早まるな!辞表は後に戻らない!

 平成12年5月に退職を決意し、1年の準備期間を経て、平成13年7月10日に退職した私の経験と意見を参考までに述べます。
 結局、私は幸運だったようです。退職前の公務員だった時と同程度の生活は確保できそうになったのですが、これから定年前に退職をされる方は、以下に記述する項目をご自分に照らして検討してみてください。
 退職すると、気分が変わることは確かです。
 しかし、H氏事件以後の状況を総合的に判断すると、余程の実力があると思う人(自分では実力があると過信していた!)以外の人は、十分な準備期間を設けてからでなければ、定年前に退職すべきではないと思います。

退職するまえに(辞職願いを提出前に考えておくべきこと)

 自分の立場や生活状況を冷静に見てみよう!
 国税の職員の給与は、平均的な日本人の給与に比べるとかなり高いことを自覚しよう。
 年収600万程度で税理士募集をすると、求職者が殺到している現実を直視すべきです。それだけ、税理士の資格があっても収入が少ないことということです。
 現役の時の年収をいうと、それだけもらっていてどうして辞めるのですか、とよく言われる。それほど、収入の面では恵まれていることを考慮したうえで、それでも、定年前に退職する理由があるのかを考えてみるべきです。
 何かの勢いだけで、退職すると、きっと後悔しますよ!

<付随>

 自分の仕事と収入を比較してみることが大事。同じ仕事を民間の人がしているといくらもらえるのか、と考えてみるべき。公務員の場合、35歳程度を境に、民間の人たちの収入が伸び悩む中で、定昇がある公務員にとっての待遇の良さがでてくるようだ。
 税理士資格を持っていても、年収500万円にならない人もたくさんいることを理解しておくべきだ。
 差別化するか、会計業務を効率的に大量にこなすかかが、通常の生きる道ではないか。

<私の場合>

 自分の基礎的な生活に必要な金額を考えた。月50万程度と。
 住まいは、社宅を出て行かなければならないが、実家があるので、そこで家族が住む。家賃はただ。ただし、交通は不便。
 昔の上司で税理士をしている人に月20-30万の保証をもらい、そこの事務所の仕事を手伝いながら、国際課税関係の仕事を探す。
 退職金があるので、それで不足分を補い、2-3年様子をみて、見込みが無いときは、改めて、大手の会計事務所に就職する、というのが私のプラン。

住宅ローンの返済は大丈夫か

<付随>

 ローンがあるかどうかは、決定的な理由にはならないようだ。退職後、いろいろな人に会ったが、中途で退職した人で、ローンの有無を問題にしている人は少なかった。
 要は、返済に見合う収入を見込めるか、収入があるまで耐えられるかではないか。

<私の場合>

 幸運なことに、自分の家をもっていないので、住宅ローンはなかった。
 が、住むところがなかったので、中古住宅を購入して、ローン持ちになった。
 社宅程度の民間住宅の家賃の支払額が思ったより高かった。そこで、同じ金額を支払うなら自分の持ち家をと考えてしまった。中古の土地付なので、いざとなれば、土地部分だけでも回収できるはずと楽観している?

子どもの教育資金は大丈夫か

<付随>

 大学生一人で最低年間100万は追加負担になる。これは大きい!

<私の場合>

 いざとなったら、子供たちを働かせるか?義務教育で終わり?といったら、子供たちから非難の声が沸きあがった。
 そこで、退職金等で、2-3年はなんとかなる(楽観)ので、その間に将来に目途が立たないときは、また、会社員(の税理士)に戻るということにした。
 今(H14.2)は、5年間は頑張ってみようと考えている。

退職すべき理由があるのか

 目的がハッキリしていないと、生活に流される。
 かといって、何となく現状に不満というだけなら、結論を出すのは、時間の経過にゆだねるのも一法では?

<付随>

 いつでも辞められる!

<私の場合>

 何かきっかけがあれば、辞めたかったが、居心地がよかったので、ずるずる25年間勤務してしまった。
 自分の人生の残年数を考えると、そろそろ潮時とおもって、辞めることにした。退職の考えを翻すと、後日後悔すると思って、勢いがあるうちに辞めてしまった。(まだ、後悔はしていない。)

退職後何をするのか

 税理士資格があるのか、それともまったく別の職業に就くのか。
 それぞれによって、進むべき方向と準備が異なってくる。

<付随>


 現状程度の収入を得るのに、2-3年は我慢といわれている。ここでも現状の収入の良さが障害になってくる。
 安定した職を棄てて、土日なしで働くと徐々にお客がついてくると・・・(いう保証はない)。

<私の場合>

 学校に行っている子供がいるので、当面は、税理士をすることに決めていた。
 それ以外に、現状程度の収入を確保できそうもなかった。

退職後の生活設計

 税理士資格だけでは食えない!
 何か、「売りーセールスポイント」がありますか?しかし、何でもやるという生き方もある。
 アクティブに活動している国税OBの数は以外に少ないのでは?(新聞報道のような人たちもいますが、我々とは別。)

<付随>

 全国に、税理士は税務職員と同程度登録されている。体が動くうちは、何でもやる覚悟が必要。
 しかし、ずるずるしていても、ほどほどに食べている人がいるのも事実。

<私の場合>

 何とかなっている。が、国際課税だけでは食えない、というのも現実。
 そこで、このHPを公開(後悔)して・・・・・・

退職後の状況&登録後

 退職しても税理士登録に最低2ヶ月、通常は3ヶ月かかります。その間、活動はできません。何をするのか、で困るといわれている。その間は、当然、無収入状態です。これが堪えます。
 そして、営業開始です。 通常、指定官職で退職された人たちは忙しいです。そうでない人たちは、客探しで奔走するので忙しく(動け)、といわれていますが、通常の飛び込みの営業と異なり、無差別に個別訪問しても徒労に終わることが多い?口コミで客が増えるのを待つのが常道か?
 黙って座っていても(失礼!)収入が入っている公務員生活が懐かしくなります、といわれています。
 会う人の範囲と数が公務員の時と変わりますので、変化に富んでおもしろい、という見方もあります。

<付随>

 税理士報酬は10%の源泉徴収された後の金額が振り込まれます!
 当たり前のことですが、収入で考えていると、手取りが少ないのでキャッシュフローに行き詰る?

<私の場合>

 私の場合は、8月中旬まで原稿書きをしていた。8月下旬に海外旅行へいった。
 8月末に税理士登録後、翌年の1月中旬まで、少し大きい税理士事務所の仕事に従事などをしていたので、有給休暇なしで週休1日程度の毎日。
 国際課税の「国際」は、どこへ行った?そこで、平成14年1月下旬に韓国旅行をした。
 いま(H14.2)は、調査の立会いが重なったり、確定申告の手伝いやら、このHPの作業などで、・・・・・

 皆さん、参考になりましたか?

(2001年12月4日 改訂2002年2月14日)