タックス・ヘイブンはどこへ行くのか
最近の動き
OECDは、4月18日「タックス・ヘイブン」と判定した7カ国・地域のリストを公表した。
リストに掲載されたのは、アンドラ、リヒテンシュタイン、リベリア、モナコ、マーシャル諸島、ナウル、バヌアツ。
OECDは、00年、35カ国・地域のタックス・ヘイブンリストをいったん公表。掲載された国・地域側には、当初「弱い者いじめ」「主権の侵害」との反発が強かったが、昨秋の米同時多発テロでタックス・ヘイブンへの関心が高まったことが影響し、7カ国・地域以外はOECDとの協力を表明。法改正などの措置を約束した。
7カ国・地域の中には、経済を闇資金にたよっていて透明化に踏み切れない国もあると、OECDはみている。
(出典:朝日朝刊 平成14年4月19日)
初めに
平成13年の前半までは、タックス・ヘイブンに対して、強い逆風が吹いていた。
米国だけは反対すると見ていたら、クリントンの米国政府は、積極的にOECDのタックス・ヘイブン対策に同調したため、予想以上の速さで進捗した。
ところが、ブッシュ共和党政権に変わるや、米国政府は、その態度を一変させた。当然であるが、あまりに前例を踏襲しない態度に呆れている。これで、当面はタックス・ヘイブンへの規制に対して強力なブレーキが踏まれることになったが、OECDの中心は、EU諸国なので油断は許されない。
公務員の在職中から、タックス・ヘイブンの未来はどうなるのかが、気になっていた。金融等の世界では、タックス・ヘイブンを利用することが制度のようになっていたからである。急に変われるものかな?と思っていた。
これから、時間と金が許す範囲でウォッチしていきたい。
(出典:財務省のHPの国際課税関係の資料から 平成14年2月3日)
1998年4月「有害な税の競争報告書」
2000年6月「有害な税制の特定と除去に関する進捗状況についての報告書」
OECDにおける「有害な税の競争」への対応
区分 | これまでの活動 | 今後の作業 |
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加盟国有害税制 | 加盟国有害税制リストの公表(2000年6月) |
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タックス・ヘイブン |
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非加盟国との対話 | 非加盟国ハイレベル・シンポジウムの開催(2000年6月) |
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タックス・ヘイブンの判定基準(OECD認定のタックス・ヘイブンの国と地域)
以下の1の要件に該当し、かつ、2〜4のいずれかに該当する場合に、タックス・ヘイブンと判定される
- 金融・サービス等の活動から生じる所得に対して、無税若しくは名目的な課税であること
- 他国と納税者に関して有効な情報交換を行っていないこと
- 税制を含む法制度について、透明性が欠如していること
- 誘致される金融・サービス等の活動について、実質的な活動が行われることが要求されていないこと
有害税制の判定基準(加盟国の有害税制のリスト)
以下の1の要件に該当し、かつ、2〜4のいずれかに該当する場合に、有害税制と判定される。
- 優遇措置が、金融・サービス等の活動から生じる所得に対して、無税若しくは低税率で課税していること
- 優遇措置が、国内市場から遮断されていること
(優遇措置の対象が国外からの進出企業とされること、国外からの進出企業は国内市場で取引を行わないこととされていること等) - 優遇措置の運用について、透明性が欠如していること
- 優遇措置を有する国が、他国と納税者に関して有効な情報交換を行っていないこと