トルコ共和国
(Republic of Turkey)
出典:外務省 各国・地域情勢(2011年6月現在)
一般事情
1.面積
780,576平方キロメートル(日本の約2倍)
2.人口
7,370万人(2010年12月、国家統計庁推定)
3.首都
アンカラ
4.民族
トルコ人
(南東部を中心にクルド人、その他アルメニア人、ギリシャ人、ユダヤ人等)
5.言語
トルコ語(公用語)
6.宗教
イスラム教(スンニ派、アレヴィー派)が大部分を占める。
その他ギリシャ正教徒、アルメニア正教徒、ユダヤ教徒等。
7.略史
年月 | 略史 |
---|---|
1299年 | オスマン帝国成立 (最盛期にはバルカン、アナトリア、メソポタミア、北アフリカ、アラビア半島にまで及ぶ大帝国に発展) |
1919年〜1922年 | 祖国解放戦争 |
1922年 | オスマン帝国滅亡 |
1923年10月29日 | ローザンヌ条約に基づきトルコ共和国成立(初代大統領 ケマル・アタテュルク) |
1952年 | NATO加盟 |
1960年 | 軍による「5.27クーデター」 |
1961年 | 民政移管 |
1971年 | 軍による「書簡によるクーデター」、政権交代 |
1974年 | キプロス進攻 |
1980年 | 軍による「9.12クーデター」 |
1983年 | 民政移管 |
2005年 | EU加盟交渉開始 |
政治体制・内政
1.政体
共和制
2.元首
アブドゥッラー・ギュル大統領(2007年8月28日就任:任期5年)
3.議会
一院制(550議席、任期4年、複数政党制)
4.政府
首相:レジェップ・タイップ・エルドアン(Mr. Recep Tayyip ERDOGAN)
副首相:ジェミル・チチェッキ(Mr. Cemil CICEK)
副首相:ビュレント・アルンチ(Mr. Bulent ARINC)
副首相:アリ・ババジャン(Mr. Ali BABACAN)
外相:アフメット・ダーヴトオール(Mr. Ahmet DAVUTOGLU)
5.内政
(1)2002年から政権を担当する公正発展党(AKP)は、2011年6月12日に実施された総選挙において50%近い得票率を得て(550議席中327議席獲得)勝利し、第3次エルドアン政権が発足する。
(2)AKP政権は、EU加盟に向けた積極的な国内改革、安定した経済運営を行い、2010年には8.9%のGDP増加を実現した(G20では中国に次ぐ成長率)。今後、第3次エルドアン政権の下で、新憲法の制定が焦点となり、国内におけるクルド系国民の権利の問題等を巡り、与野党内で議論が行われると見られる。
外交・国防
1.外交基本方針
(1)トルコは、地政学的な要衝に位置し、多角的な平和外交を基調とている。欧米との協調関係が基本姿勢であり、NATO、OECD、OSCEの加盟国。
(2)最大の外交目標はEU加盟。2005年10月、EUとの加盟交渉が開始されるが、交渉の行方は不透明。
(3)近隣諸国との間の「ゼロ・プロブレム外交」を掲げ、アルメニアとの関係改善の努力の他、中東和平への関与とともにイラクやアフガニスタンに対しても、積極的に協力を行っている。
2.国防力
(1)予算:約151億ドル(国家予算の5.27%)(2010会計年度予算(財務省発表))
(2)兵役:6〜12ヶ月(18歳〜40歳)(兵役終了後、41歳までは予備役)
(3)兵力:総兵力約514,850人(徴集兵約391,000人を含む)
陸軍402,000人、海軍52,750人、空軍60,100人、予備兵力約379,000人
経済(特記ない限り、トルコ国家統計庁発表の2010年度数値による)
1.産業割合
サービス業(74.7%)、工業(16.9%)、農業(8.4%)
2.GDP
7,358億ドル
3.1人当たりGDP
10,079ドル
4.経済成長率
8.9%
5.物価上昇率
6.4%
6.失業率
11.9%
7.総貿易額
(1)輸出 1,039.8億ドル
(2)輸入 1,855.4億ドル
8.主要貿易品目
(1)輸出 自動車(12.1%)、機械類(8.3%)、鉄鋼(7.7%)
(2)輸入 石油・天然ガス(20.7%)、機械類(11.5%)、鉄鋼(8.7%)
9.主要貿易相手国(トルコ外国貿易庁)
(1)輸入 露(11.6%)、独(9.5%)、中(9.3%)…日本(1.8%、第14位)
(2)輸出 独(10.1%)、英(6.3%)、伊(5.7%)…日本(0.2%、第59位)
10.通貨
トルコ・リラ
11.為替レート(トルコ中央銀行)
トルコ・リラ=約53円 (2011年6月時点)
12.経済概況
(1)2008年からの金融危機を受け、経済は停滞。しかし、2009年第4四半期から回復傾向が見られ、各種経済指標も改善に向かった。2010年には実質GDP8.9%の成長を果たした。
(2)先進国と比較すると、物価上昇率や長短金利は低下しているとは言え依然として高水準にあり、多額の経常収支赤字、大規模な債務残高、失業率(最近改善傾向)などの問題が存在しており、経済面で克服すべき課題は多い。
(3)中央アジアから欧州へのエネルギー輸送の要衝としても注目を集めている。
経済協力
1. 主要援助国
EU、日本、仏、独、スペイン等
2. 我が国の援助
(1)有償資金協力 5,921.92億円(2010年度までの累積:承諾額ベース)
(2)無償資金協力 22.79億円(2007年度までの累積:交換公文ベース)
(3)技術協力 414.61億円(2009年度までの累積:JICA経費ベース)
3. 技術協力実績
(1)1995年6月にJICAトルコ事務所を開設
(2)研修員受入(2010年度実績):150名(累計4,708名)
(3)専門家派遣(2009年実績):30名(累計1,201名)
(4)技術協力プロジェクト(2011年6月現在):5件実施中(50件実施済み)
(5)シニアボランティア(2011年6月現在:2名活動中)(累計40名)
二国間関係
1.政治関係
(1)日本・トルコ関係は、1890年のエルトゥールル号事件(1887年に小松宮彰仁親王同妃両殿下が欧州訪問の帰途にオスマン帝国を公式訪問したことに対する答礼として、アブデュル・ハミト2世が特使としてオスマン提督を日本に派遣した際、エルトゥールル号が帰路、紀州・串本沖で沈没。乗組員581名が死亡したが、日本側官民あげての手厚い救護により69名が救助され、日本の巡洋艦によりトルコに送還された事件)以降、歴史的に友好関係にある。
また、1985年3月、イラク・イラン戦争の中、テヘランで孤立した邦人を救出するためにトルコ政府がトルコ航空の特別機を派遣した出来事も、両国の友好関係の象徴的出来事となった。
(2)両国間には大きな政治的懸案はない。
1924年8月6日 トルコ共和国承認
1925年3月23日 在トルコ日本国大使館開設
1965年1月1日 在イスタンブール日本国領事館開設
(1972年10月、総領事館昇格)
2.経済関係
1.貿易(トルコ外国貿易庁発表:2010年)
- (1)対日輸出 2.72億ドル
(2)対日輸入 32.98億ドル
2.日本からの対トルコ直接投資額(同)
- 3.5億ドル
3.文化関係
(1)トルコ人は一般的に非常に親日的であり、日本文化に対する関心も高い。あるアンケートでは日本に対する好感度は75%以上。
(2)1998年5月、トルコ側の主導で、両国官民の協力により、アンカラに「土日基金文化センター」が開館した。同センターは日・トルコ文化交流の拠点として、大使館との共催による文化行事等をはじめ積極的な活動を行っている。
(3)エルトゥールル号事件から120年目の節目を迎える2010年、「2010年トルコにおける日本年」を実施し、トルコ全土で186の日本・トルコ交流事業を開催した。
4.在留邦人数
1,571名(2011年6月1日現在)
5.在日当該国人数
2,452名(2010年7月末統計)
6.要人往来(2000年以降)
(1)往
年月 | 要人名 |
---|---|
2001年1月 | 橋本国務大臣 |
2002年1月 | 田中外務大臣 |
2002年7月 | 村岡日本-トルコ友好議連会長一行 |
2002年9月 | 遠山文部科学大臣 |
2002年10月 | とも仁親王殿下 |
2002年11月 | 茂木外務副大臣(総理特使) |
2003年2月 | 中山総理特使 |
2003年6月 | とも仁親王殿下、彬子女王殿下 |
2003年9月 | 本岡参議院副議長一行、参議院日本トルコ友好議連一行 |
2003年10月 | とも仁親王同妃両殿下 |
2004年7月 | とも仁親王殿下(アナトリア考古学研究所起工式) |
2005年5月 | 谷垣財務大臣(アジア開発銀行総会) |
2005年9月 | とも仁親王殿下、彬子女王殿下(アナトリア考古学研究所竣工式典) |
2006年1月 | 小泉総理大臣 |
2008年5月 | 彬子女王殿下 |
2009年3月 | 皇太子殿下(第5回世界水フォーラム) |
2010年1月 | 岡田外務大臣 |
2010年5月 | とも仁親王殿下(「2010年トルコにおける日本年」友好祝賀式典) |
2010年7月 | とも仁親王殿下、彬子女王殿下(アナトリア考古学研究所開館式典) |
2010年7月 | 横路衆議院議長 |
(2)来
年月 | 要人名 |
---|---|
2000年4月 | ジェム外務大臣(外務省賓客) |
2000年6月 | エルシュメル副首相兼エネルギー天然資源大臣(小渕前総理葬儀)、ウンリュ国務大臣(東京モスク開所式) |
2000年8月 | ミルザオール海事庁担当国務大臣、アイドゥン公共事業・住宅大臣 |
2000年9月 | アイテキン環境大臣 |
2000年11月 | オナル経済担当国務大臣 |
2001年11月 | タシャル観光大臣 |
2002年1月 | ガイダル国務大臣(アフガニスタン復興支援国際会議) |
2002年3月 | アクジャン公共事業・住宅大臣 |
2002年4月 | ヴラル運輸通信大臣 |
2002年6月 | ウンリュ国務大臣(サッカーW杯) |
2003年2月 | ヤルチュンバユル副首相(「トルコ年」開会記念式典) |
2003年6月 | アルンチ国会議長 |
2003年8月 | ムムジュ文化・観光大臣(NHK「トルコ三大文明展」開会式) |
2003年12月 | ギュル副首相兼外相(外務省賓客) |
2004年4月 | エルドアン首相(実務訪問賓客) |
2005年8月 | アタライ国務大臣(博覧会賓客) |
2006年10月 | テュズメン国務大臣 |
2007年2月 | オザック公共事業・住宅大臣 |
2008年6月 | ギュル大統領(公式実務訪問賓客) |
2009年10月 | ギュナイ文化観光大臣 |
2010年10月 | シャーヒン大国民議会議長、チャーラヤン対外貿易担当国務大臣 |
2010年12月 | ユルドゥルム運輸通信大臣、ユルドゥズ・エネルギー天然資源大臣 |
7.二国間関係・取極
通商航海条約(1930年署名)
査証免除取極(1967年署名)
航空協定(1989年署名)
投資促進保護協定(1992年署名、1993年2月批准書交換)
租税条約(1993年署名、1994年11月批准書交換)