国際取引課税を強化 ファンド収益源泉徴収自民税調方針

(出典:日経朝刊 12月6日)

 自民党税制調査会は5日、国境を越えた投資による租税回避の動きを抑えるため、国際取引への課税を強化する方針を固めた。
(国際取引の課税強化案)
・投資ファンドを通じた日本での投資所得に源泉徴収を導入
・日本の不動産会社株式の売却益を一定の条件付で課税対象に
・株式を大量に売買する際の課税対象を見直し
・移転価格税制の対象となる海外グループ会社の範囲拡大

海外ファンドの日本投資所得 源泉徴収を導入へ 徴税強化へ財務省方針

(出典:日経朝刊 12月2日)

 財務省は、海外の投資家が投資ファンドなどを通じて日本に投資した場合の課税方法を強化する検討に入った。
 これまで投資家の自主的な申告に頼っていた徴税方法を見直して新たに源泉徴収を導入することなどが柱で、投資家の租税回避を防ぐのが狙い。
 来年度の税制改正での実現を目指し、与党の税制調査会と協議を開始する方針だ。
 投資ファンドの一種である民法上の組合などが事業活動で手にいれた所得は、組合の出資者である投資家が納税しなければならない。現行制度では、海外投資家は一部を除き申告制で納税する仕組みになっており、徴税もれが多発しているとの指摘が多い。このため新たに源泉徴収制を導入することで、日本の税務当局が確実に税金を徴収できる仕組みに変えたい考え。

 また、源泉徴収による課税の強化。
 源泉徴収という課税方法をとることにより、徴収の対象が海外の投資家から国内の当該所得の支払者に転換することができる。徴税費の最小化という税の理論にかなっているが、賛同できない。
 源泉徴収の一番の問題は、国際税務等に素人の人にも、専門的な知識を前提に源泉徴収を求めることである。今回のような投資ファンドがらみの所得について正確な知識を有している人は極めて少ないというのが現状だろう。
 現在の源泉徴収の実務を概観していると、「後だしじゃんけん」のケースが多い。条文の文理解釈ではそのように解釈できるかもしれないが、それ以前にそのような調査がされていない状態で、突然「変更」の形で課税されるからである。これをもって「徴税漏れが多発している」というのであれば、納税者が可哀想である。
 事前に十分な周知・広報を行い、そして、十分な準備期間を置いた後に調査による課税であれば納税者も納得できるのであろうが、現行の税務行政はそのようになっていないと、考えるのは私だけであろうか。
 そろそろ、どのような場合に課税されるかという具体例を挙げた基本的な課税情報を公開する時期にきているのではないか。