラクフ国立博物館 | 視聴覚機材 |
11 | ワルシャワ・ドラマティック劇場 | 音響機材・楽器 |
12 | ワルシャワ国立図書館 | 視聴覚機材 |
13 | 日本美術技術センター | 視聴覚機材 |
14 | ニコラス・コペルニクス大学 | LL機材・視聴覚機材 |
15 | なし | なし |
16 | ワルシャワ大学図書館 | 視聴覚機材 |
4.在留邦人数
約1,299名(2009年10月現在)
5.在日当該国人数
約1,000名(2009年12月末現在)
6.要人往来
(1)往(1985年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1985年 | 安倍外相 |
1987年 | 中曽根総理、藤田参議院議長 |
1990年 | 海部総理、中山外相 |
1992年 | 村山衆議院副議長 |
1994年 | 高円宮同妃両殿下 |
1996年 | 塚原通産相 |
1997年 | 池田外相、白川自治相 |
2000年 | 斎藤参議院議長 |
2001年 | 丸谷外務大臣政務官 |
2002年 | 天皇皇后両陛下、松浪外務大臣政務官 |
2003年 | 小泉総理、参議院公式議員団 |
2004年 | 田中外務大臣政務官 |
2005年 | 衆議院日本ポーランド友好議員連盟代表団 |
2007年 | 麻生外相 |
2008年 | 斎藤環境大臣、江渡防衛副大臣、小野寺外務副大臣、横路衆議院副議長 |
(2)来(1986年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1986年 | オジェホフスキ外相 |
1987年 | ヤルゼルスキ国家評議会議長(国賓) |
1989年 | バルチコフスキ国家評議会副議長(大喪の礼) |
1990年 | コザキエヴィチ下院議長(即位の礼) |
1991年 | ビエレツキ首相 |
1992年 | スクビシェフスキ外相 |
1994年 | ワレサ大統領(国賓)、オレクスィ下院議長 |
1996年 | ストゥルージク上院議長 |
1997年 | ストゥルージク上院議長 |
1998年 | クファシニエフスキ大統領 |
1999年 | ブゼク首相 |
2000年 | ゲレメク外相 |
2001年 | グジェシコヴィアック上院議長、ジェリンスキ文化大臣 |
2004年 | クライベル科学大臣、ラチュコ財務大臣 |
2005年 | ベルカ首相、カリシュ内務行政大臣、グロニツキ財務大臣 |
2006年 | メレル外相 |
2007年 | ウヤズドフスキ文化大臣、セヴェリンスキ科学・高等教育大臣 |
2008年 | カチンスキ大統領、シコルスキ外務大臣、サヴィツキ農業大臣、ノヴィツキ環境大臣 |
2009年 | サヴィツキ農業大臣、グラド国有財産大臣、ノヴィツキ環境大臣 |
2010年 | ボルセヴィチ上院議長 |
7.二国間条約・取極
年月 | 略史 |
---|---|
1957年 | 国交回復に関する協定(同年発効) |
1978年 | 通商航海条約(1980年発効) |
1978年 | 科学技術協力協定(同年発効) |
1978年 | 文化、教育交流取極(同年発効) |
1980年 | 二重課税防止条約(1982年発効) |
1994年 | 航空協定(1996年発効) |
1994年 | 外交・公用旅券保有者の相互査証免除取極(同年発効) |
1998年 | 一般旅券保持者の相互査証免除取極(1999年発効) |
2004年 | 運転免許試験の相互免除に関する二国間取極(同年発効) |
8.外交使節
(1)楠本祐一駐ポーランド日本国特命全権大使
(2)ヤドヴィガ・ロドヴィッチ駐日ポーランド共和国特命全権大使