支店登記とPE課税

(平成17年8月4日)

(相談内容)
 弊社は、米国の化学薬品ベンチャーの日本支店を立ち上げたところなのですがこの際に司法書士より、『支店登記をすると、自動的にPEに該当するので105%マークアップ等の方法により法人税申告をしなければならない。』とアドバイスされました。私の理解では、情報提供等4号に該当する限り、支店登記されていようが課税関係は生じないと考えていたのですが間違いでしょうか?

(回答)
Q1:支店登記をすると、自動的にPEに該当するのか。
A1:理論的には、支店登記をしたからといって、事業を行う一定の場所である恒久的施設と認定されるわけではありません。そこで、現実に事業活動を行っているかどうかによります。

Q2:105%マールアップ等の方法により・・・
A2:課税の現場では、105%の適否が非常に問題とされる場面が多々あるようです。事業活動の機能等を総合的に分析して、大して付加価値がないような活動をしているのであれば、認容されると考えるのが無難といえます。

Q3:情報提供等4号に該当する限り、支店登記されていようが課税関係は生じないのか。
A3:質問の趣旨がよく分かりませんが、情報提供等のその法人にとって、補助的な機能しかない場合、課税関係は生じないということはできます。これは、補助的な機能しか果たさない場所を、支店等の恒久的施設をから除外している効果といえます(法令185の2)。しかし、情報提供をするといっても、これは本店のためだけに限定されていますので、本店がペーパーで、関係会社のために情報提供している場合は、これに該当しないこととされていますので、課税関係が生じることになります。
 支店登記をされるということは、支店活動という事業を行うために登記するという大前提があることに注意する必要があります。単に、情報収集して本店に情報を提供する場所を設けるのであれば、駐在員事務所にすべきです。
 以上、アウトラインを説明しましたが、現況の外国法人課税のアグレッシブさを考慮すると、あまり単純に考えるのは危険ではないかと思います。具体的な課税関係については、顧問税理士などの専門家に相談されることをお勧めします。