アラブ首長国連邦
(United Arab Emirates: UAE)
出典:外務省 各国・地域情勢(2011年7月現在)
一般事情
1.面積
83,600平方キロメートル
2.人口
470.7万人(2010年)(国連)
3.首都
アブダビ
4.民族
アラブ人
5.言語
アラビア語
6.宗教
イスラム教
7.略史
紀元前3000年頃にさかのぼる居住痕が存在。7世紀イスラム帝国、次いでオスマン・トルコ、ポルトガル、オランダの支配を受ける。17世紀以降、英国のインド支配との関係で、この地域の戦略的重要性が認識された。18世紀にアラビア半島南部から移住した部族が現在のUAEの基礎を作った。1853年、英は現在の北部首長国周辺の「海賊勢力」と恒久休戦協定を結び、以後当地域は休戦海岸と呼ばれた。1892年には、英の保護領となった。1968年英がスエズ以東撤退を宣言したため、独立達成の努力を続け、1971年12月、アブダビ及びドバイを中心とする6首長国(翌年2月ラアス・ル・ハイマ首長国が参加)が統合してアラブ首長国連邦を結成した。
政治体制・内政
1.政体
7首長国による連邦制
2.元首
大統領:ハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下(アブダビ首長)
3.議会
連邦国民評議会(選挙により選出される20名及び各首長の勅選により任命される20名、計40名の議員(任期4年)から構成。立法権は限定的)
4.政府
(1)首相:ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム殿下(副大統領、ドバイ首長)
(2)外相:アブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下
5.内政
- 連邦結成以来、連邦政府は一貫して連邦体制強化を唱えているが、各首長国は独立性を保つ傾向が強い。
- 2004年11月2日、ザーイド大統領が逝去。翌3日、ハリーファ新大統領就任。新大統領の下においても前大統領の穏健路線が継承されている。
- 2006年2月、ムハンマド副大統領兼ドバイ首長を首相とする新内閣が発足。アブダッラー情報文化相が外相に就任。また、女性閣僚は2名となった。さらに2008年2月の内閣改造では、女性閣僚が4名となった。
- 2006年12月、初の連邦国民評議会(FNC)選挙が実施され、議員の半数20名が選挙人の投票で選出。女性が1名当選した。2007年2月、他の議員20名(うち女性8名)が各首長により任命された。
外交・国防
1.外交基本方針
(1)アラブ・イスラム諸国及び西側諸国等と穏健かつ協調的な外交を展開。
(2)1981年5月設立のGCC(湾岸協力理事会)との関係を基軸とした善隣外交を推進。
2.軍事力
(1)予算 約157億ドル(2010年)(SIPRI)
(2)兵役 徴兵制度は実施されていない
(3)兵力 約5万人
経済
1.主要産業
石油
2.GDP
2,613億ドル(2008年)(世界銀行)
3.一人当たりGDP
50,070ドル(2008年)
4.GDP成長率
-0.7%(2008年)(世界銀行)
5.物価上昇率
16.4%(2010年)(IMF)
6.失業率
4.0%(2008年)(世界銀行)
7.総貿易額
(1)輸出 2,219億ドル(2010年)(世界銀行)
(2)輸入 1,583億ドル(2010年)(世界銀行)
8.主要貿易品目
(1)輸出 原油、天然ガス、原油製品、再輸出品(電化製品等)
(2)輸入 自動車、機械、電化製品
9.主要貿易相手国(2009年)
(1)輸出 日、韓国、印
(2)輸入 中国、印、米
10.通貨
ディルハム
11.為替レート
1$=3.6725ディルハム(1997年11月以来ドルに連動)
12.経済概要
- 豊富な石油収入を背景に活発な対外投資(特にアブダビ)。同時に石油モノカルチャー経済からの脱却を図っており、製造業サービス部門の多様化に努めている。
- ドバイは商業・運輸のハブとして発展(ジャバルアリー・フリーゾーンには約6千社進出。エミレーツ航空は世界の100都市以上に運航)。
13.石油生産量
259万B/D(2009年)
経済協力(日本の援助実績)
1.有償資金協力 なし
2.無償資金協力(1990年度の1件のみ、ENベース) 5.0億円
3.技術協力実績(2002年度まで、JICAベース) 累計37.27億円
二国間関係
1.政治関係
(1)1971年12月UAEの独立を承認。
(2)1974年4月大使館設置。UAEは1973年12月在京大使館設置。
(3)1995年1月ドバイに総領事館を開設。
(4)1990年5月、ザーイド大統領が国賓として来日。1995年1月には、皇太子同妃両殿下のUAE御訪問が行なわれ、2004年4月、ハムダーン副首相兼外務担当国務相が外務省賓客として来日した。2007年4月、安倍総理がUAEを公式訪問し、ハリーファ大統領と会談した。2007年12月、ムハンマド・アブダビ皇太子が公式実務訪問賓客として来日した。
(5)3月の東日本大震災に際し、ハリーファ大統領、ムハンマド副大統領が天皇陛下にお見舞いの電報を送った他、アブダッラー外相をはじめとする要人が駐アラブ首長国連邦日本国大使館で弔問記帳を行った。
2.経済関係
対UAE貿易
- (イ)貿易額(2010年、JETRO貿易統計)
- 輸入 291億ドル
輸出 73億ドル - (ロ)主要品目
- 輸入 石油、液化天然ガス、石油製品、アルミニウム
輸出 乗用車・貨物自動車、タイヤ、鉄鋼製品
3.文化関係
2004年、ナヒヤーン高等教育・科学研究相と河村文部科学大臣(当時)との間で、「高等教育及び科学研究に係る協力に関する覚書」が署名された。
4.在留邦人数
約3,500人(2009年10月) 日本人学校あり(アブダビ、ドバイ)
5.要人往来(肩書きはいずれも当時のもの)
(1)往(1980年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1980年2月 | 園田総理特使 |
1980年12月 | 田中通産大臣 |
1982年5月 | 安倍通産大臣 |
1983年5月 | 山中通産大臣 |
1986年11月 | 桜内元外務大臣 |
1992年1月 | 渡部通産大臣 |
1995年1月 | 木部衆議院議員、皇太子・同妃両殿下 |
1996年12月 | 高村外務政務次官(建国25周年記念式典出席) |
1997年11月 | 平林外政審議室長(総理特使) |
1999年5月 | 与謝野通産大臣 |
2001年1月 | 河野外務大臣 |
2001年7月 | 平沼経産大臣 |
2001年10月 | 橋本元総理(総理特使) |
2002年5月 | 中谷防衛庁長官 |
2002年6月 | 谷口財務副大臣 |
2003年4月 | 山崎自民党幹事長、冬柴公明党幹事長、二階保守新党幹事長、中谷衆議院議員(元防衛庁長官) |
2004年1月 | 川口外務大臣 |
2004年4月 | 逢沢外務副大臣 |
2004年11月 | 川口特派大使(総理補佐官、前外務大臣、ザーイド大統領逝去弔問) |
2004年12月 | 逢沢外務副大臣、谷口衆議院議員(日UAE友好議連幹事長) |
2005年4月 | 逢沢外務副大臣 |
2005年7月 | 橋本元総理(総理特使)、谷口衆議院議員(議連幹事長) |
2006年1月 | 金田外務副大臣(ドバイ首長逝去弔問) |
2006年5月 | 福田元官房長官(議連会長)、谷口衆議院議員(同幹事長) |
2006年8月 | 中川農水大臣 |
2006年11月 | 浅野外務副大臣 |
2007年4月 | 安倍総理大臣 |
2008年1月 | 甘利経済産業大臣 |
2008年5月 | 上川国務大臣、奥田内閣特別顧問(総理特使) |
2008年7月 | 額賀財務大臣 |
2008年10月 | 中曽根外務大臣、橋本外務副大臣 |
2009年3月 | 福田前総理大臣(総理特使) |
2009年10月 | 直嶋経済産業大臣 |
2010年1月 | 松下経済産業副大臣 |
2011年1月 | 櫻井財務副大臣 |
2011年1月 | 大畠経済産業大臣 |
(2)来(1980年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1980年1月 | オウェイス水・電気相 |
1980年7月 | オタイバ石油相 |
1981年10月 | オタイバ石油相 |
1983年11月 | ムハンマド国防相(現副大統領兼首相兼ドバイ首長) |
1984年3月 | オタイバ石油相 |
1986年9月 | オタイバ石油相 |
1988年2月 | オタイバ石油相 |
1989年2月 | ムハンマド殿下(現アブダビ皇太子)、ヌアイミ外務担当国務相(大喪の礼参列) |
1990年5月 | ザーイド大統領(国賓) |
1990年11月 | ムハンマド殿下(現アブダビ皇太子、即位の礼参列) |
1994年11月 | ゴバーシュ経済・商務相 |
1996年4月 | アブダッラー殿下(現外相) |
1997年12月 | ミドファ保健相(COP III参加) |
2001年9月 | シャルハーン教育・青年相 |
2002年1月 | カーシミー経済商務相(アフガニスタン復興支援国際会議出席) |
2002年9月 | ナーセリー石油鉱物資源相(国際エネルギーフォーラム) |
2004年4月 | ハムダーン副首相兼外務担当国務相(外務省賓客) |
2004年12月 | ルメイシ・ハムダーン副首相府長官 |
2007年4月 | カーシミー経済相 |
2007年12月 | ムハンマド・アブダビ皇太子(公式実務訪問賓客) |
2009年4月 | アブダッラー外相(パキスタン支援国会合) |
2010年4月 | スルターン・シャルジャ首長 |
2011年5月 | ムハンマド副大統領兼首相兼ドバイ首長(非公式) |
6.二国間条約・取極
航空協定(1998年3月)、国際運輸業所得相互免除取極(2004年6月)
7.外交使節
(1)渡邉達郎特命全権大使
(2)サイード・アリ・ユーセフ・アル=ノウァイス特命全権大使