東京海上40億円所得隠し 国税局指摘 新型地震再保険で「誤解」審査請求

(出典:朝日朝刊 7月23日)

 損保業界最大手の「東京海上火災保険」が東京国税局の税務調査を受け、保険会社の保険である再保険をめぐり02年3月期までの5年間に約40億円の所得隠しを指摘されていたことが分かった。
 保険料が戻る新しいタイプの地震再保険(ファイナイト型再保険)について「返還の可能性がある以上、保険料を経費にするのは不適切」と認定された模様。
 これに対し同社は、「欧米では定着した商品で、保険料は経費と認定されている」と主張。22日審査請求をした。

 保険の取扱いについて、我が国と欧米でかなり異なっていることは、あまり知られていないようである。外国再保険会社のPE認定でも問題となったが、ここらあたりにも、「誤解」が生じる可能性が大きい。
 損害保険の場合、基本的な計算単位は、1年であるため、欧米では、支払ったときに経費、剰余金が返還されたときに利益とする、備金についても、企業が合理的と考える計算を認めている場合が多いようである。
 我が国には、保険だけを専門とする税理士はいないようであるが、欧米には、保険だけに特化している人もかなりいるようである。この点も、誤解が生じ易い一因ではないのか。

ファイナイト型再保険
 損害が生じなければ保険料の一部が保険会社に戻り、損害が生じれば、必要となる保険金を支払の一部を保険会社も負担する再保険。再保険会社のリスクが減る。このため、自然災害のようにいったん発生すれば巨額の保険金支払い義務が生じるケースでも、再保険契約が結びやすい。