海外口座 財テク 脱税 7億6000万円隠す 東京国税局告発
(出典:朝日夕刊 3月29日)
海外の賞品先物取引など財テクでもうけた約7億6千万円を申告しなかったとして、東京国税局が東京都豊島区の元会社員の無職男性(64)を所得税法違反(脱税)の疑いで東京地検に告発したことがわかった。カリブ海にあるタックスヘイブン(租税回避地)に設立したペーパー会社名義の口座などに、05年までの2年間で所得を隠し、所得税約2億7千万円を逃れていたという。
男性の説明や関係者によると、男性は04年、シンガポールの大手銀行に自分名義の口座を開設、同年に死去した父親から相続した遺産の現金約2億円を送金した。また、タックスヘイブンの英領バージン諸島に設立シタペーパー会社名義の口座にも、父親の試算だった数億円を送金したという。
男性は、これらを証拠金にして、銀行の子会社で原油先物取引や外貨為替証拠金取引などをしていた。自分名義で約2億7千万円、ペーパー会社名義で約5億円の運用益を、04年と05年に得ていたとみられる。ペーパー会社名義の口座の取引明細書は男性が管理していたという。
男性は、「06年に入って大きく損をし、海外だからばれないと思って申告しなかった。反省している。個人名義については既に修正申告した」と話している。ただ、ペーパー会社名義の口座で運用した分については、「あくまで知人の会社で、自分はアドバイスをしただけ。利益は自分のものではない」としている。
国税庁によると、昨年6月までの1年間に、海外での資産運用など海外投資をしている個人に対する税務調査は647件で、1件あたりの申告漏れは所得額は1329万円だった。
まず、相続した遺産を海外に送金したというのがポイントのようである。
新聞記事のように、会社勤務のときに、このような多額の運用(副業)が、就業規則等で許されているのかというのも、申告しずらい遠因になっていたのではないか。
今回は、自分名義の取引も、海外口座を利用したことで、脱税と判定されたようである。
脱税額は大きいものの、元金も大きいので、運用実績としては、あまり対したものではないようであるが、金額が大きいと、脱税で告発されるということである。
タックスヘイブン国のペーパーカンパニーについては、法人が出資していた場合だけでなく、個人の場合もタックスヘイブン対策税制の適用がある。
日本の居住者である限り、海外での所得も申告しなければならない。