スイス連邦
(Swiss Confederation)
出典:外務省 各国・地域情勢(2010年12月現在)
一般事情
1.面積
4.1万平方キロメートル(九州本島よりやや大きい)
2.人口
770万人(2008年、スイス連邦統計庁)
3.首都
ベルン(人口約12万人)(2008年、スイス連邦統計庁)
4.民族
主としてゲルマン民族 (外国人約20%)
5.言語
独語(64%)、仏語(20%)、伊語(6%)、レート・ロマンシュ語(1%)(2000年、スイス連邦統計庁)
6.宗教
カトリック約41%、プロテスタント約35%(2000年、スイス連邦統計庁)
7.略史
年月 | 略史 |
---|---|
1291年 | スイス誓約同盟 |
1815年 | 欧州列強がウィーン会議でスイスの永世中立を承認。 |
1848年 | 連邦憲法制定(1999年4月に現憲法に改正) 連邦内閣樹立 |
1960年 | EFTA加盟 |
1973年 | ECと自由貿易協定締結 |
1992年5月 | EC加盟申請提出 |
2001年3月 | 国民投票でEU加盟のための早期交渉開始を否決 |
2002年9月 | 国連加盟を国民投票で可決(190番目の加盟国) |
1999年6月 | EUと第1次二国間協定を締結(政府調達、農産品市場へのアクセス自由化等7分野) |
2004年6月 | EUと第2次二国間協定を締結(詐欺対策、加工農産品等9分野) |
政治体制・内政
1.政体
連邦共和制(26の州(カントン)により構成される)
2.元首
ドリス・ロイタード大統領兼環境・運輸・エネルギー・通信大臣(キリスト教民主党)(2010年1月就任、任期1年)
3.議会
2院制
上院(全州議会)46議席
下院(国民議会)200議席
4.政府
(1)首相 なし
(2)外相 ミシュリン・カルミ=レ
5.内政
(1)政治体制
- 連邦議会は二院制で、国民代表の国民議会(下院)(200議席)と州代表の全州議会(上院)(46議席)で構成される。連邦議会の選挙は4年ごとに行われる。
- 内閣(連邦参事会)は、連邦議会によって選出される7人の閣僚で構成される。7人はそれぞれ各省の大臣を務め、その中の1人が大臣兼任のまま、任期1年の大統領となる。スイスの大統領は、閣僚7名が1年ごとに交替で務める輪番制(毎年1月1日に就任)。
(2)直接民主制
スイスは直接民主制が浸透しているのが特徴。主として、イニシアティブ(国民提案制度)とレファレンダム(国民投票制度)の2つの制度からなる。
- イニシアティブ:連邦レベルでは、有権者10万人以上の署名を要件として、国民は連邦憲法の全面改正又は部分改正の提案を行うことが可能。
- レファレンダム:連邦レベルでは、義務的レファレンダム(連邦憲法の改正等に際して必要)と任意的レファレンダム(有権者5万人の署名によって要求できる。)の2種類がある。年間約4回実施される。
(3)最近の政治情勢
1959年以降、スイスの連邦内閣の7閣僚ポストが、与党間で一定の比率に従って割り振られてきた(「魔法の公式」:社会民主党、自由民主党、キリスト教民主党がそれぞれ2閣僚、国民党が1閣僚)が、1990年代後半以降、EU加盟反対、入国管理強化等を唱える右派政党の国民党が躍進を遂げた(1999年の連邦議会選挙では第2党に、2003年の選挙では第1党に躍り出た)結果、2003年に、閣僚の政党配分比率が約半世紀ぶりに再編成された(社会民主党、自由民主党、国民党がそれぞれ2閣僚、キリスト教民主党が1閣僚)。
2007年10月の連邦議会選挙において国民党は第1党の座を維持したが、同年12月に実施された閣僚選出選挙で同党出身の現職大臣が落選したことに端を発し、国民党は連立政権から離脱した。その後の同党の分裂(同党より分離する形で市民民主党が成立)等を経て、2009年1月以降は5党が連立している(社会民主党、自由民主党がそれぞれ2閣僚、国民党、キリスト教民主党、市民民主党がそれぞれ1閣僚)。
外交・国防
1.外交基本方針
(1)中立政策の維持と国際協調
(2)EUとの関係強化
(3)人道面における積極的な国際貢献
2.軍事力
(1)予算 49.3億スイスフラン(2010年)
(2)兵役 徴兵制
(3)兵力 21万人(戦時動員数)
経済
(1)GDP総額
4,946億ドル(2009年、スイス連邦経済省)
(2)一人当たりGDP
67,560ドル(2009年、スイス連邦経済省)
(3)実質GDP成長率
−1.5%(2009年、スイス連邦経済省)
(4)消費者物価上昇率
−0.5%(2008年、スイス連邦経済省)
(5)失業率
3.7%(2009年、スイス連邦経済省)
(6)主要産業
機械・機器、金融、食品、製薬、観光、農業
(7)貿易
輸出 166,137百万ドル(機械・機器、化学製品、金属等)
輸入 147,552百万ドル(機械・機器、化学製品、自動車等)
*輸出は59.7%、輸入は78.0%が対EU諸国。(2009年、スイス連邦関税庁)
(8)通貨
スイスフラン(2010年5月現在、1スイスフラン=約85円)
(9)経常収支
41.16億ドル(2009年、スイス連邦関税庁)
(10)最近の経済概況
世界的な経済・金融危機の影響のため、2009年のスイス経済はマイナス成長(対前年比実質▲1.6%)となったが、景気は既に回復基調に転じているとされており、2010年には好調な輸出に支えられて2.7%の成長が見込まれている。失業率については、低水準であるものの、悪化傾向にある(2008年 2.7%、2009年 3.7%、2010年3.9%(見込み))。
二国間関係
1.政治関係
1864年に修好通商条約を締結。伝統的に友好関係。
2.経済関係
(1)貿易関係
先進経済であり、WTOの場において日本と共にG10に参加し密接な協力関係にあるスイスは、ともに貿易・技術立国として、国際貿易・経済において日本と利害が一致することが多い。両国の経済関係を強化する方途として、2007年5月に交渉が開始された日・スイス経済連携協定は、2009年9月に発効した。
- (イ)日・スイス貿易の推移(億円、括弧内は対前年比増減(%))
-
年 対スイス輸出 対スイス輸入 輸出−輸入 2005 2,377(0.5) 5,571(7.0) -3,194 2006 2,813(18.3) 5,937(6.6) -3,124 2007 3,548(26.1) 6,134(3.3) -2,586 2008 4,499(26.8) 6,650(8.3) -2,151 2009 5,864(30.3) 5,856(-11.9) 8 (出典:財務省貿易統計)
- (ロ)主要貿易品目(2009年)(括弧内は二国間輸出入に占める割合)
-
主要貿易品目 日→スイス 金(10.1%)、乗用車(9.5%)、医薬品・医薬用品(3.9%)、電気機械(3.2%)、有機化学品(2.2%) スイス→日 医薬品・医薬用品(34.1%)、腕時計(16.1%)、化学品(医薬品・医薬用品を除く)(12.3%)、精密機械(腕時計を除く)(9.7%) (出典:財務省貿易統計)
- (ハ)両国貿易の双方貿易総額に占めるシェア(2009年)
-
輸出 輸入 日本の貿易総額に占めるスイスのシェア 1.1% 1.1% スイスの貿易総額に占める日本のシェア 3.8% 2.2% (出典:両国貿易統計)
(2)投資関係
- (イ)在日スイス企業は約150社で、機械、精密機器、化学製品、医薬品の輸入関連企業が多い。
- (ロ)在スイス日系企業は約60社で、主な進出先はチューリッヒ、ジュネーブ。商業(卸売業)中心で、製造業は少ない。投資先としてのスイスは、欧州の中心部に位置するという地理的利点、語学に堪能で勤勉な国民性、低い法人税率、柔軟な労働法制等が魅力といわれている。
- (ハ)日・スイス投資関係の推移
- (ロ)在スイス日系企業は約60社で、主な進出先はチューリッヒ、ジュネーブ。商業(卸売業)中心で、製造業は少ない。投資先としてのスイスは、欧州の中心部に位置するという地理的利点、語学に堪能で勤勉な国民性、低い法人税率、柔軟な労働法制等が魅力といわれている。
- (い)残高(2009年末)
日本→スイス 1,432億円
日本の対外直接投資残高に占める割合は0.20%
スイス→日本 4,526億円
対日直接投資残高に占めるスイスの割合は2.46%
米、蘭、仏、シンガポール等に次ぎ、第7位。 - (ろ)ネット・フロー(億円)
-
年 日本→スイス スイス→日本 2005 48 △908 2006 214 369 2007 69 1,332 2008 162 1,951 2009 209 △882 ※ネット・フロー:資本撤退や投資回収を含む。マイナス数値は引き上げ超過。
(出典:日本銀行国際収支統計)
3.在留邦人数
8,499人(2009年)
4.在日当該国人
1,116人(2009年9月公表 法務省登録外国人統計)
5.要人往来(抜粋)
(1)往
年月 | 要人名 |
---|---|
1965年 | 常陸宮同妃両殿下 |
1969年 | 高松宮同妃両殿下 |
1971年 | 天皇皇后両陛下(当時) |
1981年 | 鈴木総理(非公式) |
1984年 | 三笠宮同妃両殿下 |
1987年 | 中曽根総理(ジュネーブ立ち寄り) |
1988年 | 紀宮殿下(ベルン、ジュネーブお立ち寄り) |
1989年 | 礼宮殿下(同上 4月及び11月) |
1990年 | 中山外相(フェルバー外相と会談) |
1994年9月 | 土井衆議院議長 |
1996年1月 | 高円宮同妃両殿下スイス御訪問 |
2000年5月 | 天皇皇后両陛下スイスお立寄り |
2001年1月 | 森総理(ダボス会議出席) |
2002年9・10月 | 皇后陛下スイス御訪問(国際児童図書評議会創立50周年記念大会御出席) |
2005年1月 | 谷川外務副大臣 |
2005年3月 | 小野寺政務官(国連人権委員会出席) |
2005年7月 | 福島政務官(WTO一般理事会出席) |
2005年10月 | 逢沢外務副大臣(南アジア地震被害支援閣僚級会合出席) |
2006年12月 | 松島外務政務官 |
2008年1月 | 福田総理(ダボス会議出席) |
2009年1月 | 麻生総理(ダボス会議出席) |
2010年11月 | 伴野外務副大臣 |
(2)来
年月 | 要人名 |
---|---|
1970年 | グネーギ副大統領(大阪万博) |
1983年 | フルグラー経済相(外務省賓客) |
1984年 | ゴーティエ下院議員 |
1989年 | フェルバー外相(大喪の礼)、ドラミュラ大統領兼経済相(GATT非公式会合出席) |
1990年 | フェルバー外相(即位の礼) |
1992年 | オギ副大統領 |
1993年 | コラー司法・警察相、ウーアシュプルング科学庁長官、シュミットハルター国民議会議長 |
1996年10月 | ドラミュラ大統領兼経済相 |
1997年11月 | コッティ副大統領兼外相 |
1998年2月 | オギ国防・市民防衛・スポーツ相(長野五輪) |
2000年9月 | ヴァセシャ通商代表(高級実務者招聘) |
2002年6月 | ダイス外相(外務省賓客) |
2003年3月 | ダイス経済相(WTO非公式閣僚会合) |
2004年10月 | ダイス大統領兼経済相 |
2005年4月 | シュミート大統領兼国防・市民防衛・スポーツ相(万博賓客) |
2006年12月 | ゲルバー・SECO(経済事務局)長官 |
2007年7月 | クシュパン副大統領兼内相 |
2007年10月 | ビエリ上院議長 |
2009年2月 | ロイタード副大統領兼経済大臣(外務省賓客、日・スイス経済連携協定署名) |
2009年10月 | ロイタード副大統領兼経済大臣 |
7.二国間条約・取極
年月 | 略史 |
---|---|
1911年 | 居住通商条約(1952年存続確認) |
1920年 | 司法共助取極(1956年効力確認) |
1953年 | 工業所有権保護協定 |
1955年 | 請求権解決に関する取極 |
1956年 | 航空協定 |
1957年 | 査証免除取極 |
1971年 | 租税条約 |
2007年 | 科学技術協力協定 |
2009年 | 経済連携協定 |