三井住友銀が逆転敗訴 外国税額訴訟、大阪高裁判決「控除が目的、不自然」

(平成14年6月15日)

 海外取引での二重課税を避けるための「外国税額控除制度」を巡り、国税当局が制度の適用を認めず、住友銀行(現三井住友銀行)に約3億円を追徴課税(更正処分)したことの適否が争われた訴訟で、大阪高裁は、14日、「(住銀の取引は)制度の趣旨・目的を著しく逸脱する」として、課税処分の取消しを命じた一審・大阪地裁判決を破棄、住銀側に逆転敗訴の判決を言い渡した。
 外国税額控除は、日本の企業が海外で税金を納めた場合、一定の範囲内で日本の納税額から控除を認める制度。
 竹原裁判長は、判決で、同制度の適用対象を「客観的にみて正当な事業目的を有する通常の経済活動」に限定。問題の取引については、「(税の)控除を唯一の目的として不自然なもの。正当な事業目的があるとはいえず、制度の敵油は受けられない」と判断した。
 判決によると、住銀は外国企業2社の海外子会社に企業買収資金を融資したが、この2社が住銀と取引した狙いは源泉徴収の軽減だと認定。住銀も外国企業の意図を知ったうえで取引を行い、取引の利息所得にかかる海外での源泉徴収分約2億6000万円について2社の海外子会社所在地国で納税したことで外国税額控除制度を利用した。
 竹原裁判長は、「仮装取引ではないが、外国企業の源泉税軽減を図るためであることを住銀も認識していた」と指摘した。

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