海外投資家への源泉徴収方針 ファンド9社が反対

(出典:日経夕刊 2月2日)

 有力投資ファンド9社が結束し、与党が打ち出した海外投資家に対する課税強化の方針に反対の声を上げている。実現すれば海外からの投資意欲をそぎかねないと主張し、反対意見書を財務省主税当局に提出した。9社は、今後も課税ほうなどについて共同で意見表明していく方針だ。
 外国人投資家が投資ファンドを通じて日本で得た所得に対して源泉徴収を導入するとの方針は、与党が昨年12月に策定した2005年度税制改正大綱で打ち出した。 これに対し、アドバンテッジパートナーズ(AP)やユニゾン・キャピタル、外資系のカーライル・グループなど9社が共同で反対意見所を提出した。
 ファンド側は、「先進国では投資家の居住地国での課税が一般的」と反論。リスクマネー流入が細りかねず、対日直接投資の拡大をうたう政策目標に矛盾すると主張する。
 財務省は、「新たな増税策ではない。現行制度で課税対象になっていながら、出来ていない分野の徴税を適正化する措置」とし、対日直接投資を増やす政策目標とも矛盾しないと説明している。

 今回の改正は、そもそも国内にPEを有しない外国法人等→正しくは、国内にPEを有する外国法人が、確定申告の対象となっている「国内にある資産の運用・保有所得」について、源泉徴収の網をかぶせただけなので、確定申告で納税すべきものを、源泉徴収で予め納税を確保していくというだけである。
 その意味で、財務省の主張は正しい。
 ポイントとしては、たぶん(1)だれが源泉徴収義務者になるのかが明確ではないこと、(2)国外で支払われた場合に、「みなし国内払い」の制度をとるのか等の問題を指摘することができる。さらに、当該国内にある資産の運用・保有所得のうち、国内での事業に係るものに限ることにされていることから、課税当局サイドでは、PE認定をするのではないかとも指摘されてきている。
 今回の改正では、国内にPEを有する外国法人の総合課税される所得のうち、国内において行う事業から生じる所得については源泉徴収の対象とせず、国内にある資産の運用、保有所得のうち、ファンドが関係するものを源泉徴収の対象にするようだ。ただし、そもそも国内にPEを有しない外国法人に係るものは源泉徴収の対象から除外されているようだ。
 これで実効性が担保されるのかと思われるが、穿った見方をすると、それらのファンドによる活動については、そもそも国内にPEがあると課税当局では想定しているようようなので、実効性は担保されるということのようだ。
 それにしても、課税上の取扱いが上記にようになるのであれば、何らかの形で公表してもらいたい、と思うのはいつもながら私だけだろうか。
(情報を整理して、後日アップの予定)