ベトナム社会主義共和国
(Socialist Republic of Viet Nam)
出典:外務省 各国・地域情勢(2011年1月現在)
一般事情
1.面積
32万9,241平方キロメートル
2.人口
約8,579万人(2009年4月1日時点国勢調査) 人口増加率:1.2%(過去10年平均)
3.首都
ハノイ
4.民族
キン族(越人)約86%、他に53の少数民族
5.言語
ベトナム語
6.宗教
仏教(80%)、カトリック、カオダイ教他
7.略史
年月 | 略史 |
---|---|
紀元前207年 | 南越国の成立 |
紀元前111年 | 前漢、ベトナム北部に交趾郡を置く |
938年 | 呉権(ゴー・クエン)、白藤江で南漢軍を破る(中国からの独立) |
1009年 | 李王朝の成立 |
1010年 | 首都をタンロン(現在のハノイ)に定める |
16世紀 | ホイアンの日本人町が栄える |
1884年 | ベトナムがフランスの保護国となる |
1930年2月 | ベトナム共産党結成 |
1940年9月 | 日本軍の北部仏印進駐(1941年南部仏印進駐) |
1945年9月2日 | ベトナム共産党ホーチミン主席、「ベトナム民主共和国」独立宣言 |
1946年12月 | インドシナ戦争 |
1954年5月 | ディエンビエンフーの戦い |
1954年7月 | ジュネーブ休戦協定、17度線を暫定軍事境界線として南北分離 |
1965年2月 | アメリカ軍による北爆開始 |
1973年1月 | パリ和平協定、アメリカ軍の撤退 |
1973年9月21日 | 日本と外交関係樹立 |
1976年7月 | 南北統一、国名をベトナム社会主義共和国に改称 |
1979年2月 | 中越戦争 |
1986年 | 第6回党大会においてドイモイ(刷新)政策が打ち出される |
1991年10月 | カンボジア和平パリ協定 |
1992年11月 | 日本の対越援助再開 |
1995年7月 | アメリカとの国交正常化 |
1995年7月 | ASEAN正式加盟 |
1998年11月 | APEC正式参加 |
2007年1月 | WTO正式加盟 |
2007年10月 | 国連安保理非常任理事国(2008年〜2009年)に初選出 |
政治体制・内政
1.政体
社会主義共和国
2.元首
グエン・ミン・チエット国家主席
3.政権党
共産党(唯一の合法政党)党首 グエン・フー・チョン書記長(国会議長兼務)
4.国会(グエン・フー・チョン議長)
一院制(493名)、任期5年(但し2007年〜2011年の第12期国会は4年)、中選挙区、選挙権満18歳以上、被選挙権満21歳以上
5.政府
(1)首相 グエン・タン・ズン
(2)外相 ファム・ザー・キエム(副首相兼務)
6.内政
(1) 1986年の第6回党大会にて採択された市場経済システムの導入と対外開放化を柱としたドイモイ(刷新)路線を継続、外資導入に向けた構造改革や国際競争力強化に取り組んでいる。他方、ドイモイの進展の裏で、貧富の差の拡大、汚職の蔓廷、官僚主義の弊害などのマイナス面も顕在化している。
(2) 2011年1月には第11回共産党大会(5年ごと)が開催され、2020年までに近代工業国家に成長することを目標として引き続き高い成長を目指す方針が掲げられたほか、プロレタリアート階級主導の共産党方針は維持しつつも、私営経済活動を本業とする者の入党を試験的に認めることとされた。また、党中央指導部の人事が一新され、書記長には、これまで国会議長を務めてきているグエン・フー・チョン氏が選出された。
(3) 5月22日には国会議員選挙が行われ、その結果を受けて次期国会が召集され、国家・政府人事も行われる見込み。
外交・国防
1.外交基本方針
全方位外交の展開、特にアセアン、アジア・太平洋諸国等近隣諸国との友好関係の拡大に努めること。
1995年7月、米国と国交正常化、アセアンに加盟。1998年11月、APECに正式参加し、2006年にAPEC議長国を務めた。2008年1月、国連安全保障理事会非常任理事国(任期2008年〜2009年)に就任。2010年ASEAN議長国を務めた。
2.軍事力(2009年版ミリタリー・バランスより)
(1)予算 37.3億ドル(2007年)
(2)兵役 徴兵制(18〜25才間の18か月が標準)
(3)兵力 45.5万人(主力軍)(2009年)
経済
(出所は特に記述がない場合は越統計総局)
1.主要産業
農林水産業、鉱業、軽工業
2.GDP(2010年)
1,981兆ドン(約1,015億米ドル)
3.一人当たりGDP(2010年)
1,168米ドル
4.経済成長率(2010年)
6.78%(2009年は5.32%)
5.物価上昇率(2010年)
11.75%(対前年末比)(年平均指数9.19%)
6.失業率(2010年)
2.88%(都市部:4.43%、農村部:2.27%)(不完全就業率4.5%(都市部:2.04%、農村部:5.47%))
7.貿易額(2010年)
(1)輸出 716億ドル(対前年比 25.5%減)
(2)輸入 840億ドル(対前年比 20.1%減)
8.主要貿易品目(2010年)
(1)輸出 縫製品、履物、水産物、原油等
(2)輸入 機械機器(同部品)、鉄鋼、石油、布等
9.貿易相手国(2009年)
(1)輸出 米国、日本、中国、スイス、オーストラリア (スイスは金の大量輸出という特殊要因によるもの)
(2)輸入 中国、日本、韓国、台湾、タイ
10.通貨
ドン(Dong)
11.為替レート
1ドル=19.500ドン(2011年1月)(ベトコムバンク)
12.外国からの投資実績(認可額)(2010年)
186億ドル(対前年比 17.8%減)
13.経済概況
(1) 1989年頃よりドイモイの成果が上がり始め、1995年〜1996年には9%台の高い経済成長を続けた。しかし、1997年に入り、成長率の鈍化等の傾向が表面化したのに加え、アジア経済危機の影響を受け、外国直接投資が急減し、1999年の成長率は4.8%に低下した。
(2) 2000年代に入り、海外直接投資も順調に増加し、2000年〜2010年の平均経済成長率は7.26%と高成長を達成した。2009年は世界経済危機の中で政府の積極財政・金融緩和が奏功し5.3%、2010年は当初の目標である6.5%を上回り、6.8%成長を達成した。しかし、急速な物価上昇、自国通貨の不安定化など、マクロ経済状況は不透明である。この状況を受けて、政府は2011年の経済運営に関し、マクロ経済の安定化とインフレ対策を最重要課題として挙げている。
(3) 近年ベトナムは一層の市場経済化と国際経済への統合を推し進めており、2007年1月、WTOに正式加盟を果たしたが、慢性的な貿易赤字、未成熟な投資環境等懸念材料も残っている。
経済協力
1.日本の援助実績
1992年11月以降経済協力再開。日本はベトナムにとって最大の援助国。2009年度の円借款は1,456億円(交換公文ベース)に達し、過去最高額となった。
2000年度 | 2001年度 | 2002年度 | 2003年度 | 2004年度 | |
---|---|---|---|---|---|
円借款 | 709.04 | 743.14 | 793.30 | 793.30 | 820.00 |
無償資金協力 | 80.67 | 83.65 | 52.37 | 56.50 | 49.14 |
技術協力 | 74.32 | 79.09 | 67.08 | 55.77 | 57.11 |
2005年度 | 2006年度 | 2007年度 | 2008年度 | 2009年度 | |
円借款 | 908.20 | 950.78 | 978.53 | 832.01 | 1456.00 |
無償資金協力 | 44.65 | 30.97 | 21.18 | 26.63 | 28.26 |
技術協力 | 56.51 | 52.75 | 51.98 | 59.65 | 61.42 |
注※
・「年度」の区分は、有償(円借款)は交換公文締結日、無償及び技協は予算年度による。
・金額は、有償及び無償は交換公文ベース、技協はJICA経費実績ベースによる。
2.主要援助国(2009年、DAC集計ベース)
(1)日本 (2)フランス (3)ドイツ (4)英国 (5)米国
二国間関係
1.政治関係
(1) 1978年末のベトナム軍カンボジア侵攻に伴い、1979年度以降の対越経済協力の実施を見合せてきたが、1991年10月のカンボジア和平合意を受け、1992年11月に455億円を限度とする円借款を供与。
(2) その後、日越関係は順調に発展してきており、2006年10月、ズン首相の日本公式訪問の際に、両国は「戦略的パートナーシップ」という特別な関係の実現に向けて両国関係を強化するとの強い決意を表明。2009年4月のマイン書記長の公賓訪日の際、日越両国が戦略的な利益を共有し、アジアにおける平和と繁栄のためにともに協力し合う戦略的パートナーシップを確立したことを内外に明示した。
(3) 2010年1月にはキエム副首相兼外相が外務省賓客として訪日し、岡田外務大臣との間で日越協力委員会第3回会合を実施し、両首脳間における合意事項を具体化するための方策について、関係省庁も交えて協議した。7月には前原外務大臣がASEAN関連外相会議に出席のため訪越。10月には、ASEAN関連首脳会議出席のため訪越した菅総理が、引き続きベトナムを二国間公式訪問し、「アジアにおける平和と繁栄のため略的パートナーシップを包括的に推進するための日越共同声明」を発出して、ズン首相との間で戦略的パートナーシップを政治・経済・外交などあらゆる分野で包括的に推進していくことで一致した。
(4) 日越間の交流の増加を受けて、2009年に在福岡ベトナム総領事館、2010年に在釧路ベトナム名誉領事館と在名古屋ベトナム名誉領事館が開設された。
2.経済関係
(1)対日貿易(2009年、越統計総局)
- (イ)貿易額
- 輸出 62.9億ドル(対前年比 26.3%減)
輸入 74.7億ドル(対前年比 9.3%減) - (ロ)品目
- 輸出 縫製品、水産物、電気ケーブル
輸入 機械機器・同部品、電子機器・同部品、鉄鋼
(2)日本からの直接投資(2010年、越統計総局)
22.1億ドル(認可額)
(3)JETRO事務所開設(1993年9月)、OECF(現JICA)事務所開設(1995年1月)、JICA事務所開設(1995年5月)
3.文化・学術関係
(1)文化無償協力
2009年度までに、文化遺産保存環境整備、日本語学習機材、日本武道関連器材、番組ソフト、撮影機材等の購入のための資金供与等36件の文化無償協力を実施。
(2)主要文化事業
「ベトナム日本祭」(1993年10月)、「ハロー!!ベトナム」(1995年10月)、「ベトナム日本文化フェスティバル」(1998年)、「Japan Festival 2006 in
Vietnam」(2006年8月)、「ハノイ・ホーチミン音楽祭」(2008年5月)、「Vietnam Festival
2008 in Japan」(2008年9月)、「ホイアン−日本祭り2009」(2009年8月)、「Xinchao! Vietnam
Festival 2009」(2009年9月)、「Vietnam Festival 2010」(2010年9月)
(3)学術交流
日本に留学しているベトナム人:3,199人(2009年5月現在、中国・韓国・台湾に次ぎ、世界4位)
第一回日越科学技術協力協定合同委員会(2007年3月、於:東京)、第二回日越科学技術協力協定合同委員会(2009年6月、於:ハノイ)、第一回日越学長会議(2009年9月、於:ハノイ)
4.在留邦人数
9,468人(2009年10月1日現在)
5.在日当該国人数(外国人登録者数)
41,136人(2008年末現在。対前年比 11.6%増。)
6.要人往来
(1)往(1993年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1994年8月 | 村山総理大臣 |
1996年7月 | 池田外務大臣 |
1997年1月 | 橋本総理大臣 |
1998年12月 | 小渕総理大臣 |
1999年6月 | 秋篠宮同妃両殿下 |
2001年7月 | 田中外務大臣 |
2002年1月 | 綿貫衆議院議長 |
2002年4月 | 小泉総理大臣 |
2004年7月 | 川口外務大臣 |
2004年10月 | 小泉総理大臣、町村外務大臣 |
2005年10月 | 町村外務大臣 |
2006年11月 | 安倍総理大臣、麻生外務大臣 |
2008年7月 | 高村外務大臣 |
2009年2月 | 皇太子殿下 |
2009年5月 | 中曽根外務大臣 |
2010年7月 | 岡田外務大臣 |
2010年10月 | 菅総理大臣(公式訪問)、前原外務大臣 |
(2)来(1993年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
1993年3月 | キエット首相(公実賓) |
1995年4月 | ムオイ書記長(公賓) |
1995年12月 | マイン国会議長 |
1997年5月 | カム外相 |
1997年12月 | カム外相 |
1999年3月 | カイ首相(公実賓) |
2000年3月 | ニエン外相 |
2000年9月 | ニエン外相 |
2001年6月 | カイ首相 |
2002年5月 | アン国会議長 |
2002年8月 | ニエン外相 |
2002年10月 | マイン書記長(公賓) |
2003年4月 | カイ首相 |
2003年6月 | ニエン外相 |
2003年12月 | カイ首相、ニエン外相 |
2004年6月 | カイ首相 |
2005年3月 | ニエン外相 |
2005年5月 | ニエン外相 |
2005年7月 | カイ首相 |
2006年10月 | ズン首相(公実賓) |
2007年5月 | キエム副首相兼外相 |
2007年11月 | チエット国家主席(国賓) |
2008年1月 | キエム副首相兼外相 |
2008年3月 | チョン国会議長(衆議院招待) |
2009年4月 | マイン書記長(公実賓) |
2009年5月 | ズン首相 |
2009年11月 | ズン首相 |
2010年1月 | キエム副首相兼外相(外賓) |
2010年11月 | チエット国家主席 |
7.二国間条約・取極
航空協定(1994年)
青年海外協力隊派遣取極(1994年)
租税協定(1995年)
技術協力協定(1998年)
投資協定(2004年)
科学技術協力協定(2006年)
日越投資協定(2004年12月発効)
日越経済連携協定(2009年10月発効)