ソマリア共和国
注※ソマリアでは1991年に内戦状態に入り、2005年には暫定連邦「政府」(TFG)が樹立されたものの、ソマリア全土を実効的に統治できておらず、日本はTFGを政府承認していない。
出典:外務省 各国・地域情勢(2011年5月現在)
一般事情
1.面積
63万8千平方キロメートル(日本の約1.8倍)
2.人口
895万人(2008年:世銀)
3.首都
モガディシュ(人口約60万人)(2008年:EIU(Economist Intelligence Unit))
4.民族
ソマリ族
5.言語
公用語 ソマリ語、アラビア語
第二公用語 英語、イタリア語
6.宗教
イスラム教
7.略史
年月 | 略史 |
---|---|
1960年7月 | 伊信託領及び英領がそれぞれ独立し、合併して「ソマリア共和国」を形成 |
1969年10月 | クーデターによりバレが最高革命評議会議長に就任。その後、大統領に |
1991年1月 | バレ大統領追放、全武装勢力間の内戦状態に突入 |
1991年5月 | 北部が「ソマリランド」と自称し独立宣言 |
1992年4月 | 国連ソマリア活動(UNOSOM)、米を中心とする統一タスクフォース(UNITAF)が活動開始 |
1995年3月 | UNOSOMが、武装勢力間の抗争、武装勢力の激しい抵抗により完全撤退 |
1998年7月 | 北東部が「プントランド」と自称し自治領宣言 |
2000年8月 | ジブチの仲介により、暫定国民「政府」成立(ただし2003年に崩壊) |
2005年1月 | 周辺諸国の仲介により、暫定連邦「政府」(TFG)成立 |
2006年6月 | 「イスラム法廷連合」(UIC)がバイドアを除く中・南部ソマリア地域を制圧 |
2006年12月 | TFGの要請を受けたエチオピアがソマリアに派兵 |
2007年9月 | エチオピア軍に駆逐されたUICが、エリトリアで「ソマリア再解放連盟」(ARS)結成 |
2008年8月 | TFGとARSの穏健派グループが、ジブチ合意(停戦等)に署名 |
2009年1月 | エチオピア軍撤退終了後、反TFG勢力アル・シャバーブがバイドアを掌握 シェイク・シャリフ(ARSの穏健派グループ指導者)が、ユスフ初代TFG「大統領」の後任として就任 |
政治体制・内政
1.政体
全土を実効支配する政府はないが、暫定連邦「政府」(日本は未承認)は、連邦制国家の樹立を目指している。
2.元首
シェイク・シャリフ「大統領」
3.議会
暫定連邦「議会」(550議席)がある。
4.内政
1969年のクーデターにより政権を掌握していたバレ政権が、1991年に崩壊して以来、ソマリアは、全土を実効的に支配する政府が存在しない状態に陥った。劣悪な治安状況の下、大量の難民及び国内避難民が発生し、また干ばつの深刻化等により、食糧不足が悪化する等、重大な人道危機が生じている。
1992年以降、停戦監視及び被災民援助活動の支援のために国連ソマリア活動(UNOSOM:
United Nations Operation in Somalia)が設立され、更に米を中心とする統一タスクフォース(UNITAF: Unified
Task
Force)の活動が開始されたが、武装勢力の激しい抵抗を受け、1995年3月には完全撤退を余儀なくされた。
2005年には、周辺関係国の仲介により、ケニアにおいて暫定連邦「政府」(TFG:
Transitional Federal
Government)が樹立した。新設されたTFG議会でユスフTFG初代「大統領」が選出され、TFGの拠点はケニアからソマリア国内に移されたが、TFGに反対する勢力の抵抗は継続した。
2008年8月、TFGは、反TFG勢力の穏健派との間で停戦等を内容とする「ジブチ合意」に署名した。国際社会は、アフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM:
African Union Mision in
Somalia。2007年〜)の派遣や様々な援助を通じ、シェイク・シャリフ「大統領」(2009年1月〜)による和平プロセスを後押ししているが、和平プロセスへの参加を拒むアル・シャバーブ等の反TFG武装勢力は激しく抵抗しており、ソマリアでは不安定な情勢が続いている。
上記のような長年の紛争状態の継続、及びTFGの実効支配地域が極めて限定的であることにより、ソマリアはソマリア沖・アデン湾で発生している海賊の温床ともなっている。
外交・国防
1.外交方針
1991年にバレ大統領が追放されて以来、全土を実効支配する政府はない。周辺国の支援により樹立したTFGは、国内和平の推進、実効支配地域の拡大を目指し、国際社会からの支援を呼びかけている。
2.軍事力
TFG軍は20,000人規模を目標とするが、現在約9,000人。国際社会の支援を得て増強中。AMISOM軍が2007年より展開中。
経済(単位 米ドル)
1.主要産業
畜産業(ラクダ、羊、山羊、牛等)、農業(ソルガム、メイズ、米、豆、ゴマ等)
2.GDP
データなし
3.一人当たりGDP
データなし
4.経済成長率
データなし
5.物価上昇率
データなし
6.失業率
データなし
7.総貿易額
1,587百万ドル(2008年EIU推計)
8.主要貿易品目
(1)輸出 家畜、バナナ、皮革、水産物
(2)輸入 工業製品、石油製品、食料
9.主要貿易相手国(2006年:EIU)
(1)輸出 UAE、イエメン、オマーン、インド、ナイジェリア
(2)輸入 ジブチ、インド、ケニア、オマーン、UAE
10.通貨
ソマリア・シリング(SOS)
11.為替レート(2010年7月)
1ドル=1,592SOS
12.経済概況
主要産業は畜産業(ラクダ、羊、山羊等)、及び農業(ソルガム、メイズ、米、豆、ゴマ等)。伝統的に家畜とバナナが主要輸出品目だったが、内戦に加え、主要輸出先である湾岸諸国による家畜輸入禁止措置や、度重なる干ばつの影響により経済は荒廃。2010年現在、緊急に食糧援助を必要とする人口は200万近くに及ぶ。
経済協力
1.経済協力概況
1991年に内戦が勃発して以降、ソマリアには実効的支配を確立した政府が存在しないため二国間援助は実施していないが、国際機関を通じ社会的弱者に対する人道支援(食糧支援、保健、水、衛生、教育等)を実施してきている。また、不安定な治安状況を改善し、TFGによる和平推進努力を後押しすべく、治安維持能力強化のための支援(警察支援、AMISOM支援、国境管理強化等)も実施している。
2.日本の援助実績
(1)有償資金協力(2008年度まで) 64.70億円
(2)無償資金協力(2008年度まで) 253.06億円
(3)技術協力実績(2008年度まで) 8.71億円
3.主要援助国(2008年、単位:百万ドル)
(1)米(242.7) (2)英(76.1) (3)ノルウェー(44.2) (4)イタリア(25.5) (5)スウェーデン(25.0) (6)日本(23.3)
二国間関係
1.政治関係
1960年7月1日 国家承認
1982年10月1日 駐日ソマリア大使館開設、但し、1990年7月1日閉鎖
(日本は在ケニア大使館が兼轄)
2.経済関係
(1)日本の対ソマリア貿易
- (イ)貿易額(2008年:日本貿易振興機構統計)
- 輸出 2.95億円
輸入 0.12億円 - (ロ)主要品目
- 輸出 自動車、貨物自動車
輸入 生鮮魚類、精油
(2)日本からの直接投資
なし
3.文化関係
顕著な活動なし
4.在留邦人数
4人(2011年5月現在)
5.在日当該国人数
1人(2011年)
6.要人往来
(1)往
年月 | 要人名 |
---|---|
1984年7月 | 北川外務政務次官 |
1985年4月 | 海江田参議院議員 |
1993年1月 | 鈴木衆議院議員 |
1993年1月 | 柿沢外務政務次官 |
(2)来
年月 | 要人名 |
---|---|
1979年12月 | バレ外務大臣 |
1981年2月 | アリ水産大臣 |
1983年11月 | シアード郵政・通信大臣 |
1985年10月 | オスマン大蔵大臣 |
1987年4月 | タラ国連難民特別弁務官 |
1988年7月 | ハムッド外務担当国務大臣 |
1989年2月 | オスマン大統領府大臣 (大喪の礼参列) |
1990年4月 | ジャワリ土地航空運輸大臣 |
1990年10月 | クルミエ国会議長(即位の礼参列) |
2010年2月 | アリTFG「外務大臣」 |
7.二国間条約・取極
なし