日本マクドナルド 藤田争点との契約解消 創業者色を一掃、解約金62億円、特損に
(出典:日経朝刊 12月20日)
日本マクドナルドホールディングスは19日、創業者である藤田氏のファミリー企業、藤田商店(東京都港区)への経営指導料支払いを12月末で取りやめると発表した。
藤田氏は、経営から退いており契約解消で、藤田色は一掃される。解約金は、12億4900万円。
マクドナルドは、全店の年間売上高の0.5%を藤田商店に2030年まで30年間支払う契約を結んでいた。店舗立地や商品に関する情報を得ていたが、年間20億円超の支払いが収益を圧迫していた。
経営指導料は、1971年の創業時から30年間、全店売上高の1.0%を支払っていたが、契約更新時の2001年からは0.5%に引き下げた。
外国親会社へ経営指導料をいくら支払うべきかは、移転価格税制の中では、かなりウェートを占めている課題だと思う。
内国法人が内国法人に支払っているものとはいえ、経営指導料が売上の1%が税務上適正なのかは気になるところではある。
本件では、店舗立地や商品に関する情報をえていたとあるが、国外関連者に支払う場合は独立企業間価格によらなければならない。
直感的には、高額だなと思ってしまう。0.5%で20億円だから、1.0%の時だと40億円以上になる。40億円以上の価値のある店舗立地や商品に関する情報というものが、どの程度のものか知らないが、どちらにしても、国外関連者に支払っていれば、目立つ取引であることは確かである。
この種の取引で難しいのは、一種、成功報酬的な要素も加味されることである。本件では、同様のコンサルタント業を比準するのであろうが、第三者間の取引で、たいした情報も提供したとも思えない(労働の原価でみると少額という意味)のに、取引事体が大きいので、その報酬も大きいという場合もあるからである。
移転価格税制が適用される場合、立証責任は納税者にあるので、この種の取引は専門家等の意見を参考にして行うべきだと思う。中小企業などでは、国内で特定の取引をしても税務上指摘されていなかったから、海外の子会社と同種の取引を行っても大丈夫だと勘違いしている例が多い。国内間の取引と国外との取引では事情が違うことを理解すべきである。
円と元 第3部 リスクに挑む
(出典:日経朝刊 12月14日)
今年10月、日本の大手家電メーカーの上海合弁工場など複数の中国拠点に中国当局の税務調査が入った。
(日本企業を標的)
当局は、このメーカーが中国拠点から国外販売会社への製品輸出価格を意図的に低く設定、本来は中国に残るはずの利益が海外へ流出したと判断しているもようだ。「移転価格税制」がそのよりどころだ。
中国では、すでに法人税収の3分の1を外資が占めるが、移転価格税制を新たな税収源と目をつけた。
税務関係者によると、2001年に当局は1200社を調査、40億元(約520億円)の所得の申告漏れがあったが、日本企業がその半分近くに達した。
日本企業は、取引価格などで利益を調整する傾向が強いためだ。
やっと、中国で本邦系企業に対する移転価格調査が始まったようである。
巷の噂では、中国では、日本企業が安易に撤退できない状況になった段階で、移転価格調査を本格化させるのではないか、といわれていた。
これで、中国での事業に対する税務リスクがより鮮明になったようである。
「インペリアル・コンソリデイティッド・グループ」事件 被害120億円! 海外高利回りファンドの罠
(出典:プレジデント 12月12日)
長引く不況と低金利から、最近わが国で、海外で運用する金融商品が脚光をあびている。・・・国内では考えられない高利回りを定時する業者も増えてきた。・・・日本国内の二百数十名の投資家から120億円強を集めて破綻した「インペリアル・コンソリデイティッド・グループ」事件だった。
これは、1990年代前半、リンカーン・フレーザーとジャレド・ブルックという2人の英国人が創業した投資会社で、98年に日本に進出して顧客の勧誘を開始した。
日本での代表者は、外資系金融機関での豊富な勤務体験をもつ今津雅夫氏で、東京・赤坂のオフィスを拠点に個人や法人向けの資産運用サービスを開始した。
彼らが販売した目玉商品の一つが「年利率8.5%の確定利付き・元本確保型の円建てファンド」だった。
(以下、背景等の説明)
12月ごろの新聞記事では気がつかなかった。1月になって、顧客のところにある雑誌を読んで気がついた。
当時、国内の銀行の預金金利(1年定期)が0.03%。少しは考えろ!といわれるのではないか。
外債投資であっても、確定利付であれば、リスクがないということなので、通常は、円金利に収束するのが常識である。
元本保証というのはありえても、元本と利息までの確定はありえないのではないか。
この種の会社から税務相談されなくてよかった!
一部分だけ説明されただけでの相談だと、個々の部分に区切るとそれほどおかしくないので、私のところに来られたら相談にのってしまいそうだ。自戒。
衆院選、選択の後に
(出典:日経朝刊 11月12日)
・・・経済産業省の幹部は「節税には血眼なのに年金や健康保険の負担には無頓着な経営者がまだ多い」と話す。
2003年度に企業が納める法人税は9兆1千億円、年金保険料は10兆5千億円に達する見通しで、企業の年金負担は既に法人税を上回った。
厚生労働省は、厚生年金の保険料率を将来20%程度に引き上げるための法改正案を来年の国会の提出する予定。
このとおりになれば、個人と企業の負担はともに5兆円増えると同省は推計する。日本経済の成長力が低下している中で、経営者にとっては政府が過去15年間に進めてきた法人税率の引き下げが帳消しになるほどの帳消しだ・・・・・・
驚いた!
公務員の時、手取りの少なさに疑問をもつと、共済年金の掛金(厚生年金の保険料)の金額の大きさに驚いたものである。
今後の展開に注目しなければならないが、そろそろ、身軽な政府、身軽な年金という選択肢を真剣に考えてもいいのではないか。
減損会計の適用指針発表「簿価を5割以上下回る」「3期連続して営業赤字」
(出典:日経朝刊 11月1日)
企業会計基準委員会は、31日、2006年3月期から義務化される固定資産の減損会計の適用指針を正式に発表した。
工場や店舗などの固定資産で時価が簿価を5割以上下回る場合や、3期連続して営業赤字が見込まれる場合は、損失候補の候補にする。
減損会計の詳細が決定。
米社オランダ法人 「税逃れ」19億円追徴 処分不服と提訴
(出典:朝日朝刊 10月10日)
米国の医療機器販売会社「ガイダント・コーポレーション」グループのオランダ法人が、日本で得た所得約44億円を申告せずに、東京国税局から「税逃れ」と指摘されていたことがわかった。
国税局は、日本・オランダ間の租税条約や、事業に関与せずに利益が分配される匿名組合契約を使って両国で課税されないようにしたとして、無申告加算税を含めて19億円を追徴した。同社は、処分の取消しをもとめて東京地裁に提訴した。
処分を受けたのは、「ガイダント・ネーデルランド・ビーヴィ」。国税不服審判所に審査請求したが棄却され、9月に提訴した。
関係者によると、同社は95年、出資額に応じ利益が分配される商法上の匿名組合契約をグループの日本法人と締結。事業資金の9割に当たる9億円を、日本法人も1割の1億円を出資し、グループの医療機器などの国内販売事業を展開した。
同社は、契約が終わる98年までの4年間、毎年利益の9割、10億円前後を日本法人から得たが、分配金は、日・オランダ租税条約上、日本の課税権が及ばないため所得を申告しなかったという。
しかし、国税局の調べで、同社や日本法人の資本金、匿名組合の出資金はグループ内から調達され、契約の締結や解約、重要な経営判断は、グループ本社の意思決定に基づいていた。
国税局は、グループ一体の事業と判断。同組合契約では、出資者は事業に関与しないが、実態は同社と日本法人との共同事業だったと見て「契約上は匿名組合だが、実態は違う」と認定した。その上で、日本法人の本店・支店は、同社の事業拠点でもあると指摘。日本支店など「恒久的施設」があれば条約上、課税権が生じることから、分配金に課税したという。
オランダ税法上、オランダ法人が海外の恒久的施設で得た所得は非課税となる。同社は、オランダでも課税されていないことから、オランダ当局には「日本に恒久的施設がある」と説明したと国税局は見ているようだ。
同社側は、「日本法人の事業に参加したり、日本の事務所を使ったりした事実はなく、オランダ当局にも(恒久的)施設があると説明していない。匿名組合契約である以上、日本に課税権はない」と主張する。
銀行税訴訟和解へ 都と銀行税率0.9%で 都差額など2300億円返還
(出典:日経朝刊 9月13日)
東京都が大手銀行に対象を絞って導入した外形標準課税(銀行税)条例を巡り銀行側が納めた税の返還などを求めた訴訟で12日、双方が最高裁で協議、税率を3%から0.9%に引き下げ、銀行側15行が納めた3年分の税金の差額など約2300億円を返還することで和解する見通しとなった。
都は、18日に始まる都議会で税率引き下げの条例改正を提出する。
税務訴訟で、裁判での和解という方法があるということが明らかになった点が大きいのではないか。
また、和解の実施方法が、条例改正により過去に遡及するとは考えていなかった。「目からうろこ」だ。
国税なら、税法改正で過去に遡るのか?国会での紛糾を考えると、到底実現可能とは思えない。さすが石原都政である。
海外子会社への株式購入権付与、米、子会社側に費用計上義務づけ
(出典:日経朝刊 9月4日)
米財務省と米内国歳入庁(IRS)は、米企業が海外の子会社の従業員などに対して付与したストックオプション(株式購入権)について、子会社での費用計上を義務付ける新規則を決めた。
これに伴い海外での納税額は減るものの、親会社の税負担増にはね返る可能性がある。
米財務省は、ストックオプションも付与時点で実質的な価値を算出するよう求めている。
海外(日本)子会社が、この種の費用計上を、その時点に損金に算入できるかは、問題と考える。どのような形での費用計上になるかは不明であるが、わが国でも、さすがに、付与した時点での課税は行っていないので、それとの関連で、費用計上は、実際に行使して確定したときと考えるのが普通ではないのか?
したがって、単純に海外での納税額がその時点で増えるとは断定できず、かえって、米国での収益計上だけ先行するのではないか?
また、ストックオプション付与時点での実質的な価値の算出を求めるというが、そんなことが可能だろうか。仮に、オプションの理論値を算出することで可能だとしても、それを基に課税するというのが、本当にいいことなのかは、別問題ではないか。オプションを行使しなかった人(株価が下落した場合)は、当然、異議を申し立てよう!会計上と税務を直にリンクする危険性が感じられる。
ただ、米国は、朝令暮改の国なので、今後の展開を注意深く追いかけて見たい。
500億円賠償訴訟 京セラ米再審理で敗訴
(出典:日経夕刊 9月1日)
京セラは、米社に対する経営再建と製品供給の契約をめぐり約4億5300万ドル(約525億円)の損害賠償を命じられた控訴審について、8月29日(現地時間)に米国第9巡回区控訴裁判所の大法廷での再審理で敗訴したと発表した。
判決は、京セラが控訴する前の1994年に連邦地裁に2億5700万ドル(約298億円、金利は除く)の損害賠償を求めることを認めた仲裁判断を支持。京セラは、不服として連邦最高裁判所への上訴を検討する。
同訴訟は、ハードディスク駆動装置(HDD)開発の米ラパイン・テクノロジー・コーポレーション(LTC)など二社が起こしていた。
米国での損害賠償は、桁違いだ!
損害賠償金に対する課税の問題は難しいところが多いが、本件で、日本法人が、米国法人に損害賠償金を支払った場合、使用料として源泉徴収の対象になるのであろうか?
(どちらにしても、日米租税条約の改定後は、免税となりそう。)
海外での税優遇法人税控除せず 財務省二国間協定撤廃へ
(出典:日経朝刊 8月28日)
財務省は27日日本企業が進出先の国で税の優遇を受けた際に日本の法人税負担が重くならないようにする「みなし外国税額控除制度」について、相手国との交渉で撤廃をめざしていく方針を明らかにした。
「みなし外国税額控除」が撤廃か?
経団連は、反対しないのか?
政府 対日投資促進実務者チーム
(出典:日経朝刊 7月27日)
政府は、対日投資会議(議長・小泉首相)で決めた海外からの投資の受け入れ促進策を推進していくために、実施体制を強化する。
具体的には、各省庁の局長級などを構成メンバーに、実務を担う「促進チーム」を新設する。担当や実施期限を明確にすることで、実効性を高める。
対日投資会議は3月下旬に行政手続きの簡素化や内外への情報発信など多岐にわたる投資促進策を決めたが、財界人などから「取り組み姿勢が見えてこない」との指摘がでていた。このような背景から、内閣府を中心に体制強化を検討してきた。オブザーバーとして、ジェトロや日本政策投資銀行も参加する。
初回の会議では、各省庁やジェトロなどがこれまで実施した対策についての成果などを報告する予定。
民間に直接投資促進策のパブリックコメントを求めたらどうか。公務員に対する倫理法の縛りがきついためか、民間の情報が吸い上げられているのか疑問である。
国税の今回の異動で、外資系企業(外法を含む)に対する調査体制は一層強化されてきているように思える。TPと外法にそれぞれ特別調査官が増員されたからである。
国際課税の適正課税が必要なのは当然である。
しかしながら、現状では、「何が適正な課税なのか」の基準が示されていないと思われる。この対日投資促進策の一環で、課税環境の明確化が望まれる。
このままだと、あいまいな執行基準を嫌って、投資ファンドの資金が日本をパッシングしていく可能性が強いのではないか。世界を見渡すと、南米の不良債権市場なども待ち構えている。投資ファンドは、稼げる場所を選ばないからである。
外資系金融機関の東京市場からの撤退をみると、杞憂にならなければと思う。
年金保険料、日米二重払いを解消 企業の負担軽減、2005年春発効
(出典:日経朝刊 7月26日)
日米両政府は、両国の会社員が相手国に赴任した場合に、公的年金や医療保険の保険料が自国と相手国で二重払いになっている状況を解消するため、社会保障協定を締結する。
やっと、実現する。
会社負担になっていたため、企業が悲鳴を挙げた結果か?現状では、その程度の負担も、企業にとっては死活問題になってきているのかもしれない。
注※既に、ドイツ、英国と年金制度についての社会保障協定を結んでいる。
大証相場操縦 元副理事長を在宅起訴
(出典:日経朝刊 7月26日)
大証の相場操縦事件で、大阪地検特捜部は25日、証券取引等監視委員会の刑事告発を受けて大蔵省OBの副理事長を証券取引法違反(相場操縦)の罪で在宅起訴をした。
資本主義の牙城である証券取引所でこのような事件が起こったことが、日本の後進性を明らかにしているのではないか。
大蔵省で高官に上り詰めた人が、このようなことをすることが信じられない。そして、それを止められなかった事が悲しい。
もともと証券会社が信用できないのは今に始まったことではないが、それを監視する立場にある証券取引所も、「証券所も、おまえもか!」ということが問題である。
東京海上40億円所得隠し 国税局指摘 新型地震再保険で「誤解」審査請求
(出典:朝日朝刊 7月23日)
損保業界最大手の「東京海上火災保険」が東京国税局の税務調査を受け、保険会社の保険である再保険をめぐり02年3月期までの5年間に約40億円の所得隠しを指摘されていたことが分かった。
保険料が戻る新しいタイプの地震再保険(ファイナイト型再保険)について「返還の可能性がある以上、保険料を経費にするのは不適切」と認定された模様。
これに対し同社は、「欧米では定着した商品で、保険料は経費と認定されている」と主張。22日審査請求をした。
保険の取扱いについて、我が国と欧米でかなり異なっていることは、あまり知られていないようである。外国再保険会社のPE認定でも問題となったが、ここらあたりにも、「誤解」が生じる可能性が大きい。
損害保険の場合、基本的な計算単位は、1年であるため、欧米では、支払ったときに経費、剰余金が返還されたときに利益とする、備金についても、企業が合理的と考える計算を認めている場合が多いようである。
我が国には、保険だけを専門とする税理士はいないようであるが、欧米には、保険だけに特化している人もかなりいるようである。この点も、誤解が生じ易い一因ではないのか。
ファイナイト型再保険
損害が生じなければ保険料の一部が保険会社に戻り、損害が生じれば、必要となる保険金を支払の一部を保険会社も負担する再保険。再保険会社のリスクが減る。このため、自然災害のようにいったん発生すれば巨額の保険金支払い義務が生じるケースでも、再保険契約が結びやすい。
米ローンスター380億円申告漏れ 投資ファンド租税回避行為認定
(出典:読売朝刊 7月16日)
米投資会社ローンスターの投資ファンドが、東京国税局の調査を受け、一昨年までの4年間に総額約380億円にのぼる巨額の申告漏れを指摘されたことが16日明らかになった。
同国税局は、国際的な租税回避行為と認定し、無申告加算税を含め約130億円を追徴課税した。
他紙の記事等を総合して判断すると、匿名組合形態による投資についてPEを認定した事案のようである。
「匿名組合所得=その他所得」とする伝統的な考え方をする人たちからすると、とんでもない課税だと考えてしまうのではないか。
国税の部内の中では、匿名組合形態による投資であっても、その実態によっては、事業から生ずる所得と考える人たちも多く、その人たちにとっては、事業から生ずる所得なのだから、「事業を行う一定の場所」を認定できれば、当然、PE認定による課税ということはありえることになる。
どちらにしても、課税されて始めて、当局の見解がはっきりするというのは、納税者サイドからは大いに不満の残るところであろう。
世界の資産家 資産伸び率最低 米社リポート、昨年分
(出典:日経朝刊 6月18日)
米メリルリンチとコンサルティング会社キャップジェミニ・アーンスト&ヤングは、2002年の世界の資産家に関するリポートを共同でまとめた。
資産家の保有資産は、27兆2000億ドルと前年より3.6%増にとどまり、リポートを始めたこの7年間で最低の増加率となった。
調査対象は、不動産を除く金融資産で最低百万ドル以上保有する資産家。
今回は、世界で20万人増え、730万人となり、日本は4万人増え、124万人になった。アジア太平洋地域では保有資産が10.7%増加して、5兆7000億ドルとなり、中国、韓国などでの伸びが寄与した。
ここでは資産家の基準を金融資産で百万ドル(1億円超)としているが、オフショア投資の本などでは、金融資産が最低千万ドル(10億円超)が対象となるようだ。
現在の国内の投資利回りを考えると1億円あっても、その利息で生活できると考える人はいない。
一億円以上の金融資産を保有する日本人が124万人もいるのだろうか。
個人金融資産1400兆円割れ 株式が大幅減 現預金シフト
(出典:日経夕刊 6月16日)
日銀が16日にまとめた資金循環統計によると、2002年度末の残高は1378兆円と4年ぶりに1400兆円を割り込んだ。
構成割合:1989年度末→2002年度末
現金・預金:44.3%→56.2%
債券:6.8%→2.9%
株式・出資金:20.1%→5.9%
投資信託:3.6%→2.1%
保険・年金準備金:19.6%→29.1%
その他:5.6%→3.8%
バブル期の日経平均株価が最高値をつけた1989年末の20.1%の水準になっており、株式の構成割合が最低になったようであるが、日本にリスクを積極的にとる資金は存在するのか。
新規開業者やりがいは感じるが・・・・・・長時間労働で収入減
(出典:日経朝刊 6月16日)
国民金融公庫総合研究検収書が実施した1年以内に起業した経営者の実態調査によると、新規開業者は一般労働者を5割以上も上回る長時間労働を強いられ、収入も減少している。
新規開業後、労働時間(拘束時間)が長くなったことには同感。新規開業時は、当然、収入が減るのは普通で、軌道にのったときの比較が重要ではないか。
また、ベンチャーする意欲を減退させてしまうのではないか。
会社員を辞めると、やりがいが感じられるだけでなく、人間関係がシンプルになるのも事実。嫌な人と付き合わないでも、それで生活できればいいわけである。そのようなビジネスモデルを考えればいいだけである。会社員を辞めた以上、そのような生活を考えられなければ、嫌々付き合うしかない。
子会社配当課税を減免 日米租税条約改正で合意
(出典:日経夕刊 6月11日)
日米両国の財務省は、日本時間11日午前、租税条約の改正で合意したと発表した。
日米の親子間の配当や利子について課税を一部免除するほか、税率を引き下げる。
商標・特許・著作権などの使用料(ロイヤルティ)については課税を撤廃する。
両国で批准手続を進め、来年中にも新条約発効を目指す。
日米両国は30年以上前に締結した現行条約がグローバル企業の実態に合わなくなったとみて、2年前に改正交渉を始めた。
現行条約では、米国企業の在日子会社が親会社に支払う配当に日本が税率10%で課税、米国も日本企業に同一条件で課税している。条約改正後は、親子間の支配関係が明確な一部の適格企業について免税とし、その他の企業でも税率を引き下げる。
日米の親子間の利子の支払について現行は税率10%で課税されている。改正後は金融機関などについて課税を免除する。
段々、内容が明らかになってきている。
日米租税条約の改訂内容について、別に、集中して、情報を集めることにする。
商標料 免税扱い 日米租税条約を全面改訂へ
(出典:日経朝刊 6月11日)
日米両政府は、日米租税条約の見直し交渉で最終合意した。
日米間の親子会社間の商標・特許などの使用料(ロイヤルティ)について、日米双方がこれまで税率10%でかぜいしたのを免税扱いにする。
直接投資に対する配当課税などの税率も引き下げる。
両政府は、来年中の新条約の発効を目指している。日米租税条約の全面改訂は、前回1971年以来33年ぶり。租税条約についてはグローバルに活動する企業の展開を阻害するとして、米国側が条約改定を求めていた。
税率の引き下げは、米企業に対日投資の収益向上を意味することから、小泉政権が推認する外国企業の対日投資促進にもつながるとみられる。
今回の改訂では、現行条約制定時には想定されていなかったデリバティブ(金融派生商品)など新たな金融取引に対する課税についても扱いを取り決めた。
忙しくなりそうである。
現在世界の資金の大きな流れとなっている、一旦米国に資金がながれ、そこから、オランダ等の国を通じてわが国へ投資する流れが変化するのだろうか。
注目したい。
信託受託9.5%増 3月末 資産流動化が急増
(出典:日経朝刊 6月11日)
信託協会が10日に発表した信託銀行の受託状況によると、2003年3月末の信託財産の総額は430兆5000億円と、前年同月比で9.5%増加した。中でも資産流動化型信託が27兆2000億円と同37.4%と大幅に増加した。金融機関や企業が、保有する貸し出し債券や不動産を信託銀行に信託して、投資家から資金調達する資産流動化が加速しているのが背景。
年金信託や貸付信託などの資産運用型信託の残高は144兆7000億円で同0.1%の微増にとどまった。
投資信託など資産管理型信託は、237兆3000億円と同11.1%増えた。
資産流動化型の信託の残高が27兆円規模になっている。
「海外債券取引源泉徴収漏れ」住友信託60億円追徴課税
(出典:日経朝刊 6月10日)
住友信託が、海外で行った「レポ取引」と呼ばれる債券の売買取引に絡んで東京国税局の税務調査をうけ、取引の相手先に支払った利子に係る所得税の源泉徴収漏れを指摘されていたことが分かった。
追徴税額は不納付加算税を含め、2001年までの3年間で60億円を超えるものとみられる。
関係者によると、NY支店は保有債券をいったん海外の金融機関に売却、数ヵ月後に一定額を上乗せして買い戻す取引(いわゆるレポ取引)を行ない、短期の外貨資金を調達していた。
国税局は、形式上債券売買の形をとっているが、実質は資金の借入に等しいと指摘。買い戻し時の上乗せ分は、「利子」相当と認定した。
海外支店のレポ取引を売買ではなく金融取引と認定。国内への資金の還流が認められるため、国内において業務所行う者に対する貸付金で、当該業務(国内業務)にかかるものの利子(所法161六)に該当するものとして課税したものと思われる。
レポ取引については、過去の税務の課税実務においては、売買とするか金融取引とするかは、企業の選択に任されていたが、近年、企業会計においては、金融取引に統一されてきたようである。税務においても金融取引に統一されてきているようであるが、これについて、通達等による当局の公式な見解の表明はないようである。
それを受けての課税のようであるが、何かしっくりしないと、感じるのは私だけだろうか。 少なくとも、課税上の取扱いが変更されたのであれば、事前に公式な見解の表明か、担当官の意見の表明があってしかるべきと思うのは贅沢なのであろうか。
全レーンETC車のみ 現金払い不可 新料金所検討
(出典:日経朝刊 6月8日)
国土交通省は、停車せずに高速道路の料金支払ができる自動料金収受システム(ETC)を積んだ車だけを対象とした「全レーンがETC専用の料金所」を建設する検討を始めた。
現金での支払いは受け付けない。
料金所前の渋滞を完全に解消し、運営コストも削減できる。専用料金所ができれば、周辺地域に住むドライバーが一斉にETCを購入する可能性が大きく、搭載率を押し上げる効果もある。
長期的な観点からはそのとおりだと思うが、官僚が思ったようにドライバーが行動するかどうか。私なら、そんな料金所があるところへは行かない。
近年、ゴールデンウィーク、盆、正月の帰省や観光地への渋滞が減ったと感じているのは、私だけだろうか。
話題になったところへ初めて出かける時はともかく、二度目も混雑と割高な料金体系の中での観光、そして、何時までも利用者を考えない割高な高速道路を利用してまで、出かけるのだろうか。
帰省については、完全に減少傾向である。そもそも都会に出てきた人たちの両親が死亡してしまうと、毎年帰省する理由が少なくなってきているのではないか。田舎の過疎化は止まらない。兄弟は他人の始まり。他人の家に、渋滞と現地での不自由を覚悟してまで帰省する人は少なくなってきているのではないか。都会に住みだした人たちの子供にとって、祖父母がいない田舎というのは、毎年行くところではないのではないか。
(私の母親の郷里には、祖母が死亡してから、私は行ったことがない。)
要は、高速道路の運営コストを下げればいいのであれば、完全な民営化をすることにより、実現できるのではないか。
病院、債券で資金調達 厚生省が指針 設備更新や情報開示 医療の質 向上促す
(出典:日経朝刊 5月22日)
厚生労働省は、病院が債券(病院債)を発行する際の共通指針を今年度中に策定する。
主な購入者は地域住民を想定(私募債)、転売を制限して第三者による病院経営への介入を防ぐ。
こんな債券を購入する者がいるのか。
病院が倒産するリスクが顕在化した現在、自由に換金ができず、購入した者にたいする診療の優遇も禁止されている。債権を保有する以外メリットがない債券を、地域住民だからといって購入するのか。さらに、期間は30年以上とある。金利は、新発長期国債利回りを参考に、それを上回る水準で設定するということは、スプレッドが小さいということ。
厚生省としては、規制緩和の最大の課題となっている病院経営への株式会社算入をけん制する狙いのようであるが、世間離れしていると思うのは私だけだろうか。
日本タイFTA会合平行線
(出典:日経朝刊 5月22日)
日本とタイがバンコクで開いていた自由貿易協定(FTA)についての作業部会会合が21日終了。焦点の農業分野では日本の自由化を求めるタイと日本の意見が分かれ、本格的なFTA交渉に移行するかどうかは決着がつかなかった。
近頃、タイの経済は完全に復調してきているようだ。投資環境でも、日本を上回る評価を与えらているためか、安易にタイが譲歩するとは思えない。
相続税課税を拡大
(出典:日経朝刊 5月21日)
政府税調中間答申骨格「消費税、将来上げ」
6月中旬にまとめる税制改革の中期答申の骨格が明らかになった。総勢の課税範囲の拡大、年金受給者への税優遇の縮小、不良債権処理の促進ぜいせいなどを盛り込む。
いつもながら、近頃経済不況に追い討ちをかける施策しかでてこない。また、増税である。これでは、ますます消費の意欲がなくなる。
この時期に相続税課税の拡大を打ち上げてしまうと、平成15年の税制改正で導入された相続税の精算課税が働かなくなるのではないか。一時的に贈与税は安くなるが、相続時に、課税範囲を広げられてしまうのでで、高齢者からの前倒しの贈与により景気対策の一部にしたいという効果が、帳消しになってしまうと思うのは私だけか。
特別目的会社(SPC) 連結基準を厳格化 外部出資10%以上に
(出典:日経夕刊 1月20日)
米国のFASB(米財務会計基準審議会)は、企業がSPCを連結決算の対象から外す際の新基準を決めた。旧基準では、SPCが総資産の3%以上を外部の投資家から出資を受け入れれば、連結の対象から外して会計処理ができた。新基準では、この数値を10%以上に引き上げたほか、企業とSPCの実質的な関係なども考慮して判断することを求めている。
エンロンが甘い旧基準を悪用して多数のSPCを設立、債務を簿外に飛ばす会計操作をしていたことから、会計基準への批判に対応する措置。
平成15年1月以降設立するSPCに新基準が適用される。過去に設立したSPCも本年7月以降は新基準の適用義務。また、連結外となっているSPCに関する情報開示は、2月から公表する決算書に盛り込む必要がある。
SPCは、経営実態のない一種のペーパーカンパニーで、企業が売上債権などを一時的にSPCに売却、SPCにその資産を担保に債券を発行させることで、財務戦略に利用されてきた。
新基準により、米企業の隠れた資産や債務が表面化する例が出てきそうだ。
実質基準を採用したことで、公認会計士の仕事が一段と大変になりそうである。
次に、どんな抜け道がでてくるのだろうか。