ポルトガル共和国
(Portuguese Republic)

出典:外務省 各国・地域情勢(2011年6月現在)

一般事情

1.面積

91,985平方キロメートル(日本の約4分の1)

2.人口

約1,064万人
(2009年、国立統計院)

3.首都

リスボン市(人口: 約48万人)
(2009年、国立統計院)

4.言語

ポルトガル語

5.宗教

カトリック教徒が圧倒的多数

6.国祭日

6月10日(ポルトガルの日、大詩人カモンイス逝去の日)

7.略史

年月 略史
1143年 ポルトガルの建国
1580年 スペインとの同君連合
1640年 スペインより独立(王政復古)
1910年 王政終焉、ポルトガル共和国成立
1932年 サラザール政権(〜1968年)、カエターノ政権(1968年〜1974年)
1949年 NATO加盟
1955年 国連加盟
1974年4月25日 カーネーション革命(民主化)
1986年 EC(後にEUに発展)に加盟
1996年 ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)に加盟(同年に設立。本部リスボン)

政治体制・内政

1.政体

共和制

2.元首

アニーバル・アントーニオ・カヴァコ・シルヴァ大統領
(Aníbal António Cavaco Silva)
(2011年3月再任、任期5年)

3.議会

1院制 230議席、任期4年

4.政府

社会党政権(2005年3月〜、2011年3月31日議会解散、現在管理内閣)

(1)首相名 ジョゼ・ソクラテス(José Socrates)

(2)外相名 ルイス・アマード(Luis Amado)

5.内政

2009年9月に実施された総選挙で、与党社会党は前回選挙(2005年2月)での過半数には達しなかったものの、第一党の座を保持。社会党党首のソクラテス首相が首班指名を受け、10月、第二次ソクラテス内閣が発足した。安定成長プログラム(PEC)を通じた過剰財政赤字の是正、経済危機の克服が優先課題。2011年予算案は最大野党、社会民主党(PSD)の投票棄権により昨年11月成立。2011年1月の大統領選挙ではカヴァコ・シルヴァ大統領が二期目の再選を果たした。

日増しに高まるポルトガル財政の持続可能性への懸念を背景にEUから圧力を受けたソクラテス首相は国内の根回し無しに追加緊縮策(PECW)をEU緊急首脳理事会へ提出、3月23日、同案が国会で否決されたことを受け、辞意を表明した。その後カヴァコ・シルヴァ大統領は議会を解散し、6月5日に総選挙が実施された。野党の社会民主党(PSD)が与党社会党(PS)に大勝したことを受けて、ソクラテス首相はPS書記長を辞任。翌6日、カヴァコ・シルヴァ大統領はコエーリョPSD党首を首班指名し、組閣を指示した。

外交・国防

1.外交基本方針等

(1)EU統合への積極的参加(2007年後半、EU議長国を務め、同時期、リスボン条約が署名された。)

(2)ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)(ブラジル、アンゴラ、カーボ・ヴェルデ、ギニア・ビサウ、モザンビーク、サントメ・プリンシペ、東ティモール)を通じてのポルトガル語圏諸国との連携強化。ポルトガル語の国際語化を目指す。

(3)大西洋同盟(NATO、対米関係:NATO原加盟国、2010年11月にはNATO首脳会合を主催、米国との間でラージェス空軍基地使用に関する協定を結んでいる。)

(4)2010年10月に実施された国連安全保障理事会非常任理事国選挙に立候補し、2011年〜2012年の非常任理事国に選出された。

2.軍事力(ミリタリーバランス)

(1)予算 約20億700万ユーロ(2009年国防省予算)

(2)兵役 2004年11月から完全志願兵制に移行した。

(3)兵力 陸軍26,700人、海軍10,120人、空軍7,100人

3.ポルトガルによる対外援助実施状況

(1)二国間援助 1億9,861万ユーロ

(2)多数国間援助 1億6,955万ユーロ

計 3億6,817万ユーロ(対GDP比0.23%)
(1991年12月、OECD開発援助委員会(DAC)に加盟)

(出典:葡開発援助庁、2009年)

経済

1.主要産業

製造業(機械類、衣類、コルク製造)及び観光業等

2.GDP

約1,728億ユーロ(2010年、IMF)

3.一人当たりGDP

約16,248ユーロ(2010年、IMF)

4.経済成長率

  2007年 2008年 2009年 2010年
経済成長率(%、IMF) 2.4% 0.0% ▲2.5% 1.4%

5.物価上昇率

  2007年 2008年 2009年 2010年
物価上昇率(%、IMF) 2.7% 0.8% ▲0.1% 2.4%

6.失業率

  2007年 2008年 2009年 2010年
失業率(%、IMF) 8.1% 7.7% 9.6% 11.0%

7.総貿易額

(1)輸出 434億ドル

(2)輸入 700億ドル

(2009年、UN Comtrade)

8.主要貿易品目

(1)輸出 自動車、輸送機器部品、集積回路、靴、衣料品

(2)輸入 石油、自動車、輸送機器部品、医薬品

(UN Comtrade)

9.主要貿易相手国

(1)輸出 西、独、仏、アンゴラ、英、伊(対EU約74%)

(2)輸入 西、独、仏、伊、蘭、英(対EU約74%)

(2009年、ポルトガル国立統計院)

10.通貨

ユーロ

11.経済概要

(1)従来よりEU依存型の経済で、貿易・投資ともにEUとの結びつきが強い(輸出入ともに約74%、対ポルトガル直接投資約88%)。EU依存の輸出構造転換のため、アンゴラ等の石油産出国への輸出拡大を推進。

(2)90年代半ば以降、ユーロ第一陣参加に向けた経済運営及びリスボン国際博(EXPO98)の際のインフラ整備による経済効果等を背景に、欧州平均を上回る(対前年比で4%近い)高い成長率を維持してきたが、2001年以降2003年まで急速に減速。その後、EUにおける好景気の影響で、2006年以降の経済成長率は1%台まで回復してきたが、スペイン等の景気後退の影響を受け、2008年当初より景気は後退。世界経済危機を受け景気後退が更に加速化。

(3)財政赤字の対GDP比は2007年、2008年に3%に収まったものの、2009年は、世界経済危機対応のため10%まで悪化。2009年12月の欧州財務相理事会で採択された勧告を踏まえ、2010年より本格的に財政赤字削減に取り組むこととなり、安定成長プログラム(PEC)の策定及び改訂により、2010年の7.3%から2011年には4.6%、2013年には2%を目指している。具体的には、公務員の人件費抑制、社会保障給付見直し、大型公共事業の一部延期等を含む歳出削減策、および付加価値税、個人所得税の引き上げを含む歳入増加策をあわせた財政赤字削減策を発表している。

(4)ソクラテス政権は、中小企業の国際化や若年層の雇用促進をはじめとする国内の経済構造転換に引き続き取り組んでいく方針なるも、低い教育水準や労働市場の硬直化等により、これまでのところ十分な進展は見られていない。他方、財政的制約がある中でも国際競争力強化の観点から重点的に取り組むべき分野として再生可能エネルギー、電気自動車の導入普及を掲げ、推進している。

(5)なお2011年4月6日、ソクラテス首相は安定成長プログラム改定案の国会での否決に端を発してポルトガルの資金調達状況が悪化していることを受け、欧州委員会に対して財政支援を要請する決定を行ったことを発表した。

(6)2011年5月5日、ポルトガル政府が欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)と合意した財政健全化プログラムのもと、今後3年間で総額780億ユーロの融資を受けることが決定した。同プログラムでは、大幅な歳出削減や増税を迫られており、少なくとも2012年まではマイナス成長が続くと見込まれている。

二国間関係

1.政治関係

(1)天皇皇后両陛下・皇太子殿下御訪問

天皇皇后両陛下は1998年5月の英国、デンマーク御訪問の途次にポルトガルにお立ち寄りになり、リスボン国際博覧会を御視察になった(「日本館」での昭和天皇の貝のコレクション展示等)。また、2004年5月、皇太子殿下がポルトガルを公式訪問され、首都リスボンの他、コインブラ、ポルトも訪問された。

(2)その他要人往来(肩書きは当時)

2002年1月、田中外務大臣は我が国外相として初めてポルトガルを訪問し、ガマ外相との会談、サンパイオ大統領及びグテーレス首相への表敬を行った。また、2004年4月、ゴウヴェイア外務大臣が我が国を訪問し、川口外務大臣との会談を行ったほか、2005年5月には、サンパイオ大統領夫妻が、愛・地球博ポルトガル・ナショナルデー(5月24日)に出席するために訪日し、小泉総理との会談を行った。2006年3月のカヴァコ・シルヴァ大統領就任式には山口特派大使が出席した。2007年2月には、アマード外務大臣が訪日し、麻生大臣と会談を行い、政策協議に関する覚書に署名した。

(3)議員交流

日葡友好議員連盟(会長:谷垣禎一議員)は1985年発足。葡日友好議員連盟(会長:ジョルジ・コスタ議員)は2010年発足し※、両国の友好議連を中心とした議員交流が行われているが、2011年3月、議会解散のため一旦解散している。なお、2008年3月には参議院招待によりガマ国会議長が訪日した。

※ポルトガル側友好議連は総選挙の度に解散・結成される。

(4)2010年修好150周年

1860年8月3日の日・ポルトガル修好通商条約調印により、両国の外交関係が開設された。2010年は修好150周年を記念して、在ポルトガル日本国大使館を中心に、文化事業や記念切手の発行、海上自衛隊及びポルトガル海軍の練習艦の相互訪問など、多岐に亘る記念行事が行われ、両国間の友好の歴史が再認識された。11月には伴野外務副大臣がポルトガルを訪問し、ロルティー外務副大臣と会談するとともに、ポルトで開催された日本文化紹介イベント「ジャパンウィーク」に出席した。

2.経済関係

1.貿易:貿易収支は日本側の出超(182億円)(対日輸出237億円、対ポ輸出421億円(2010年))。

(1)主要対日輸出品目:衣類品等(13.0%)、加工トマト(9.1%)、革製履物(7.1%)、魚介類(7.2%)、コルク・コルク製品(3.7%)(コルクはポルトガルの特産物であり、我が国が輸入する天然コルク製品の約5割、天然コルクの約9割はポルトガル産)、化学製品(13.9%)、通信機(10.5%)、乗用自動車(7.8%)等。
(2)主要対ポルトガル輸出品目 乗用自動車(23.0%)、自動車部品(12.2%)、バス・トラック(7.0%)、トラクター(3.3%)、原動機(2.8%)、加熱用・冷却用機器(4.4%)、電気機器(8.1%)、科学光学機器(3.5%)等。

(出典:財務省貿易統計 2010年)

2. 直接投資:2009年、日本からの対ポルトガル直接投資(フロー)は54億円、2010年は些少(出典:日本銀行国際収支統計)。日本からポルトガルへの進出企業数は56社。ポルトガルから日本への進出企業数は1社(コルク製品メーカー)(2010年現在)。

3. ポルトガルを訪問した日本人は2009年で58,400人、我が国を訪問したポルトガル人は2010年で10,313人(2010年、日本政府観光局)。

3.文化関係

(1)1993年はポルトガル人の種子島漂着450周年。両国においてこれを記念する多種多彩な文化行事を開催した。また、2003年は在ポルトガル日本大使館を中心に、ポルトガル各地において様々な460周年記念行事が行われた。

(2)海洋をテーマとする「リスボン国際博覧会」が1998年5月より9月まで開催された。我が国政府も日本館を出展し、好評を博した。昭和天皇の貝のコレクションが出典された。

(3)1999年はザビエル来日450周年にあたり、鹿児島県をはじめ日本各地で様々な記念行事が開催された。(ザビエルは、ポルトガル王国の命によりリスボンを出発。)

(4)2010年修好150周年では、能(金剛流)公演、裏千家家元による茶道紹介、和太鼓公演、ポップカルチャー紹介事業、日本映画祭、ジャパンウィーク等多数の日本文化紹介行事が行われた。

(5)姉妹都市交流
レイリア市−徳島市、ポルト市−長崎市、アベイロ市−大分市、カスカイス市−熱海市、ヴィラ・ド・ビスポ市−西之表市、シントラ市−大村市、ナザレ市−逗子市(国際友好都市)、アブランテシュ市−人吉市

4.在留邦人数

531人(2011年4月)

5.在日当該国人数

534人(2011年4月)

6.要人往来(2000年以降)

(1)往

年月 要人名
2001年9月 井上参議院議長(公式)
2002年1月 田中外務大臣
2003年8月 綿貫衆議院議長
2004年5月 皇太子殿下
2006年1月 中馬内閣府大臣
2006年3月 山口特派大使(大統領就任式)
2007年4月 北川防衛大臣政務官
2007年8月 松山経済産業大臣政務官
2010年11月 伴野外務副大臣

(2)来

年月 要人名
2000年6月 フェロ・ロドリゲス労働社会保障大臣(小渕前総理葬儀参列)
2002年1月 アマード外務副大臣(アフガン復興支援国際会議)
2003年9月 サントス外務副大臣(TICAD III)
2004年4月 ゴウヴェイア外相(外賓)
2005年5月 サンパイオ大統領夫妻(博覧会賓客)
2006年2月 ピーニョ経済革新大臣
2007年2月 アマード外相(外賓)
2008年3月 ガマ国会議長(参議院招待)

7.二国間条約・取極

査免協定(1974年)、漁業協定(1978年)

8.外交使節

(1)ポルトガル駐箚日本国特命全権大使 四宮信隆

(2)本邦駐箚ポルトガル特命全権大使 ジョゼ・デ・フレイタス・フェラース