武富士前会長長男1600億円申告漏れ 国税局税務調査 個人最高、株贈与巡り
(出典:日経朝刊 3月4日)
消費者金融大手「武富士」の前会長(75日)の長男(39日)が東京国税局の税務調査を受け、1999年12月に前会長らから海外の会社経由で贈与を受けた時価1600億円超の武富士株について
申告漏れを指摘されていたことが3日、分かった。申告漏れ額は個人として過去最高と見られる。
同国税局は、同氏に贈与税と無申告加算税を含め1300億円超を追徴課税した。延滞税を含めると1600億円にのぼる見込み。
同氏は、贈与時に海外に住んでいたことなどを理由に「贈与税を払う必要はない」と話しており、異議を申し立てる可能性が高い(同日の夕刊で、異議申し立てする旨の報道あり。日)。
関係者によると、前会長らは、1998年3月ごろ、保有する武富士の約1569万株を前会長とその妻が実質支配するオランダの不動産賃貸業「Y社」に約1000億円で売却。Y社は、武富士の第二位の株主(当時日)となった。
前会長と妻は、1999年12月、今後はY社の株の9割を同氏に贈与。この結果、Y社が保有していた武富士の約1569万株のうち、同氏に移動した。株価は98年3月時の二倍近くに上昇したため、時価1600億円超となった。
1999年当時の税法では、海外に居住している者が財産を贈与された場合、国内財産にのみ課税すると規定されていた。同氏は当時、香港に居住し、武富士株を買収したY社がオランダの会社だったため、同氏は、武富士株の贈与について申告せず、贈与税も納めなかった。香港では贈与税がないため、香港でも税金を納めていなかった。
しかし、同国税局の調査で、香港に住んでいたとされた俊樹氏が、実際には生活基盤を日本に置いていたことが判明。居住地が日本と認定された場合、国外財産にも課税されるため、国税局は課税できると判断したもよう。
意外にも朝日新聞の一面トップ記事のようである。私は、朝日新聞を定期購読していないので、日経で代用。
改正前の相続税法では、非居住者は、国内財産の贈与についてだけ贈与税を課税されることとされていた。現在はで、日本国籍を有する者は、国外に居住しても5年間は全世界の財産の相続及び贈与について課税されることと規定されている。
どのような証拠等に基づいて居住者と認定したのか分からないが、今後の展開を見守りたい。
居住性の認定は、所得税法と相続税法では、法文上の定義では同じように見えるが、取扱い通達の文言が異なっているので、若干の違いがあることに注意する必要がある。
→参考「海外留学生の所得税法及び相続税法上の居住性の判定」
(3月18日の日経朝刊にて、長男が17日杉並税務署に異議申し立てしたとの記事があった。)