定年まで、そして再雇用で65歳まで働くのも、一つの選択である!

 これを読むのは、退職しようかなあ、などと少しは考える人なので、当然、定年まで公務員を続ける予定の人にとっては、何を今さらいっているのか、ということになりますが、あくまでも、退職を考える人に対するコメントであることに留意願います。
 指定官職の人が定年退職前に退職された場合には、定年の年まで(通常2年)の生活保障というか斡旋があります。これは、新聞にもでていたようですが、平均すると900万円程度とでていたようです。平均とあるので、当然、税務署の指定特官の場合は、それよりも低くなるようです。2年後の更新の時に、顧客企業から特に延長を希望されない場合、それで終わりになるようです。60歳から65歳までは、独自に開拓した顧客からの収入によることになります。
 現在、退職される方は、年金の早期支給の特例が適用されますので、税理士の収入がなくなっても、年金収入がありますので、それなりの生活はできることとになります。
 一方、現在、私のように非指定官職で退職すると、当局の支援は一切ありません。自分で顧客を開拓するしかないのです。また、年金も、65歳まで支給されないのです。それでも、私の場合は、記憶によると、61歳で職域部分の年金が支給になります。(5万から7万円程度?) 
 これで、将来が大丈夫なのでしょうか?
 年収300万円といっても、この頃は驚かなくなりました。先日、高校の同級生(荒川区の商店街で個人経営)と話していて、年収300万なんて、商店街で働いている店員の中にはほとんどいないよ、といわれた。もっと高いのかなと思っていると、毎月、15万円から17万円(当然税込み、年収だと250万弱程度か)払えればいいほうで、20万円だと高いほうだ!といわれてしまった。
 アルバイトの求人誌などを読んでいると、当然のように月給20万が多いので、そんなものかなと思っていたのだが、現実に、知り合いからそのように言われると、改めて給料のデフレが浸透していることに、驚かされる。
 現役の国税職員の人たちは、どう思いますか。
 自分の小遣いは少ないし、教育費はかかるし、海外旅行などめったにいけない、同僚達と自由に飲みにいけない、など不満があると思います。自分の能力や働きからすると処遇や待遇が悪いなど、ストレスが多い職場にしては、給料が安いと思われるかもしれません。
 公務員の世界の給与のデフレ化は非常にゆっくりしています。そもそも、給与の上昇が民間に比べてかなり遅れていたとの関係もあるのでしょうか、民間での給与のデフレ化、アウトソーシングの流れの速さに比べると隔世の感があります。
 今年いただいた年賀状の中で、同世代の何人かから、「今年中に退職します」とありましたが、それだけの覚悟(と目的)があって退職されるのなら、それは自己責任の世界で結構なのですが、ただ何となく不満だから退職しようと、と思われたのでしたら、今一度考える時間をとられたらいかがかと思います。
 今、退職して食べていけそうなのは、(1)調査部の審理課で10年ぐらい経験をつんだ人(個人経営で開業しても十分需要があります)、(2)国際課税に精通している人(個人経営ですと顧客が見つかりませんので、大手の税理士法人や弁護士事務所に所属することになります)だと思います。それ以外の人は、ちょっと退職を勧められません。
 時々、人脈があるという人がいますが、今時、一人も顧問税理士を抱えていない会社はほとんどありませんから、その顧問税理士と交替してもらうか(これは大変、場合によっては、交替させられた税理士が税理士会へ何かとイチャモンをつける可能性があります)、もう一人自分と契約してもらうか(二階建てにする)ですが、中小企業は未だ不景気状態ですので、どちらも困難と思います。
 ちなみに、平成13年7月に辞めた人(非指定)のうちの一人が、今、税理士をメインとせず、ガードマンをしているという噂を聞いています。逆にいうと、その他の人は、何とか食べていけている(らしい)という、楽観的な見方もあります。

(2004年1月24日)